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感謝の気持ちどれだけ伝えてもいいもんですよね。

ありがとうですわ!

10


念願(ねんがん)胡椒(こしょう)が手に入り、加工してから新たに栽培用(さいばいよう)の場所を地下に作った。

胡椒も無事に育って欲しいところだ。


そしてオレは、いつも通りに朝起きてから地下の鍛錬用(たんれんよう)に作った部屋で鍛錬をしている。最近では、泊まりに来たアーティがオレの鍛錬を見て、自分も鍛えて欲しいと言ってきたので、自分の鍛錬を軽くした後、アーティと木製のナイフを使い模擬戦(もぎせん)をしながら、ナイフの使い方や動き方などをオレのわかる範囲で教えている。

さらに、それを見ていたエリスも運動不足解消と言いながら、鍛錬に参加するようになり、エリスには木製のダガーを用意した。


オレの前にアーティとエリスがいて、2人と向かい合って立っている。

アーティは体を半身(はんみ)にしてナイフを突きやすい形で構えている。一方エリスはダガーを逆手に持って腰を落として、オレの動きに対応できるように構えていた。


「っふ!」


アーティがオレに近づいてきてナイフを突き込む。ナイフやダガーなど刃渡(はわた)りが短い武器は相手にかなり近づく必要がある。それに、刃の長さが短いので斬りつけるより突き込むほうが、カウンターを食らいにくいだろう。


オレはそれを体を()らして(かわ)す、するとそれに合わせたエリスが、逸らした体に合わせてダガーで切りつけようと走り出してきていた。オレは手に持っていた木製のナイフでその攻撃を(はじ)く。

エリスはそのままオレの横をすり抜け、オレはエリスとアーティに(はさ)まれる形となる。


エリスの攻撃は、次の行動まで考えられた動きになっていて実に合理的だな。


すぐさまエリスは()け出し、今度はオレの軸足(じくあし)を狙いにきた。彼女は身を低くして突き攻撃をしてくる。そして、アーティがその攻撃に合わせて連続でナイフを突いてきた。


アーティの攻撃はとりあえず、オレの足止めというところかな。


オレはナイフを突き込んできたアーティの右腕が伸びきったところで、その腕を右手で掴んでからそのままッグと引いてやる。すると、アーティはその勢いのまま前につんのめる。オレはアーティを引いた勢いを利用して、左足を軸に体を回すことでアーティの後ろに回り込んで、エリスの突きを(かわ)すと左手に持ったナイフをエリスの首筋に当てる。


「はい、ここまで」


つんのめった体勢から回復したアーティは座り込んで息を吐いた。


「はあー。全然攻撃が当たらないですねー」


エリスも汗をかきながら一息つく。


「これでも元☆2パーティーにいたんですけど、腕が(なま)りましたかね・・・」


オレは2人の言葉を聞きながら感想を述べる。


「アーティもナイフの扱いが上手くなって、突きの速さや動きに無駄がなくなってきて上達してるよ。エリスだって並の冒険者より動き出しも早いし、躱しにくい攻撃ばかりで避けるのが大変だよ」


オレの言葉にエリスが苦笑する。


「とはいえ、シュンさんには避けれらてばかりですけどね・・・」


「まあ、そこはオレがすごいってことで」


「自分でいうところが自信家ですよねー」


オレの返事に笑いながら答えるアーティ。


「冗談だよ・・・」


オレは口をへの字にしながら、じと目でアーティに返事をするのだった。その後、オレは朝食の準備に、エリスとアーティは汗を流しに風呂へ。

朝食を食べた後、エリスは組合に行き。アーティは家に戻っていった。



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2人が家からいなくなってから、オレは趣味部屋にてエリスへの贈り物を考えていた。というのも、顔には出さないが、オレがアーティに素材を送った話を聞いて(うらや)ましいと思ったのか、たまにアーティが新調したレザーアーマーをじっと見ていることがあった。


おかしい、ちゃんと王都に行ったときもお土産とか渡しているはずなんだがな・・・。


実際のところ何を考えているかはわからないが、ここは一つご機嫌(きげん)をとりたいと思う。でまあ、エリスに送るとアーティが可哀想なので、どうせなら2人へ何か魔道具を作って贈ろうかな。


そんなわけで、身につけている人を守る効果のある魔道具を作ろう。

オレは空属性(くうぞくせい)の力を魔石に込める。しばらくすると、魔石は黒からより濃い黒色に染まる。出来上がった黒光りする魔石に浮かび上がる文字は『物魔遮断(ぶつましゃだん)』。これは魔石へ魔素(まそ)を込めることで物理攻撃と魔法を遮断する膜をバリアのように発生させるように想像して魔素を込めた。


空間を操る空属性ならではの効果だな。


試しに魔石へ魔素を込めてみる。すると、オレの体全体をうっすらと白く輝く(まく)(おお)う。しかし、その直後、オレはクラっとしてしまう。


これは・・・、ダメだな。オレですらちょっと魔素酔いがきた・・・。


オレが魔素酔いを起こすくらいの魔素量が必要になってしまうとエリスやアーティだと発動前に魔素が尽きてしまうだろう。


どうやら、効果が強すぎるみたいだ。ふむ・・・、どうしたものかな。


オレは少し考えてから別の魔石にもう一度、属性変化した魔素を込める。魔石の色が変わったところで浮かび上がる文字は『物魔軽減(ぶつまけいげん)』。

今度は物理攻撃や魔法攻撃を遮断するのではなく、攻撃の威力を軽減する、威力の低い攻撃なら防ぐという効果にしてみた。


オレは改めて魔素を込める。見た目はさっきと一緒で、うっすらと白く輝く膜が体を覆うが、今度はさほど魔素を消費した感じはしない。これなら、いざという時に色々と応用が効くだろう。ただ、この状態だと魔法は使えないだろうが・・・。


魔石を作る目処(めど)がたったので、オレは街の装飾品を扱う店で銀の腕輪を2つ買ってきてから、それを錬金術で加工して魔石を()める穴を作る。それと同時に、エリスとアーティにしか使えない仕掛けを(ほどこ)し、加工して丸くした『物魔軽減』の魔石を嵌めて完成だ。


エリスに送る腕輪は加工した際に端っこに狐の顔をつけた。そして、アーティに送る腕輪には太陽を形取ったものをつけた。それぞれのモチーフのちょうど反対側に魔石が嵌め込まれている。


できれば、今日の夜にでも渡したいがアーティは今日は来るのかねえ。

まあ、アーティが来なければアーティにはまた別の機会になるけど、それはしょうがないか。


うーん、喜んでくれるといいなあ。

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