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兜が取れた中身は、女性騎士だった!
全身を鎧に身を包んでいるので、体型まではわからないが、顔は美人だ。
しかし、この世界は顔面偏差値が総じて高いな。エリスもそうだが、街にいる女性や男性は美人、ハンサムが多い。
オレの周りだけかもしらんが。
「私の名は、メイア=コレットだ。改めて例を言う。」
「オレは、シュン。ただの冒険者だ。姓があるってことは貴族様か。」
「姓はあるが、父が騎士爵をいただいたにすぎない。私自身は何か武勲を立てたわけじゃないさ。」
「そうか。とりあえず、まずはこのオークをどうするかだな。1匹くらいはもらっていいか?」
「ほお、魔法袋を持っているのか。いや、助けてもらったお礼だ、欲しいなら全部持って行って構わない。どうせ、私は持っていけないしな。」
「それじゃあ、遠慮なく。」
早速、魔法袋にオークを収納するフリをして、亜空間へ仕舞い込む。これでしばらくお肉は困らんな。
「それにしても、メイア様は1人でここに来たのか?騎士が1人でこの森の奥地に来るってのが考えづらいんだが。」
「メイアでいいさ。貴族といっても騎士爵なんてほぼ平民も同然だ。一応、団員達と一緒に来たのだが、はぐれてしまってな。ここは、奥地になるのか?森の入り口付近に野営地を敷いて、その近くの魔物を討伐していたはずなのだが・・・・・。」
「何か強い魔物に追われていたとかで、仲間とはぐれたのか?」
「いや、気がついたら、皆がいなかったんだ。」
う、う〜ん・・・・・?どういうことだろうか・・・・・。つまり、魔物を探しているうちにはぐれてしまったのか、魔物を見つけたんで独断先行したのか。まぁ、いいか。
「そうか、とりあえず、オレは薬草を探しに来たんで、もう少し薬草を探すことにするよ。メイアは、野営地に戻って仲間と合流するほうがいいんじゃないか。とりあえず、次に複数の魔物と出会ったら即座に逃げるほうがいいな。」
「ああ、そうするよ。しかし、本来なら奥地へ行くのを止めるべきだろうが、貴方の強さなら問題なさそうだな。では、世話になった。野営地に戻ることにする。」
そう言って、メイアは歩き出した。森の奥地へ・・・・・・。
「ちょっと待て!!そっちは奥地だ。野営地は森の入り口付近だろ?そっちじゃない!」
「何?そうなのか?じゃあ、こっちか。すまない、では。」
「そっちでもねえよ。そっちも結局は奥地に行く道だ。」
「なんと!?この森は人を惑わすのか・・・・。恐ろしいな・・・。」
そんなこと初めて聞いたわ。てか、あれだ。はぐれたって言ってたけど、コイツ極度の方向音痴なんだな・・・・・。
「えーとな、あっちの方へまっすぐ進んだら、とりあえず、森を抜けられるから、そこから野営地まで歩くのがいいんじゃないか?」
と、オレが来た方を指で指して教えてやる。
「おお、なるほどな。森の中は迷いやすい、なら森を抜けてから行く方が確実というわけだな。さすが冒険者だ。では今度こそ、さらばだ。」
冒険者かどうかはあまり関係ないな。このポンコツ具合はなんだろ。オーク1匹なら、軽く倒せるくらい強いはずなのにな。
しかも、まっすぐ歩いてたと思ったら、直角に左に曲がって歩いていった。
「うおおおおい、どこ行くんだよ!!!ちょっと待て。」
結局、1人で戻らせると永遠に野営地につかなさそうだったので、一緒にいくことにした。オレの後ろをついてこさせたが、なぜか気がつくと後ろから少し離れた場所を歩いていたりする。コイツ変な技能でも持ってんのか・・・・?
しょうがないので、手をつないで森の入り口を目指すことにした。
「な、なあ、これは流石に恥ずかしいんだが。私も子供ではないのだし・・・・。」
「うるさい。オレの後ろをついてこいって言ってんのに、後ろをついてこれないなんて、子供みたいなもんだろ。」
オレの返事を聞いて、プクーっと頬を膨らますメイア。
「貴方とは年もそれほど離れてないだろう。そんな人に子供扱いされるとは心外だ。」
「それとシュンでいい。それに、オレはこう見えて39歳だ。少なくともメイアよりは年上だと思うが、それほど年が離れてないのか?」
「39歳!?冗談はよせ。というか、私はそんな年ではない!」
今度はプリプリ怒りだした。中々感情豊かなヤツだな。
「まぁ、そういう反応になるだろうな。ほら、オレの組合員証だ。歳を見てみるといい。」
「ほ、本当だ。とても39歳に見えないが。偽造する意味もないし、嘘ではないのか・・・・。」
「納得してもらえたなら、何よりだ。ほら、そろそろ森を抜けるぞ。」
「ほんとか、じゃあ、そろそろ手を離してもいいんじゃないか?」
「いや、どうせなら野営地まで連れていくよ。手を離したらそのまま森に戻っていきそうだし・・・・・。」
「それは。私を馬鹿にしているのか?」
顔は笑顔だが、つないだ手をギリギリと締め付けてきて地味に痛い。
「前科があるやつが何を言っているんだろうな。ほら、森を抜けたぞ。野営地はどの辺だ?」
不満げな顔するが、思うところがあるのか、何も言い返さないな。
「街の正門から、北東300メートルほどいった森の付近に陣を敷いている。」
「てことは、こっちか。」
野営地があるだろう方向へ歩きつつ、そういや、気になってることがあったんだ。ちょうどいいから、メイアに聞いてみようかな。
「メイア達が、森の魔物を討伐を始めたのは、いつぐらいから?」
「2、3日前だな。今日はたまたまだが、昨日までは仲間と一緒に狩りをしていたぞ。」
ドヤってるなぁ。しかし、2、3日前か。最近、魔物の討伐依頼が減ったのは、騎士団が出張ってきたからってことか。
「ちなみに、薬草とかも採取してる?」
「いや、回復薬は国からの備品があるので、特に採取とかはしてないな。」
「なるほどね。2、3日狩りをして、魔物の数は多いと感じたか?」
「どうだろうか。騎士団では定期的に魔物を狩るようにしているが、普段から狩りをしているわけではないのでな。でも、ゴブリンが多いような気がしたな。」
ふむ、ゴブリンの巣ができて、奴らが薬草を食い散らかしてるとかだろうか。中々、悪くない情報ではあるな。そんな話をしつつ、どうやら目的地が見えてきたようだ。やれやれ、無事に迷子を送り届けれそうだな。
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