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64話 楽園 24/33

 「イヒヒ!ウマンチュ慌てておかしいさぁ!」

 キジムナーが、御嶽の入り口の巨石に自生している木に留まった。


 「おのれ、キジムナー!」

 「祝女ノロさまと結託して、悪だくみをしているのだな!」



 「イヒヒ、何の話やっさぁ? ノロ?なんだそれ、そんなのしーらないっ」

 「嘘をつくな!カマディの事やっさぁ!もうお前たちが繋がっている事は、確然たる事実!」


 キジムナーが、んー? と考え込むようなしぐさをした。


 「あぁ、あのオバアのことやっさぁ?アハハハハハハハハハハハ!」

 「何がおかしい!」

 「ワッチがあんなヨボヨボのオバアと組むわけがないばぁよ!」


 キジムナーの言葉に、清明シーミーたちがざわついた。


 「ワッチは、ゆくゆくは世界の王に君臨するトイフェルさまのしもべ。そんなオバアの手なんか借りなくても、このスイの国を手に入れるなんて簡単な事やっさぁ。イヒヒ、馬鹿フラー馬鹿フラー!」


 「で、でも、昨晩、お前と祝女さまが密会している所を見た者がおるのだ、お前の言う事なんか、信じられるか!」

 一人の清明がそういうと、そうだそうだと、他の清明も賛同した。


 「イヒヒ、ワッチは人に幻覚を見せるのも得意だからよー、全てはトイフェルさまのご命令で、スイへの防壁を無くすためにワッチが仕組んだことやっさ。まんまと引っかかるなんて、ほんと、清明なんてチョロいチョロい!」


 「……な、」

 清明たちの顔が憎しみと後悔で歪んだ。


 「今頃、トイフェルさまは、勝利の歌でも口ずさみながら、ヨンナーヨンナー、スイの国に向かっておられるばぁよ! イヒヒヒヒヒヒヒヒ! もー、手遅れ! 残念でした! 」


 「何を言っている……、このスイの国の防御は鉄壁のはず! 」

 「嘘だと思うんだったら、北の空を見るんやっさぁー。イヒヒ! 」


 「し、しかし今、祝女さまが御嶽で…… 」

 「その御嶽ウタキが壊れたさぁ。……全部、お前たちのせいやっさぁ。アハハハハハハハ!」


 清明たちの顔色が変わった。

 不安と恐怖一色になったのだ。


 「御嶽が壊れた今、お前たち清明の小さな力では、何の役も立たんから、オバアが一人で御嶽に籠っているのかもしれないさぁね?イヒヒ。」


 それを聞いて、立っている事もままならない清明まで出だした。


 「ほんと、こんなことでいさかいを起こしてくれて、ありがたいさぁ~。勝手に仲間割れしてくれるから、楽ちんやっさー。」


 「……そ、そんな、」


 「ちっぽけな力しかないお前たちなんて、トイフェルさまの力で、すぐに吹き飛ばしてやるばぁよ。もうすぐ、ここはトイフェルさまの楽園になる!……早く逃げる事さぁ!」


 泣きだす清明もいた。

 血の気も引いて青ざめ、最初の勢いを保っている清明は一人もいなかった。


 キジムナーはそういうと、岩に生えている小さな木々をサルの様に上へ上へと飛び移り、てっぺんまで行くと姿が見えなくなった。


 「死にたくない者は、早く、逃げるさぁ……!イヒヒヒヒヒヒ……!」

 声だけが響き渡っていた。


 最後のキジムナー言葉に、逃げ出す者がいた。

 その者に触発され、次から次へと清明たちは走り出し、その場に一人もいなくなった。



 それをナギィは、複雑な気持ちで眺めていた。




  *** *** ***







誰も通訳がいないので、ウチナーグチ少な目の回になっています。

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