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39話 御嶽(うたき) 13/14

 食べおわって、マタラがお茶をいれてくれた。

 食後のゆったりてした時間が流れていた。


 「今日はお疲れさまでした。慣れない内に御嶽ウタキに二度も行くのは、辛いでしょう?」

 マタラが二人を労わった。


 メイシアとナギィか苦笑いをした。


 「でも、今日はすごく充実していたと思う。マタラさんのおかげです。色々ありがとう。」

 ナギィが佇まいを正して、お辞儀をした。


 「もぅ、やめてください。未来の祝女のろさまに頭を下げられたら困ります!」

 「ええっ、そっちこそ、やめてよーーー、……ワーは、そんな良いものじゃないから!」


 「あははは、ネーネーには、そんなの無理さぁ!……アガーっ!」

 森榮がまた要らない事を言って、ナギィにゲンコツを落とされた。


 「……ほんと、森榮は懲りないよねぇ……、」

 メイシアが、苦笑しながら姉弟を眺めた。


 「……ふんっ、ウンジュには関係ないさぁ。」

 と、軽口をたたくが、そのボリュームは非常に小さい。


 「ったく。ヤーは勉強ビンチョーちゃんとしているさぁ?迷惑かけてない?」

 「デージやってるさぁ! ずーーーーっと、勉強、勉強。もう、頭がおかしくなりそうさぁ!」


 「はぁ?勉強して頭がおかしくなるはずないばぁよ。……いんや、ヤーはちょっとおかしくなった位で丁度イーバーやっさぁ。」

 「ふんっ、ネーネーの馬鹿フリムン!」


 「何を!」

 姉弟の喧嘩は「買う」の一手しかない。


 メイシアは、二人で生活している間はどうするんだろうと思いながら止めに入った。


 「まぁまぁ。……森榮、ごめんね。私がおばあちゃんに用事があったばっかりに、こんな事になってしまって。」


 「……別にいいさぁ。ワンも、そろそろ勉強したいと思っていたさぁ……ワン、水浴びしてもう寝るばぁーよ!」

 森榮はそういうと、そそくさと行ってしまった。


 「メイシア、なんか、ごめんねぇ…… 」

 「うん。私のせいで森榮には無理させてそうで、本当に申し訳ない気持ちなんだ。」

 「大丈夫、大丈夫。そんな事考えるような繊細な頭は持ち合わせていないよ。」


 「……あれ?メイシア、ちょっと顔が赤くない?大丈夫?」

 「ん?そうかな……。ちょっと、今日疲れたのかな。大丈夫だよ。」


 「……そう? 眠くなったら、すぐに部屋に行って寝たらいいからね。」

 「うん、ありがとう。」




 「ところでマタラさん、」

 台所で洗い物をしていた、マタラにナギィが声をかけた。

 マタラは姉弟げんかの間に、そっと席を立ち食事の片づけをしてくれていた。終わったのが、手拭いで手を拭きながらマタラが戻ってきた。


 「何ですか?」

 「あ、片づけてくれてありがとう。」

 「いえいえ、お二人とも、お疲れなのはわかっていますから。大丈夫ですよ。」


 「ワー、あの出来事からずっと考えていたんだけど、マタラさんは、ワーもアンマーも特殊だった言っていたけど、それって浄化が得意だって言っていた事と関係があるのかな?」


 マタラもテーブルにつくと、湯桶から注ぎお茶を用意した。


 「もちろんありますよ。」


 「そうだったら、ワーにもアンマーみたいなことが出来るのかなぁって……」

 少し恥ずかしそうに話すナギィを、マタラがまるで本当に姉のように優しい表情で見ていた。

 

 「そうですね……。清めるには、清める能力を持った何者かに頼らないとできないんです。なので普通の清明シーミーであっても、そういう者が力を貸してくれたら、清めることは出来ます。しかし、そんな希少な能力を高い次元で持っている者が、その時に現れるなんて、奇跡に近いんです。でもカガンさんは、自らが浄化を実行できる。誰の力を借りることなく。だから得意とされていたのです。……習っても出来るはずもありませんでした。」


 マタラが、フフフと笑った。


 「だから、どんなに『んっ!って見るばぁよ。したらよ、そのモノの汚れが見えるさぁ。したら近寄ってフーって息を吹きかけながら、きれいになれって思うと出来るんやっさぁ。』なんて、説明されたって、出来ないんですよ。私は凡人ですからね。酷い話でしょ?」


 とんでもない事を話しているのに、そう話すマタラは、とても懐かしそうで楽しそうだった。


 きっとその思い出は、女の子同士の会話のように楽しかったのだろう。

 そしてマタラはカガンを、先輩のように、姉のようにも慕っていたのだろう。

 マタラから語られるカガンは、生き生きとしてかわいらしかった。


 「……ワーのアンマーって、まぁまぁ天然だったんだね、知らなかった、」

 自分の知らない母親の一面を聞いて、ナギィも衝撃を受けるやら、嬉しいやら、くすぐったい気持ちでいっぱいだった。


 「そんなカガンさんのお嬢さんと、こうやってお茶を飲んでいるなんて、本当に不思議に気分です。」

 マタラが嬉しそうにほほ笑んだ。


 その時、テーブルでドサッと大きな音がした。

 話を聞いていたはずのメイシアが、テーブルに倒れ込んだのだ。


 「メイシア?!」

 「メイシアさん!」


 驚いたナギィとマタラが、呼びかけメイシアの顔を見る。メイシアの顔は先ほどよりも赤みを増していた。

 ナギィが、メイシアの額に手をそっと当ててみる。


 「アイッ! チャースガヤ…… 」

 「どうしました? 」

 「どうしよう、マタラさん。メイシア、デージ熱やっさぁ…… 」


 マタラも、メイシアの首筋に手をやった。


 「本当ジュンニ!……メイシアさん、大丈夫ですか? お布団まで歩けますか? 」

 声をかけたものの、メイシアは荒い息を苦しそうにするだけで、反応はなかった。


 「……まずいですね。とにかく、すぐにお布団に寝かせましょう。」

 「うん……メイシア、頑張チバるさぁ! 」


 二人はメイシアを寝室へ運び、布団に寝かした。

 メイシアの意識はまだ戻らないようだった。









アガー / 痛いっ

ウンジュ / あなた

ヤー / おまえ

フリムン / 馬鹿者

チャースガヤ / どうしよう

デージ / 大変

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