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「っほ、・・・・ふー。」
オレは朝になるべく訓練するようにしている。
この世界には技能というものがあるという話をしたが、わかりやすくいうとスキルだろうか。
これは、生まれた時から持っているものもあれば、経験によって生えてきたりする。元から技能を持っている人は、その技能に即した動きであったり、知識が閃いたりする。
オレはこの世界に来て、武芸全般という技能を体得した。これは、あらゆる武器を扱えたり、戦いに関する動きができるというものだ。
とはいえ、扱いかたがわかるからといってうまく扱えるかは別問題なのだ。格闘ゲームで例えると、技コマンドは知っているが、うまくスティックを動かさないと技が出ない。そんな感じだ。まぁ、現実はゲームではないので、ある程度の動きにはなったりするわけだが。
なので、頭の中のイメージを自分のものにする為に、ここ数年はずっと訓練している。
訓練が終わると、軽く汗を流して、さあ、組合にいこうかね。
エリスとの約束の日まで、何もせずに待つのも退屈だしな。
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組合につくと早速依頼が張り出されている掲示板を覗く。
薬草採取に、街のドブさらい、大工の荷物運びエトセトラ、エトセトラ。
「討伐系の依頼が少ないな、平和な証拠だな。」
てわけで、薬草採取にするか。
依頼表を取って、空いている受付はと、お、1つ空いてる受付があるからそこにいくか。
「この依頼を受けたいんだ、手続きを頼む。」
「はい、わかりました。って、あら?シュンじゃないですか。」
げ、ここの受付ってカディアだったのか。
何かと貢がせようとするから苦手なんだよな、この子。貢いだことないけど。
とはいえ、伊達に営業を経験していない。そこを悟らせないよう大人な対応をしてみせよう。
「おはよう、カディア。今日はここの受付なのか。」
「ええ、やはり私のような人気受付嬢が、依頼関係の受付をすべきでしょう。」
と言っているが、実質一番人気はエリスだったりする。本人は、自分が一番ちやほやされたいらしく、勝手にエリスをライバル視しては張り合っている。
金色の髪を腰まで伸ばしていて、顔も整っていて美人だ。唯一残念なのは、Aカップということくらいか。天は二物を与えずとはこのことか。
「アナタ、何か失礼なことを考えていません?」
「イヤ、ベツニ、カンガエテナイデス。」
黙ってれば美人なのに性格がなぁ、まぁ、余計なお世話か。
「本当かしら・・・。まぁ、いいでしょう。依頼は、薬草採取ですか。最近、全然討伐依頼をしてませんけど、受けないんですの?」
「さっきも掲示板を見たけど、討伐依頼がほとんどなかったぞ。それに、討伐依頼って、魔物を探さないといけないから、意外と面倒なんだよ。薬草探してる最中に見つけたら狩るようにはしてるけどな。」
「確かに、最近討伐依頼が少ないですわね。てっきり、また、シュンが根こそぎ狩り尽くしたのかと思いましたわ。」
昔の話だが、かつてオレがこの街にきてしばらくした頃、冒険者の階級をあげたいが為に、西へ東へとゴブリンの巣や、オークの巣といった魔物の巣を見つけてはサーチアンドデストロイしたことがあるのだ。その時に集めた素材を組合に卸したときは、大量の肉が街に出回り、一時肉祭り状態になった。
カディアが、またと言ったのは、その時に何回かカディアが受付の時に報告をしたことがあるからだな。
「さすがに、もうそんなことしとらんわい。」
「あら、残念。またやればいいですのに。そうすれば、街にもお肉が溢れて喜ばれますのに、ついでに、私にもお裾分けをくださいな。」
「そっちが本音だろうが。そもそも、何でカディアに肉をやらんといかんのだ。」
「それはシュンが私の美貌にゾッコンだからでは?」
「なかなか面白い冗談だ。」
「照れ屋さんですのね。」
クスリと笑うカディア。
ハートがつええな、おい。てか、そろそろ依頼を受理して欲しいんだが・・・・・。
その時、不意に首筋がヒヤリとした
「っは!?殺気!?」
「ずいぶん、楽しそうに話してますね?シュンさん。」
エリスがオレの後ろで立っていた。
背後を取られただとぉ・・・・。というか、笑顔なのによくわからん圧を感じる・・・・。
「いや、楽しそうでは、断じてない。」
「言い訳ですか?」
「いえ、滅相もない!依頼を受理してもらうようにお願いしていただけであります!」
「まぁいいですけど。カディアも早く受理してあげて、次の人が来たらどうするの?」
「あら?今のところシュンだけですから、問題ありませんわ。それに、シュンが私と話したそうにしてましたので。」
「そうなんですか?シュンさん?」
やめろお、オレを巻き込むんじゃねえ。あとエリスさん、その圧やめてください。
「単なる世間話だ。でも確かに受付で話してたら他の人の迷惑になるな。カディア、そろそろ依頼の受理を頼む。エリスも気をつかってくれたんだな。ありがとう。」
「いえ、お礼を言われるようなことでは・・・。」
エリスの圧が緩む、ふう、気を遣える男、それがオレ。
「わかりましたわ。では、お肉のお裾分けをお待ちしてますわ。」
「シュンさん、カディアにお肉のお裾分けするんですか?」
再び圧が高まる気配!?
「いや、カディアとそんな約束はしてない。組合には寄付することはあるかもだが。」
「それは実質私にお裾分けしたも同然ですわね。」
何でそうなる。ほんと、ポジティブな子だな・・・・。まぁ、オレの言葉に納得してくれたのか、エリスもようやくいつもの雰囲気になってくれた。
「全く違う。はぁ、そろそろ行くわ。エリスも仕事頑張ってな。」
「はい、シュンさんも気をつけて行ってらっしゃい。」
「ああ、行ってきます。」
「私とエリスで対応が違いません?」
「気のせいだ。カディアも仕事頑張れよ。」
「当然ですわね、アナタも無事に依頼を終えれるように頑張りなさい。」
「はいはい、頑張りますよ。」
というか、カディアよ、オレはお前より年上なんだが、わかっているのか・・・・・・。
まぁいいか、それじゃ、薬草採取にいきますか。
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