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いつもお読みいただいてる方々へ感謝を。
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野営地の近くまでいくと、4人の騎士が話し合っているのが見えた。全員女性だな。てことは、メイアの仲間は全員女性なのか。
「馬鹿者!あれほどメイア隊長を1人にするなと言っただろう!!」
「す、すいません。副隊長。し、しかし、隣にいたはずなのに、ほんの少し目を離したら、隊長はすでにそこにいなかったのです・・・・・。」
「それも説明したはずだ!メイア隊長から目を離すとどうなるかを。」
「落ち着いて、ルーシェ副隊長。今は、メイア隊長を探しにいく準備をしないと。」
ああ、怒られてる部下の人、涙目になってる。多分、悪いのは無自覚に消えるメイアなのに。早く行ってあげよう。
「待てルーシェ、私はここにいるぞ!皆、無事でなによりだ!」
いや、何しれっと皆がはぐれたみたいに言ってんだ。迷子はオマエのほうだぞ。
「メイア隊長!!よがっだあああ、ご無事だっだんですね!」
さっきまで怒られて子が涙ながらにこっちへ駆けてこようとするな。そら、いきなりいなくなられて心配したんだし、無事だったら泣きたくもなるか。いや、あれはもう怒られなくていいという安堵の涙か。
「待て!サーヤ。メイア隊長の他に見慣れない奴がいる。貴様は何者だ?」
オレを警戒するのは、ルーシェ副隊長って呼ばれてた子だな。赤色の髪をセミロングで左へ流してるな。そして、その視線は、なるほど、オレとメイアをつなぐこの手に集まってますね。そして、おもむろに手を剣へ伸ばしてますねー。まずいですねー。
「まて。オレはメイア隊長をここまでつれてきただけだ!手をつないでいるのは、貴方達なら理由がわかるはずだ!他意はない!」
ここまで来れば大丈夫だろう。パッとメイアから手を離して、肩から上へ手をあげる。
「ふん、どうだかな。男など皆ケダモノだろう。」
「やめろ。ルーシェ。経緯はどうあれ、私をここまで連れてきてくれたのは事実だ。礼をいうことはあっても、失礼な態度をとることは許さん。」
「っは!失礼いたしました。」
おお、メイアが立派に見える、これがギャップってやつか。
「こちらは冒険者のシュンだ。オーク2匹を瞬殺するほどの腕だ。シュンすまなかったな。」
「いや、気にしてない。それに、女性が男性を警戒するのはいいことだ。実際、ケダモノのような男がいることも事実だしな。」
「ふん。自分もそうだと認めたか。」
いや、何一つ認めてはいないからなルーシェさん。
「ルーシェ、おまえというやつは・・・・。はぁ、シュン、私の隊の仲間達を紹介しよう。ルーシェに、サーヤ、ウルカ、ミヤだ。」
「ふん、ルーシェだ。一応礼は言っておく。」
「サーヤです。メイア隊長を連れてきてくれてありがとうございました。」
「ウルカよ、一時はどうなるかと思ったけど、よかったわ〜。」
「ミヤ。」
ちなみに、サーヤはさっきベソかいてた子で、赤毛のツンツン頭だ。ウルカさんは、糸目の金髪で肩くらいの長さで、前髪をカチューシャであげている。お姉さんタイプって感じかな。最後のミヤは、水色の髪で前髪パッツンだな。無口キャラかな。
「オレは冒険者のシュンだ。たまたま、メイアと一緒になったんでここまで送ることにした。」
何故かは敢えて黙っておこう。誰かさんの名誉のために。
「シュン、無事に仲間と合流できた感謝する。お礼にお茶でも出そう。」
「あー、すまないが、依頼の途中なんで、お茶はまた機会があれば頼むよ。今からなら、街の門が閉まる前に依頼を終えれそうなんでな。」
「む、そうか。依頼の途中だったな。私のせいで余計な時間を取らせてしまったな。」
「そこは気にしないでいい。単なるおせっかいだ。それに自分で決めたことだから構わないさ。とはいえ、名残惜しいが、そろそろいかせてもらうよ。」
「そうだな。引き止めて悪かった。無事を祈っているよ。」
「ふん、早くいくがいい。」
「本当にありがとうございました。気をつけてくださいね。」
「無茶はしないようにね〜。」
「また。」
メイア、ルーシェ、サーヤ、ウルカ、ミヤの順で声をかけてくれた。ルーシェは目の圧がすごかったが、過去に何かあったんだろうか・・・・・。彼女達から離れて、森へ戻っていく。やれやれ、何か精神的に疲れたな。
「いっちゃいましたね〜。メイア隊長、彼と仲良さげに手なんかつないじゃって。何かあったんですか〜?」
「な、何を言っているんだ、ウルカ。シュンが何故か私がいなくなるとか、よくわからないことを言うから、しかた無くだな、ゴニョゴニョ。」
「それは、彼が正しい・・・・。隊長、すぐにいなくなる・・・。」
「ふん、適当なことを言って、メイア隊長と手をつなぎたかったに違いない。厭らしい。」
「で、でも、手をつなぐのはいいと思います。魔物が現れたらできないですけど・・・・・。」
「とはいえ、礼もできなかったからな。機会あれば礼をするとしよう。」
「それはいい考えだと思います〜。」
「あのような男に、そこまで気を遣うことはないと思いますが、メイア隊長がそう言うなら、しょうがないですね。」
「へっくし。」
くしゃみがでた。誰か噂でもしてるのかね。
予定外の出会いがあったが、ここからはちょっと本気出して薬草集めよう。一気に速度をあげて奥地まで戻ると、いくつかの群生地を巡って薬草を集めた。
しかし、やはり薬草が少ないな。メイアはゴブリンが多いような気がしたっていってたが、オレはここまでゴブリンに会っていない。てことは、巣ができたとかではなさそうだな。
ふむ、何かが起こってるのか、起こりそうなのか。
まぁ、考えてもしょうがないか。こういう時は何かが起こってから対処するほうが建設的か。こういうところがおっさんな感じがするな。外見は20歳に見えても、頭の中身はやっぱりおっさんなんだよな。
とりあえず、薬草は集め終わったし、帰って報酬をもらいにいくとしよう。
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