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10話 十六夜の島 10/10

 「しかし、空を飛ぶ船から落ちたのであれば、状況はもっと悪い。」

 「そうなんです……」


 「一体、どのあたりで落ちたのかわからないのか?」

 ストローは首を振った。


 「ストロー、メイシアが落ちた時、一体どんな状況だったの?ウチ、寝ていたから全く記憶にないんだけど……。」


 「あぁ……。雪蘭シュエランさんに何かの術で船に乗せられたんだけど……」

 「うん。ウチも雪蘭さんが来て、夜の国までは時間がかかるって言っていたところまでは覚えているんだけど、船の中の記憶は全くないだよね。」


 「チャーはぜんぜん知らないよ。起きたらここにいたんだもん。」

 海榮と目を合わせないようにウッジにへばりついて、静かにしていたチャルカがやっとしゃべった。


 「うん。チャルカはオズの家で寝ていたもんね。それに船ではウッジもチャルカも寝ていたからね。でもオラは、目が覚めてしまって。なんだか不思議な船だった。今でもそれが現実だったのか夢だったのかわからないくらい、現実離れした……。」


 ストローが思い出すように、宙を仰いだ。


 「それはどんな船だったんだい?」

 海榮が興味からなのか問いかける。


 「はい……。何もかもが透明で。夜霧の中を透明な船がオラたちを乗せて飛んでいるのです。」

 「おぉ。それはそれは。」


 「オラは、メイシアの……あぁ、その今、行方不明の子ですが、その子が持っている……その……、ペンダントが放っている光が眩しくて起きたんです。」

 ストローは、自分があの夜、不思議な船の中で経験した事を全て話した。


 達成の鍵の事だけは、何か言いそびれて、言わないままになってしまった。

 最後まで話したはいいが、ストローは話せば話すほど、どうしてあの時に自分がメイシアの体を掴むことができなかったのかと責め苛む思いが覆いかぶさってくる。



 「それで起きたら、この御殿の庭だったというわけなんだな。」

 「はい……」

 「うーむ……」

 海榮は、腕を組んで目を瞑り、思いを巡らせているようだった。


 「ウチ、そんなことがあったなんて知らなくて……。のん気にしていてごめんな、ストロー。」

 「いや、それはオラのせいだから……」


 「まっこと、不思議な話だ。」

 海榮が目を開いた。


 「……そうですよね、」

 「しかし、さっきも申したように、二言はない。まずは国中に伝令を出そう。もしこの島にメイシア殿が辿り着いているとすれば、誰かが保護しているかもしれん。この島は、漁業も盛んだからな。漁師が海で助けておるかもしれぬ。」

 「そう……ですよね、」


 「もう少し、場所が特定できたのなら、自分の家臣を海に出すこともできるのだが……闇雲に探すのも難しい話だからなぁ……」

 「そうですよね……はぁ。」


 「先ほどから、ストロー殿は、そうですねしか言わんのぉ、ははは!元気出せ!自分が絶対、メイシア殿を見つけてしんぜよう!」

 海榮が重たい空気を吹き飛ばす、豪快な声をあげた。


 「そうだよ!メイシアはウチらと同じで、ロードさまにご加護を頂いてるんだ。絶対大丈夫。」

 ウッジもストローの後悔を察したのか、不安を押し殺して笑顔を作った。


 「チャーもメイシアさがす!」

 立ち上がったチャルカが目にいっぱい涙を溜めて、ストローに抱き付いた。


 「みんな、ありがとう。……うん、オラも探すよ!絶対大丈夫だよね。なんたって、オラたちは虹の国に行けたくらい運がいいのだから。」

 「そうだよ!」


 「その話もおいおい、聞かせていただきたいのぉ。使命があるとも言っておったし。……しかしまぁ、メイシア殿が見つからなければ、心も落ち着かぬだろう。……そうだ。自分のオバアがユタをやっておる。赤星島あかぶしじま一番のユタだ。オバアに行方を見てもらおう。」

 海榮が良き打開策が見つかったと言わんばかりに、明るい声をあげた。


 「ユタ?」

 「そうじゃそうじゃ!そうと決まったら、さっそく出発だな。」


 自分の名案に興奮したのか、海榮は全くストローの疑問を聞いていないようで、次の行動を起こそうと立ち上がろうとした。


 「海榮さま、皆さまが話が見えなくて混乱されております。」


 「おぉ、そうか。貴殿らにはなじみがないか。ユタとは、人ならざるものの声を聴き、その声を民に伝える者の事だ。

 自分のオバアは……姑にあたるのだが、この島を守るユタのかしらをやっておってな。

 ここでは無い島で祈りをささげておる。緊急事態故、助けを請いに赴くことにしよう。

 忙しくなるぞ!まずは、伝令!そして急いで出発の準備をしなければの!」


 海榮の勢いに、三人があっけにとれて言葉が出ない。


 「さぁ!目指すは、魚釣ユイチャージマだ! 」

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