第5話 エピローグ
今日もお読みいただいてありがとうございます。
これにて5話は終了です。
よろしければ、また6話にてお会いしましょう。
エピローグ
オレ達はクリオールに帰ってきた。
勇者の宣託から数日経ちレインさんも仕入れを終え、オレとレインさん、メルト、アーティ、ニーナの5人で帰ることになった。
エヴァは勇者を探す旅へ、公爵領の男性騎士はクリオール領へ戻り、メイア達はエヴァの護衛も兼ねて同行することになった。
リオニー様も元気になった為に護衛も必要なくなったとかなんとか。
そして、オレは今アーティと家の前にいる。
「とりあえず、オレが先に入るからアーティは扉の前で待っててくれ」
「わかりました」
エリスには前もって帰る日を伝えてあるので家にいるはずだ。
オレは家の扉を開けて中に入る。
「シュンさーーーーん!!」
「ただいま、エリッうっ!」
エリスからただいまのタックルを腹に喰らった。
そして、おなじみの匂いを嗅がれる。
「シュンさん以外の匂いがしますね・・・」
そういうのもわかるもんなんすね・・・。
とはいえ、オレは覚悟を決めてエリスに話しかけた。
「ああ、アーティが外で待ってる。エリスに話があって一緒にきてもらったんだ」
エリスはオレの言葉を聞いてしばらく無言で固まっていた。オレの腹に顔を埋めながら・・・。
そして、ゆっくりとオレから離れて口を開いた。
「ついにこの日が来ましたか・・・。意外と早く来てしまいましたね。相手はアーティですか・・・。予想通りといえば、予想通りでしょうか」
「とりあえず、話を聞いてもらっていい?」
「わかりました」
エリスが頷いてくれたのでアーティを呼び、お茶を飲みながら話すことにした。
テーブルにエリスが座り、その対面にアーティ。お誕生日席にオレが座るというトライフォー・・・じゃなく、トライアングルの形だ。
オレが年長者なので司会進行をすべきかな。
「ふー、とりあえず、王都での話からかな」
と、話始めたらアーティがオレを制して話し始めた。
「いえ、ここは私が話します。エリスさんにわかって欲しいので」
アーティは真剣な目をしてエリスを見つめた。
「わかりました。知らない仲ではありませんから、お聞きしましょう」
男ってこう言う時立場が弱いよね・・・。
その後、アーティとエリスの話が続いた。アーティはオレを好きになったきっかけから、エリスのことを尊敬もしているし、上手くやっていきたいという気持ちを込めた話を。
エリスはそのアーティの気持ちを確かめるように、それでいて、あくまで自分が1番であるということをわからせるように話をする。
オレはその話を聞きながら冷めたお茶をひたすら入れ直し、クッキーを補充していた。
ふー、忙しいぜ・・・。
ある程度話が落ち着いたところで、エリスがオレに話をふってきた。
「最後はシュンさんが決めてください。私はシュンさんが決めたことなら文句はありませんから」
オレはエリスの目を見つめながら、無理をしていないか、気持ちを押し殺していないかを見極めようとしていた。
「オレはアーティの気持ちに応えたい。勝手な言い分だとはわかってる。けど、アーティがいたとしても、エリスには今と同じくらい応えていくつもりだ。ただし、エリスはオレが決めたことなら文句はないというけど、オレはエリスが本当に嫌ならアーティには悪いが断るよ」
通すべき筋は通さないとな。
エリスはオレの言葉を聞きながらずっとオレの目を見ていてれた。
「ふふ、いいオスはメスを寂しがらせたりしないものです。大丈夫です。シュンさんを信じてますから」
そういって笑ってくれるのだった。
こりゃ敵いませんわ・・・。
そうして、人によっては処す案件となるオレは2人目の恋人ができた。
まあ、エリスだけじゃなく、アーティにも寂しい思いをさせないようにしないとな。
「でも、アーティでよかったです。いい子だって知ってますから」
その言葉を聞いてアーティも笑顔になる。
「私もエリスさんとなら仲良くできると思ってます。それに、私お姉ちゃんがずっと欲しかったんですよ。だから、そういう意味でもエリスさんと仲良くしたいです」
「もう、アーティはずるいですね」
といいながら、アーティをぎゅーっとハグしているエリス。アーティも満更じゃない顔をしているから、本当に嬉しいんだろう。
エリスが理解のある女性でホッとしている。いや、この世界では割と一夫多妻はありなのだろうか?いやいや、自分に都合のいい考えは捨てよう・・・。大切な人が増えたのだから、その分2人にちゃんと応えないとな。
「ところで、シュンさん?」
「ん?何?」
「今、アーティから王都での話を少し聞いたんですが・・・」
おやおや?エリスさんから圧を感じるよ・・・?
「な、なんでしょう・・・」
「もう増えませんよね・・・?」
何?アーティから一体何を聞いたんだ・・・?
「いや・・・、押しの強い子がいまして・・・。いくら断っても諦めてくれない子がもしかしたら・・・」
オレの言葉にエリスがオレに近づいてニッコリと笑う。
オレも釣られてニッコリと笑う。
「アーティは許しましたが、そもそも恋人になってから2人でゆっくりする時間もあまり取れてないですよね・・・?」
「は、はひ・・・。そうですね」
あまりのエリスの迫力にオレは顔から汗をダラダラと流すしかなかった。
「わかってるなら・・・。しばらくは、私とアーティだけにしてください」
エリスはそう俯きながら顔を赤くして呟き、オレの胸に頭を軽く預ける。
この気持ちをどう表現すればいいんだろうか、そんないじらしい姿を見せられたら、抱きしめずにはいられなかった。
「ごめん。そうだな。まずは、ちゃんと2人を大切にするよ」
オレとエリスを見たアーティがオレを背中から抱きしめてきた。
「ありがとう。アーティ」
見えないけど、アーティが笑ってくれた気がした。
前世では考えられないことだけど、大切な人がまた増えた。嬉しい反面、不安もあるけど、オレはオレの思う通りに2人へ愛情を注いでいこうと思う。
そんな決意をしながら、風の月が終わり、日々気温が上がって火の月が近づいてきていた。
春が終わり夏がくるのだ。3人で迎える初めての夏が。
これからも3人で楽しいことが待ってるはずだ。こうなれば、とことん楽しんでいこうじゃないか。
オレはそう思い、これからの未来にワクワクするのだった。
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