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63話 楽園 23/33

 ナギィと森榮しんえいは、森の中に身を潜めていた。


 御嶽ウタキから飛び出したものの、出てすぐの場所で清明シーミーたちの声が聞こえたので、用心して身を隠したのだ。


 案の定、清明たちがぞろぞろとやって来た。

 清明は十三人。


 どうやら、御嶽への侵入ができないようだった。

 それだけ、カマディの力が他の清明に比べて強大だという事なのだろう。


 しかし、清明たちも黙ってはいない。

 あの手この手で、どうにか御嶽に張られた結界を破ろうと、念を込めていた。



 「ネーネー、どうしよう……。オバアはどうなってしまうさぁ?」

 「しっ!」

 「ネーネーったらぁ…… 」

 「ちょっと黙っているさぁ!見つかったら、どうするばぁよ!」


 「でも……ここにいてても、オバアが言った事が出来ないからよ、」

 「わかってるさぁ…… 」


 ナギィは焦っていた。


 このままでは、どうしようもない。家へ帰ることも出来ない。帰れなければ、オバアが言ったようにメイシアがここへやってきてしまう。

 オバアがここまでして自分を行かせたからには、「メイシアの成すべきことに協力する」事は、とても重要なことなのだろう。


 しかし、ここで動いたなら、絶対に清明たちに見つかる。


 見つかったなら、どうなるだろう。

 拘束は免れないかもしれない。


 そこまで卑劣な事をする人たちではないと思ってはいるが、最悪の場合、自分たちの身の安全と引き換えに、オバアが御嶽から出されるかもしれない。


 今するべきこと……

 ナギィは考える。


 オバアは、メイシアと共の行動しろといった。

 しかし今、このスイはトイフェルによって攻撃されようとしている。


 そして、それをきっとまだ、ここにいる清明たちは気が付いていない。

 もし、今それを清明たちに告げたところで、オバアが手引きしたと清明たちは思うだろう。

 だがオバアにかぎって、絶対にそんなことは無いのだ。それは、確実だ。


 危機はそこまで迫っている。


 オバアの力が絶大なのは目の当たりにしたが、トイフェルを今から迎え撃つとなると、この清明たちの力もきっと必要になるはずだ。どうにか誤解を解いて、清明たちが一丸となってほしい。


 一体どうやったら……




 『イヒヒ! ワッチに任せるさぁ!』


 不意に、誰もいないはずの背後で、聞き慣れない子供の声がした。


 「ひっ!」


 驚いて、振り返ったが、そこには誰もいなかった。


 「ネーネー、どうしたさぁ?」

 森榮には聞こえていなかったようだ。


 ナギィは咄嗟に声を出してしまった事を後悔しつつ、ゆっくりと前を向いた。

 今の声で清明たちに見つかったかもしれないからだ。




 しかし前を向くと違う理由で、状況が一変した。

 清明たちが騒ぎ出した。


 「ネーネー、あれ!」


 森榮が指さした。

 ナギィは目を疑った。


 初めてなのだ。


 今まで、あんなに話には聞いたいたのに。


 興奮して眠れない夜、布団の上で。好き嫌いして食べないとゴネた食卓で。時間を忘れて遊び過ぎて帰りが遅くなった玄関先で。散らかして、片づけをしなかった部屋で。

 いつも話に登場していたのに、一度も見たことが無かったアレが、そこにいたのだ。


 「……キジムナー………… 」


 子供の体躯に、赤いバサバサの髪。目も鼻も大きく、耳はひときわ大きく、尖っている。

 そして、褐色の背中には白い翼が生えていた。

 その翼で、清明たちの頭の上をパタパタと飛んでいたのだ。


 清明たちが悲鳴を上げてた。


 恐怖に慌てふためく清明たち。

 それを見て、キジムナーはいかにも愉快そうに腹を抱えて笑っていた。







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