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改めて前の話を読み返すと勢いで書きすぎだなあと感じてます。
拙い文章ですが、いつも読んでいただいてありがとうございます。
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夕食を終えると、オレはアーティとエリスに先にお風呂に入るように言った。季節は土の月(秋)となり朝晩と涼しくはなったが、日中はまだ暑く汗をかくのだ。その為、2人に先にお風呂に入ってもらおうというオレの紳士的行動。
「片付けをお願いしてすいません。先にお風呂いただきますね」
エリスが夕食の片付けをするオレに声をかけてきた。
「ああ、エリスもアーティも汗をかいてるだろうから先にお風呂に入ってさっぱりしてくるといいよ」
オレは笑顔でエリスに返事をする。実にジェントルな笑顔で。
「ありがとうございます。じゃあ、行きましょうエリスさん」
アーティがエリスの背中を押してお風呂へ歩いて行った。
あの2人もずいぶん仲良くなったもんだ。えがったえがった。
オレは2人がお風呂に行ったあと、すばやく洗い物を済ませると地下へ移動する。そして、趣味部屋に行くと、シャンプーが完成したのを確認して容器へ詰め替える。リンスはすでに容器に詰め替え済みだ。
なぜコソコソとこんな作業をしているのか?それはシャンプーが女性陣に見つかると、きっと碌なことにならないからだ。
しかし、2人がお風呂に入っている時に隠れて作業をしていると、昔親の目を盗んで大人な本を読んでいるのを思い出すな。わかる人にはわかる感覚だろうが、なぜかドキドキするというか。怖いというよりも高揚感のあるドキドキ。スリルを感じるぜ。
そう、さあ賭けぐ・・・・・。いや、そのドキドキとは別か・・・。さて、アホなこと考えてないで2人がお風呂から上がる前にさっさと上にあがるか。
オレは部屋の扉を開けて地上へ戻ろうとすると、目の前にエリスとアーティがいた。オレは静かに扉をしめて目頭を揉む。
おや眼精疲労かな・・・?幻が見えた気がする。
オレは気を取り直して扉を開けると変わらずに2人がそこにいた。さらに、エリスは笑顔だが有無を言わさないような雰囲気を出し、仁王立ちしていた。
「ふ、2人が何故ここに・・・?」
「シュンさんからほのかに石鹸の香りがしたのと、アーティが昼間に地下室にシュンさんがいたという話をしていたので、これは恐らく何かあると思いまして」
名探偵エリスがニヤリとオレに笑いかける。
「私はエリスさんが、シュンさんが趣味部屋にいる時は何かありますっていうから一緒にきました」
アーティはよくわからずドヤ顔をしていた。
オレはじと目になりつつ軽く息を吐く。
「やれやれ・・・。個人的に髪の毛専用の石鹸を作ったんだよ。ただ、石鹸の時と同様にまずはオレが使って肌荒れとかしないかどうか確認しようと思ったんだよ」
オレの弁明にアーティが聞いてくる。
「じゃあ、私たちに隠れてこそこそしてたのは何でですか?」
「見つかったら私たちが試すとか言って無理やり使いそうだったから・・・。それが原因で周りにバレる恐れがある・・・」
オレがアーティに答えると、エリスが目を細めた。
あれは捕食者の目!?
「ということは、その髪の毛専用の石鹸にはそれほど自信があるということなんですね?」
っぐ、藪蛇か・・・。
「それは使ってみないとわからないな・・・」
オレが冷や汗を流しつつエリスに答えるとエリスはニッコリと笑ってオレに言った。
「じゃあ、一緒に入って使ってください」
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何故こうなった・・・。いや、よく考えるとエリスの狙いはオレが作ったシャンプーではなく、一緒にお風呂に入るということだったのでは?だとすれば、エリス恐ろしい子・・・。
「ていうか、アーティは一緒に入ってよかったのか?」
「はい。エリスさんとは何回も一緒に入ってますし、シュンさんが私の裸でグッときてくれたら、それはそれで」
「それはそれでじゃあないよ。お風呂はゆっくりする場所だぞ」
そう言いながらもオレの理性さんが頑張ってくれている。負けるな理性さん。
「さて、じゃあ、シュンさんどうぞ髪を洗ってください」
オレとアーティの会話がひと段落したのでエリスがオレにシャンプーを使うように言ってきた。
「わかった」
オレはシャンプーの入った容器を出してから髪を洗う。旧シャンプーについてはエリスには言っておらず、石鹸で髪を洗っていると誤魔化していた。オレは髪の毛を濡らしてから髪を洗う。
旧シャンプーに比べるとこっちのほうが泡立ちがいいな。
泡を落としてからさっとクエン酸リンスを使う。クエン酸リンスは長く髪につけるとシャンプーの成分を落としてしまうので、さっと髪をすすいで終わりだ。
オレが髪を洗い終えるとエリスがそれを見て話しかける。
「それで終わりですか?」
「ああ、2人も髪の毛を石鹸で洗ってるだろ?ただ石鹸だと固形なんで洗いづらいから液体にしたんだ」
「最後に使ったのは何ですか?」
「あれは髪をさらさらにする石鹸?みたいなものかな」
オレの言葉に2人の雰囲気が変わる。
「それは聞き捨てなりませんね」
エリスがそう言うと。
「私、髪の毛洗ったあと、いつも髪を梳かすのが大変なんですよ。髪が長いので・・・」
アーティがそんなことを言う。そして、2人がオレを上目遣いで見つめてきた。
「使ってみたいなー・・・」
アーティが甘えるような声をだし、エリスは無言でオレを見ている。
「わかった、わかったから、少し離れなさい」
見つめてくるのと同時に肌色が迫ってきて大変だ・・・。
オレが折れたのを見てエリスとアーティが笑顔になる。そして、2人はオレに言う。
「じゃあ、お願いしますね」
「エリスさんが終わったら、次は私で」
「何で?自分で洗えるよね・・・?」
オレの質問には答えず2人はにんまりと笑うだけだったので、結局オレが2人の髪を洗うのだった。
風呂は静かに入りたいもんだなあ・・・。
湯船に浸からないと疲れが取れなくなったら年取った証拠!
ブックマークとご評価ありがとうございますじゃ。




