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67話 楽園 27/33

 「アハー!チャーナランサァーーー!」

 ユウナが落胆の声を上げた。


 「ユウナさんでも、ダメか…… 」

 どうしてだか、ウッジが肩を落とした。


 「ヤサヤー……。カマディーの力は一番イッチンチューバーだからよー。ワーの力なんて、もともと敵わない訳さ…… 」

 ユウナがお手上げの仕草をした。


 それを聞いて、珍しくウッジが自主的に動いた。


 「あの……、ウチがやってみてもいいですか?」

 「おぉ、そうやっさぁ! ガクマネーネーの力もチューバーやっさぁ。」

 ユウナがトンネルの青い光の栓の前をウッジに明け渡した。



 ウッジは緊張した面持ちで、ユウナが立っていた場所に立つと手を光の栓に向けた。


 暴れそうな心臓を落ち着かせるために、深呼吸をして、覚悟の息を吸った。


 「エ ソーレ ラ レ……!」


 ウッジの手のひらから、白い光が放射状に放たれた。


 「わぁ!」

 眩しさに、その場にいた全員が目を覆った。


 光はすぐに消えた。


 一番驚いたのは、本人だったようで、その場に腰を抜かして、尻餅をついていた。

 ゆっくりと、恐る恐る自分の手のひらを見る。


 「ウッジ、すごい!」

 チャルカがウッジの周りをピョンピョンと跳ね回った。


 「チビラーサン!ガクマネーネーの力は、本物ソームンさぁね。……ヤシガ…………、」

 ユウナが、青い光の栓に視線を送った。


 確かにいくらか、光の栓はえぐれていた。

 ユウナの力ではここまでも出来なかったので、ユウナよりは強い事は確かだ。


 しかし、全ての栓を取り除くほどの威力は無かったようで、カマディの力が凝縮したその青い栓は、えぐれた部分のゴツゴツの断面が瞬き修復を始めていた。

 全員、それを眺める事しか出来ない。


 「アッシェ……、ほんと、カマディの力はデージヤッサー。これをガクマネーネーがシプサン続けたら、なんとかなるかもしれないヤシガ…… 」

 今度はユウナが肩を落とした。


 「じゃぁ、ワーら全員でやってみたら…… 」

 もう打つ手はこれくらいしかないとばかりにナギィが、提案をする。

 一刻も早くカマディの傍に行きたいのだ。


 「うーん……まぁ、やってみる価値はあるかもしれないさぁ。ヤシガ、マタラは無理ねぇ。」

 「え? どうして?」


 「私だけ、普通の清明だからですよ。あぁ、それを言うとメイシアさんそうかもしれませんが。前にお話しをしたように、ナギィさんや祝女さまは、何も仲介しなくても力を使える清明で、ユウナさんも、そうなんですよ。」


 「アンクトゥヤー。ワーはカマディより、ずーっと力はヨーサン ヤシガ。」

 「なるほど……。じゃぁ、とりあえず、ワーとユウナさんとウッジさんの三人で……、」


 しかし、待ったをかける者がいた。ストローだ。


 「ちょっとまって。ナギィさんの力がどれくらいかはわからないけど、もしもすごい力だったら、どうなるの? このバリアーが壊れて、それ以上だったら、中のカマディさんは……?今のウッジのも、ちょっとびっくりしたから…… 」


 「でも…… 」

 異論にどうにか対抗しようとするが、ナギィには言葉がではない。実際、その可能性はゼロではない。

 マタラが、そんな空気を読みつつ、発言する。


 「ナギィさんの気持ちはわかりますが……、確かにそうですね。ナギィさんの力はもしかしたら祝女さま以上かもしれないんです。でも、まだ自分で制御ができるまでにはなっていません。ちょっと…… 一か八かで実行するのは、怖いですね。」


 「私も反対です。もし、海榮かいえいさまのお義母様に何かあったら、御殿へは帰れません……!」

 チルーもストローに賛同した。

 「じゃぁ、どうしたら、」


 ナギィには胸騒ぎがあった。

 もしかしたら、このまま二度とカマディに会えないのではないかと。

 カマディはそのつもりで、自分たちを御嶽から追い出したのではないかと。


 「お願い……オバアを助けて……、オバア、マースンつもりかもしれないさぁ……、」


 ナギィが小さな声でつぶやいた。


 メイシアはナギィが発した聞き慣れない言葉が気になった。

 「マースン……?」


 「…………、」

 ナギィは答えない。ただナギィが、小さく震えているのをメイシアは感じた。



 「マタラさん、マースンって?」


 「……死ぬって事です、」


 「え?!待ってよ…… 嘘でしょ?何で?ナギィ、御嶽で何があったの?」

 ナギィは、黙ってメイシアを抱きしめた。


 メイシアの問いに、答えようがないのだ。

 カマディが決めた事は絶対だから。なぜなら、いつもカマディは正しいのだ。


 今、ここでこうしている事も、本当は正しいカマディに背く行為なのかもしれないと、ナギィには後ろめたい気持ちが無かったわけではない。

 死ぬつもりかもしれない。いや、そんなはずはない。と否定する気持ちと、今自分がやっている事は、カマディが命を懸けて成し遂げようとしている決意に背くことになるかもしれない、と思う気持ち。


 波打ち際の砂城の様に、どちらが早く崩れるかわからない、そんな形を維持する事も儘ならない思いを、ずっと天秤にかけていた。


 それでも。

 どうしても、みんなに助けを請うしかなかった。


 結局迷いながらも答えは出ていた。自分の行動が間違いだったとしても、答えは決まっている。簡単な事だ。

 カマディを失いたくない。


 しかし、その答えが出てもなお、天秤は揺れ続ける。


 それほどまでに、カマディという羅針盤カラハーイはナギィにとって……いや、ナギィの中のカマディは、このスイにとっての絶対的な道しるべだと思っているのだ。

 だからこその迷いだった。


 「……わかった、ナギィ。絶対おばあちゃんを助けよう。」

 メイシアが、ナギィの耳元で囁いた。









チャーナランサ / どうしようもない

ヤサヤー / だな

チューバー / 強い

チビラーサン / 驚いた

ヤシガ / しかし けども だけど

シプサン / 粘り強い

アンクトゥヤー / その通り

ヨーサン / 弱い

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