第7話 エピローグ
これにて7話の終わりです。
オレ達の冒険はこれからだぜ☆
よければ8話にてお会いできることを願いまして。
エピローグ
魔物の大軍を殲滅してからオレはクリオールに帰ってきた。宴会の晩にアダルさんから聞いた不吉な話のため今回の報酬については、後日エリスに渡してくれるらしい。
そして、リンカやアリックスといった”槍水栓”の4人はクリオールへやってくることになった。まあリンカについては言わずもがなだが、アリックスはメルトに会いたいという理由からだろう。
オレは数日ぶりの我が家に帰ってくると家の扉を開けて中に入る。すると、アーティが居間にいたので、オレに気づいて抱きついてきた。
「シュンさん!おかえりなさい」
オレは抱きついてきたアーティの頭を撫でながら返事をする。
「ただいま。アーティ」
「えへへ・・・。大丈夫とは思ってましたけど、やっぱりちょっと心配でした」
「それは悪かったな」
オレはアーティの言葉に苦笑するしかない。しばらく抱きついていたアーティだが、名残惜しそうに離れると口を開く。
「ふう。堪能しました。あと・・・エリスさんがめんどくさいことになってるので、部屋に行ってあげてください」
「めんどくさいとは・・・?」
「行けばわかります」
アーティが眉を下げながら力なく笑う・・・。オレはその姿に哀愁を感じてしまう。
「わかった・・・」
アーティにめんどくさいと言わしめるエリスは一体どうなっているというのか・・・。
オレはエリスの部屋の前にくると扉をノックした。
「エリスー。ただいまー」
しかし、中にいるはずのエリスから反応がない。ということで、オレは扉を開けて中に入ると、エリスがベッドで寝ていた。しかしその姿は目を開けたまま天井をみつめていた。
軽いホラーだな・・・。
「え、エリスさーん・・・。ただいま・・・」
オレは寝ているエリスに声をかけると、ピクっという反応をしてから、ぎぎぎという幻聴がきこえそうな感じで、ゆっくりと首がこっちへ向きエリスの目がオレを捉える。
「いや、ゆっくりこっちを向くとか怖いから・・・。あと、部屋にいるなら返事くらいしてくれ・・・」
オレが冷や汗をかきながらエリスに話しかけると、エリスの目がうりゅっという感じで潤み、すぐさまオレに飛びつくと両手をオレの首の後ろにまわし、両足で腰をホールドする。
「こらこら・・・、抱きつくのはいいけど、足はやりすぎでしょ。はしたないよ?エリス」
「・・・・・・」
オレの言葉に返事をせず、ただ黙って抱きつくエリスの反応にオレは苦笑しながらも、エリスをくっつけたままベッドに座った。オレからはエリスの表情は見えないが、しばらくエリスの好きにさせていると、グスっと鼻をすする音が小さく聞こえた。
オレはゆっくりとエリスの頭と耳を撫でる。
「・・・心配しました。シュンさんの強さは知ってますけど、シュンさんが依頼に行くたびに本当は心配してるんですよ?」
オレはエリスの言葉に不謹慎ながら嬉しくなってしまい、少し笑ってしまう。
「ふふ・・・、ごめんな」
「何笑ってるんですか・・・」
オレが笑ったことに怒ったエリスがオレの首を甘噛みしてくる。
「ごめん、ごめん。心配してくれたのが嬉しくてさ」
オレはお詫びとばかりに尻尾を丁寧に撫でた。
とはいえ、オレを心配してくれたのはエリスだけじゃないよなっと。
オレはそう思って、部屋の外に空属性の魔法でもう1人のオレを出現させて居間にいるアーティのもとへ向かわせた。
もう1人のオレが居間に入るとアーティはお茶を飲んでいた。なので、後ろから抱きしめてみる。
「わひゃああああ」
相変わらずそれどういう悲鳴?
「びっくりしたか?」
「シュ、シュンさん!?びっくりするに決まってるじゃないですか」
「はは、それは悪かった」
オレは笑いながらアーティの隣に座る。そこへアーティがオレにお茶を入れてくれた。
「ありがとう」
「エリスさんはいいんですか?」
アーティはおずおずといった感じでオレに聞いてくる。
「ああ、あっちはもう1人のオレがいるから大丈夫。ウチにはもう1人お姫様がいるからな」
オレは優しく微笑みながらアーティに返事をする。
「その手がありましたね」
納得したのか、アーティは嬉しそうにオレと腕を組んで手を繋ぐ。手は恋人繋ぎというやつだな。
「ご機嫌だね?アーティさんや」
「それはそうですよ。寂しい思いをしたのはエリスさんだけじゃないんですよ?」
アーティは首をコテンとオレの肩に頭を乗せてきた。
その後、アーティとまったり過ごしつつ夕ご飯の準備を2人ですることにした。しばらくすると艶々したエリスがもう1人のオレを連れて居間に現れる。実にいい笑顔になっていた。それとは反対にもう1人のオレはしおしおになっている。
自分を見ると言うのは変な気分だが、この後合体するのが怖いな・・・。一体何があったというのか・・・。いや、大体わかるけど・・・。
「エリスさん、元気になったんですね」
アーティがオレから離れ笑顔でエリスに話しかけた。
「ええ、アーティには心配かけたわね。ごめんね」
エリスがアーティをぎゅうっと抱きしめた。
「いえいえー、元気になってよかったです」
オレはその間に合体すると、記憶が統合されてガクっと膝をつく。
「うっ!」
記憶にはエリスから肌着を毟られ、その後エリスの尻尾をブラッシングしたりと奉仕をするのが見えた。いや、感じたというか・・・。これ痛い思いしたら、改めてもう一度それを体験する恐れがあるな・・・、気をつけよ。
その傍らで尻尾や髪がサラサラとなったエリスが、アーティときゃいきゃい言いながら夕食を仕上げていた。
ともあれ、ようやくオレの日常の平常運転となりそうだ。やれやれ、今回は随分バイオレンスな依頼だったぜ。しばらくはのんびりと過ごしたいもんだ。あと、落ち着いたらエリスの故郷に行きたいしな。エリスには長期の休みをとってもらうとしよう。
その後3人で夕食を楽しくとるのだった。うん、ご飯が美味しいのはいいことだ。
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