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65話 楽園 25/33

 ユウナ率いるメイシアたちは、急いで御嶽を目指していた。

 途中メイシアはマタラから、カマディがこのような事態になってしまった成り行きを聞いた。


 「ひどい!おばあちゃんが、間違った事をするはずないのに、なんで、みんな信じられないの?みんな仲間のはずなのに……!」


 「……ごめんなさい、」


 「……確かに、マタラさんにも責任の一端はある。でも、マタラさんはちゃんと、おばあちゃんがそんな人じゃないって気が付いたでしょ。だからもう大丈夫。一緒に信じよう?ね。」


 「……はい、ごめんなさい、」

 「もー、元気出して!おばあちゃんなら、こう言うよ。人は立ち上がるとき、謝らなくてもいいって。……これからの事を考えよ?」


 その時だった、前方から、清明たちが慌てて山を下りてきたのだ。


 戸惑う一行。

 もしかして、もうカマディが拘束されてしまったのかと、肝を冷やす。


 しかし、様子がおかしい。

 捕まえているいるはずなら、もう急がなくてもいいはずだ。なのに我先にと血相を変えて走って来る。


 「ちょっと、どうしたさぁ?」

 異様なほどの急ぎ方にユウナが一人を捕まえて声をかけた。


 「ユウナじゃないさぁ!こんな時に……。もー、どうしたもこうしたも無いさぁ!御嶽が壊れて、トイフェルがこっちにチューンからよ、キジムナーが言いに来たんやっさぁ!アンクトゥ、フェーぬヒンギロって言うからよー! ユウナも早くスイまでヒンギルばぁよ!マタヤーサイ!」

 そういうと、ユウナの手を振りほどいて、そそくさと行ってしまった。


 「……。」

 「ユウナさん、キジムナーって……、」


 マタラが顔面蒼白になった。マタラの脳裏には、五年前の惨劇がよみがえっていた。

 足がすくんでしまう。


 それを知らないはずはないのだが、ユウナから檄が飛ぶ。


 「マタラ、しっかりするやっさぁ!ワーから離れなかったら大丈夫さぁ!……それよりも、今は御嶽が壊れたって言っていたからよ、そっちの方が厄介ヤッケーばぁよ…… 」


 そういうと、全員を急かして、先を急いだ。




 すると今度は、前方からナギィと森榮しんえいが走ってきた。


 「ナギィ!」

 メイシアがたまらず、名前を呼んだ。

 ナギィがそんなメイシアに気付き、そのまま駆け寄り抱きしめた。


 「メイシア……!よかった……本当に良かった……、もう大丈夫なの?どこも痛くない?」

 「うん。心配かけてごめんね。マブイグミっていうのをしてもらってね……なんとか、大丈夫になったよ!」


 「そっか……そっかそっかぁ!本当に良かった!」


 ナギィの横で森榮も、もじもじと何か声を掛けたそうにしていた。


 「森榮も、心配かけてごめんね。ありがとう。」

 「……ふんっ、ちょっとだけしか心配してなかったさぁっ。……元気イジになったんだったら、良かったからよ、」


 「こら、森榮っ!ほんと、素直じゃないんだから。」

 「ふふふ。……って、それより、おばあちゃんは?」


 「そう、それやっさぁ!メイシア、それから……皆さん、オバアを助けてください!」

 ナギィが頭を下げた。


 「でも、ネーネー!オバアはメイシアを御嶽に連れてきちゃダメって言ってたばぁよ!」

 森榮がナギィの着物を引っ張った。


 「わかってる!わかってるけど……、放っておけるわけないばぁ……、」

 ナギィの目は涙を今にもこぼしそうだった。


 「……。」

 森榮はそれ以上は何も言わなかった。姉のこんな顔を見たのは初めてだったのだ。



 「わかった。大丈夫、ナギィ。私たちがおばあちゃんを助けるから。ね、みんな!」

 と、メイシアは周りを見渡した。


 次々に、「もちろん!」「任せて!」と頼もしい返事が返ってきた。


 「でも、……おばあちゃん、私は御嶽ウタキに行っちゃだめって言っていたの?」

 「……違うの、御嶽はオバア一人で十分だから、ここへは来ないで、メイシアがしようとしている事に協力をしなさいって。だから、すぐにメイシアと魚釣ユイチャーを出なさいって……事だと思う。」


 「なぁんだ!じゃぁ、問題無いわ。だって、私がしようとしている事って、おばあちゃんを助けることだもんっ!」


 「……ヤサヤ!」

 ナギィの顔がくしゃっと笑顔になった。


 「じゃぁ、行くばぁよ!」

 ユウナが気合を入れると、改めて全員で御嶽へ向かって走り出した。



 「メイシア、友達と合流できたんだね。」

 「うん。おばあちゃんの言う通りだった。すごいね。彼女がウッジで、こっちがストローと、おんぶされているの子がチャルカ。」

 三人ともそれぞれ挨拶をした。


 「私は、御殿から参りましたチルーと申します。海榮かいえいさまにお世話になっております。」


 「ワーはナギィです。よろしくやっさぁ。あと、このヤナワラバーが、弟の森榮。」

 森榮は恥ずかしいのか、何も言わず前を向いて走り続けた。

 

 「ナギィは、私を助けてくれた恩人なの。今から助けに行くおばあちゃんも。……ナギィ、絶対、おばあちゃんを助けようね。」

 「……うん。」


 ユウナ率いる一行は先を急いだ。









チューン / 来る

アンクトゥ / だから

ヒンギル / 逃げる

マタヤーサイ / またね

ヤサヤ / そうだね

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