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読んでくださって感謝〜。
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あれからアレックスが王都に来てからの行きつけのお店があるということで、そこへメルトと3人で移動してお茶をした。さすが王都というべきか色んなものが流通していて、香りの高いお茶が飲めて美味しかった。
その間メルトとアリックスはお互いの冒険者の話をしながら色んな話をしていた。オレも他の街の迷宮の話などを聞けて面白かったな。
2人は王都にいる間に、また会う約束をして別れることになった。がんばれメルト少年。
そして、メルトがアーティにとってもらった宿はオレやレインさんが泊まっている宿だったので、一緒に宿まで帰ってきてから夕食をとることになったのだが、何故かオレはアーティとニーナに挟まれていた。
「へええええー、シュンさんはエリスさんという人がいながら、こんな可愛い人と仲良くしてたんですか」
「師匠って、いつもエリスさんがいるといいながら、女の人の知り合いが多いですよね?こちらの方も可愛らしい方じゃないですか」
最初にオレに嫌味を言ったのが、茶髪をポニーテールにしているアーティで、次に誤解のある言い方をしたのが、赤い髪を肩くらいまで伸ばしているニーナだ。
メルトとレインさんは危険を察知したのか、オレ達のことが見えていないかのように2人で談笑している。聞こえてくる話からすると、どうやらメルトが妻帯者であるレインさんに、女性に対する心得を聞いているようだ。
助けてくれー。とメルトに念を送ると、チラッとこっちを見たメルトと目が合ったが、奴は無情にもオレから視線を逸らすのだった。
おのれ!?次から助けてやらんぞ・・・。
「聞いてます?シュンさん」
「聞いてるよ、アーティ。久しぶりに会ったのに、ずいぶんな言い草だと思ってな。仲良くかは置いといて、こちらはニーナ子爵で、オレが魔法を教えることになったので、弟子として面倒みてるだけだよ」
「何です?師匠。随分他人行儀な紹介の仕方ですね。」
「噛みつくなよ・・・、ニーナ。こっちの子はクリオールの冒険者仲間でアーティ。あそこで話してるメルトの妹で、兄弟でパーティを組んでるんだ」
「ずいぶんあっさりな紹介ですね、シュンさん」
どないせいっちゅうねん。
オレが現実逃避しかけていたところ、アーティがニーナに話しかけていた。
「えーと、子爵ということは貴族様なんですね・・・。ニーナ様?」
アーティの質問に柔らかく微笑んで返事をするニーナ。
オレにもそういう態度で接して欲しいんだが・・・。
「敬語はいりませんし、ニーナでいいですよ。子爵といっても田舎の土地の三女ですから大したことありませんし」
「そうなんだ。じゃあ普通に喋らせてもらうね。えへへ、ごめんなさい、敬語って苦手で・・・。私、アーティです。よろしく」
ニッコリと自己紹介するアーティ、オレに対する態度と全然違うんですけど・・・。
まあ、あとはアーティとニーナで仲良く話して欲しいと思い、オレはレインさん達の話に混ざろうかと思った矢先にアーティが話を振ってきた。
「で?ニーナさんを弟子にでしたっけ?それだけなんですか?」
「それだけっていうのがどういう意味かわからんが、それ意外に何かあるのか?」
「それはその・・・、何にもないならそれでいいです!」
プイっと顔を横に向けるアーティ。
「自分で聞いておいて怒るなよ・・・」
そのやりとりを見ていたニーナが今度はオレに聞いてきた。
「2人は昔から知り合いなんですか?」
「んー、1年くらい前だったかな、アーティがゴブリンに襲われててな、間一髪ってところで助けたのがきっかけだったかな。それからは一緒に依頼にいったり、組合で会ったら挨拶するくらいの仲かな」
「シュンさん覚えててくれたんですね。あの時は本当にダメかと思いました。その後、シュンさんが街までおぶってくれたんですよね・・・」
その時の事を思い出してるのか、アーティは顔を少し赤くして嬉しそうにオレの話を補足してくれた。
「もう駄目だと思った時に颯爽と登場ですか・・・。これは駄目なやつですね。完全に乙女の顔をしてます」
アーティを見ていたニーナが何やら呟いているがよく聞こえない。
「まあ、アーティは年齢的にはオレの娘みたいなもんだし、助けれてよかったよ」
「え?」
オレの話を不思議に思ったのかアーティが疑問符を浮かべる。
「ん?どうかしたか?」
「いえ、シュンさんが私のことを娘みたいなもんだって言ったのが不思議で」
「いや、オレ39歳だからさ。アーティは見たところ15、6って感じじゃないか?」
「はいいい?39歳!?」
「わ、びっくりした。いきなり大きい声出すなよ」
「だって、シュンさんが39歳って・・・」
驚くアーティにニーナが話しかける。
「本当なんですよ。この見た目で・・・。組合証を見せてもらいました」
「え?じゃあ本当に39歳なんですか・・・?シュンさん」
「ほら、組合員証」
オレはアーティに組合員証を見せる。毎度毎度このやりとりもめんどくさくなってきたな・・・。
「ほ、本当だ・・・。じゃあ、私とは24歳差・・・」
へえ、アーティは15歳なのか。
「ま、そういうことだ。流石に前途ある若者を救うのはおっさんの役目だろう」
聞こえているのかわからないが、アーティが真っ白になって呆然としていた。口から魂のようなものがでているように見えるが、そこまで驚くことだろうか?
「なあ、ニーナ。オレの年齢ってアーティがあそこまで驚くことなのかな?」
「いえ、まあ驚くことではありますけど、あれはまた違った意味で真っ白になってるだけですよ・・・」
ふむ、まあ、若いと色々あるんだろう。
「ところで、講師の件はどうなった?」
「あ、はい。明日、一度友達に会ってもらえますか?その時に、授業の進め方など打ち合わせしたいそうです」
「了解、明日ね」
さて、そろそろお開きにしようじゃないか。
そう思いオレは皆に挨拶をして自分の部屋で寝るのだった。
最後にチラッとアーティを見たが、ニーナが何やら慰めていた。
解せぬ・・・。




