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いつもいつもお読みいただいて感謝感激。


オレは今、アーティに完成した2階部分を案内している。

2階へ上がるには廊下の突き当たり、1階にあるオレの部屋を出た左に階段を新たに作った。


「この2階にある部屋はどれも同じ広さにしてあるから、どこでも好きな場所を選んでいいぞ」


「じゃあ、この階段の近くの部屋にします」


「んじゃ、部屋に寝具(しんぐ)とか出していくか」


先日、エリスとアーティの3人で買い物にでかけたときに、生活物資やアーティの寝具を購入していた。


「はい、お願いします」


「・・・いや、腕を離してくれないと魔法袋(まほうぶくろ)から物が出せないんだが」


アーティはオレの家に来てから、ずっとオレの左腕に自分の腕を(から)ませていた。


「えへへ、すいません。シュンさんの近くにいると涼しいので(はな)(づら)くて・・・」


オレはクーラー代わりらしい。

先日()み出した生活魔法((きわみ))によって、オレの近くが涼しくなっている為、エリスもだが家ではずっとオレにくっついてくる。


オレはアーティに離れてもらい、ベッドや机を置いていく。


「置く位置はここでいいか?」


「はい、あ、でもベッドはもうちょっと左にお願いしていいですか?」


「あいよー」


オレはベッドの位置を調整する為に、かがんで位置を調整した。調整が終わり、無事に配置が完了したので、オレは立ち上がって背中を伸ばす。


「んー、これで終わりだな」


「ありがとうございます」


「今日は泊まっていくのか?」


「はい、いいですか?」


「ああ、もちろん」


オレはアーティに返事をしながら彼女のほうを向く。アーティはオレと離れた為に、汗をだらだらと流していた。

オレはそんなアーティに声をかける。


「下に降りてお茶にするか」


「そうですね」


アーティがオレに返事をしつつ、にじり寄ってきた。

オレは後ろにさがりつつアーティへ呼びかける。


「アーティ?お茶にするなら1階に降りるんだぞ?こっちじゃない」


「いえいえ、家主(やぬし)を差し置いて先にいくなんて・・・」


さらにじりじりとオレに寄ってくるので、オレが下がると足がベッドに当たり体勢(たいせい)(くず)す。そこへ、すかさずアーティがオレにしがみついてきて、オレの(ほほ)に自分の頬をすりすりとしてくる。


「えへへ、冷たくて気持ちいいー」


「ぎぃやああああああああ。ベタベタするー」


「ひどいですよ、シュンさん。美少女の(しる)ですよ?役得(やくとく)ですね」


「汁っていうな・・・」


アーティとじゃれあいつつ、しばらくしてから居間へ移動したのだった。




さて、2階が完成し、アーティも今日は泊まるということで、久々に料理の腕を振るおうかな。というのも、煮込(にこ)み料理が食べたくなったのだ。とはいえ、醤油(しょうゆ)はないので塩を使う煮込みなのだが。


買ってきた手羽元(てばもと)(なべ)にいれて、(とり)ガラに刺激的(しげきてき)な香りのする香草と塩で味を(ととの)えて煮る。丹念(たんねん)灰汁(あく)を取り除いて料理酒も入れておく。


あー、胡椒(こしょう)に醤油を使った牛すじ煮込みが食べたいなあ・・・。大豆は無事に作れたから何としても醤油を作りたい・・・。


エリスとアーティも手伝ってくれて、野菜料理を1品ずつ作る。メインはオレの肉料理だな。


3人でテーブルについてから早速ご飯を食べようとするが、オレは左にエリス、右にアーティと2人にサンドイッチされている。


「このテーブル、片側に2人で座る4人用のテーブルなんだけど・・・」


本来なら2人で座る広さのなのに、3人で座ってるので非常に(せま)い・・・。


エリスは何を言ってるんですか?って顔でオレを見る。


「それがどうかしました?」


すると、アーティもオレに話しかけてきた。


「早く食べましょう!お腹が減りました」


オレだけが気にしてるのだろうか・・・?まあ、いいや。じゃあ、オレが向こうに移るか。


「んじゃ、オレが向こう側に座るよ・・・」


「「ダメです!」」


オレがよっこらせと立とうとすると、エリスとアーティがハモって叫びつつ、2人に片方ずつ肩を(つか)まれて座らされる。

そして、エリスが笑顔で口を開く。


「ダメですよ?シュンさんがここにいないと暑いじゃないですか」


それにアーティが続く。


「私たちが隣にいたら嫌なんですか?」


そんなことを言われると何も言えないじゃないか。


「・・・嫌じゃないよ。それじゃ、食べようか」


3人で食事を始める。味付けは塩がメインだが(とり)ガラとの相性がよく、あっさりした味付けがほどよい。口に含むとホロホロと崩れて、鳥の肉汁と塩が合わさって汗をかいた体に染みるな。

その証拠にエリスがバクバクと肉を頬張(ほおば)っている。美味しそうに食べてくれて嬉しいよ。

アーティも気に入ったようで、お肉を綺麗に食べ骨だけにしていく。


「やっぱりシュンさんの料理は美味しいです。お店(ひら)けるんじゃないですか?」


アーティが笑顔でそんなことを言ってくる。


大袈裟(おおげさ)だな。オレは塩が使えるから美味しく感じるだけだろ」


「それはそれで、塩を当たり前のように使ってる時点で普通じゃないですけどね」


アーティが苦笑してオレに言った。


「でも、本当に美味しいですよ。私、シュンさんと暮らし始めてから外食する機会が減りましたし」


エリスもそんなことを言ってくるのでオレは2人に・・・。


「肉のおかわり、いるか?」


と、つい嬉しくなって言うのだった。


その後夕食を終え、アーティが初めてのお泊まりということもあり、エリスにはアーティへお風呂の使い方を教えてあげるように頼んだ。

その2人は、今一緒にお風呂に入っており、オレはその間に食器を洗ったりと夕食の後片付けをしていた。


()(つき)に入り日中の気温は高いが、夜はある程度気温も下がる。寝苦しい日もあるが窓を開けて風が入れば、それなりに涼しいので基本的には朝までぐっすりだ。


まあ、オレは朝方気温が上がって、汗をかきながら目覚めるのが嫌なので、生活魔法(極)で涼しくして寝ているが。


後片付けを終えて一息ついていると、エリスが声をかけてきた。


「シュンさん、お風呂先にいただきました」


「ああ、んじゃ、オレも入ってこようかな」


オレが返事をすると、アーティが興奮しながらオレに話しかけてくる。その姿は、普段はポニテにしている髪を下ろしており、いつもと雰囲気が違い新鮮だった。


「シュンさん!なんですか、ここのお風呂!綺麗(きれい)浴槽(よくそう)に、あのお湯がしゃわわーって出るのとかすごいじゃないですか!この便利さを知ってしまったら、私、もう大衆浴場にいけませんよ」


「そう言ってもらえると頑張ったかいがあるな。あの風呂はオレの自信作なんだ」


オレはドヤってアーティに返事をした。


「それに、初めて噂の石鹸(せっけん)を使いましたけど、皆がこぞって石鹸を買いに行く理由がよくわかりました」


アーティが自分の手をひらひらさせながら見ている。

確かに、肌のはりが違うように感じるが、アーティの若さだとそこまで違いがあるようにも思えない。

まあ、本人が喜んでいるならそれでいいか。


「さて、風呂にいってくる」


オレが2人に言うと、アーティが悪戯(いたずら)な笑みを浮かべながらオレに返事をする。


「お背中お流ししましょうか?」


「そのうちな」


オレは右手を軽く振りながら、その言葉あっさりと流して風呂に入りにいった。

お風呂から上がって居間を見ると2人の姿はなかった。


もう寝たのかね?と思ったが、どうせオレの部屋にいるのではなかろうか・・・?暑いから一緒に寝るとか言い出されそうだ。


オレは、自分の部屋の扉を静かに開ける。中に人の気配はなく、明かりもついてない。


考えすぎか・・・。


オレは、しばらく本を読みながら髪がちゃんと乾くのを待ってベッドに入った。

今日も1日お疲れ様でした。


翌朝、目が覚める直前に不思議な感覚に包まれていた。


これは、金縛りか・・・?っく、体が重い。


前世でも、うたた寝した時とか金縛りにあったなあ。意識はあるが体が動かせないというのはかなり怖い。それが嫌でうたた寝できなくなったほどだ。

とりあえず、目を開けてみる。


おや、目が開くということは金縛りじゃないな。って、何じゃこりゃ・・・。


オレから見て左にアーティ、右にエリスがいた。2人はほぼオレに(かぶ)さる形で寝ていた。


そら体が重く感じるわ・・・。


その後、オレは体を揺らして2人を起こして理由を聞くと、エリスは夜中暑くなってオレのベッドへ(もぐ)り込んできたらしい。アーティは暑さで(のど)(かわ)き、水を飲みに降りてきたらオレの部屋の扉が開いており、エリスが一緒に寝てるのを見て(うらや)ましかったので便乗(びんじょう)したとか。ただ、オレが予想以上に冷やっこいので、快適に寝れましたと言っていた。


冷抱き枕、オレ爆誕。


さすがに、これを連日されるとオレが睡眠不足になりそうなので、しょうがないので、何か涼しく過ごせる魔道具を考え始めたのだった。

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