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ほっほっほ、またお会いしましたな。
では、5話の始まりです。
よければ今話もお付き合いください。
1
王都について最初の日は疲れを取ろうということで、レインさんと共におすすめの宿で休すむことにした。
しばらく滞在することになった宿はレインさんのおすすめなだけあって、清潔感があってご飯も美味しく十分に休むことができた。
そして次の日、オレはレインさんと共に王都にある冒険者組合にきていた。
ニーナは友達の予定を確認すべく学院へ行き、レインさんは、メルトとアーティがすでに王都に来ていたら合流する為に、来ていなければ伝言を残す為に受付嬢へ向かって行った。オレは依頼完了の報告をする為に、依頼報告受付に行くことにする。
1人並んでいる人がいたが、すぐに報告が終わりオレの番になる。
「こんにちは、報告ですね。組合員証と依頼書をどうぞ」
護衛依頼といった依頼は依頼書が発行され、依頼完了のサインを書いたものを組合へ提出する。今回はエヴァがサインをしてくれた。
受付を対応してくれているのは、牛人族の女性だった。頭から生えた角が特徴的だ。あと大変立派なものをお持ちですね。久しぶりの理性さんが働いてくれているので、オレはその受付嬢の目をみて話すことに成功する。
「はい、確認が取れました。組合員証をお返しいたします。それから、これが報酬です」
「どうも、ありがとう」
最後にニコリと微笑んでくれた受付嬢から報酬の入った袋を受け取って、オレは受付を後にした。
さて、レインさんと合流しようと思いその姿を探していると、向こうからレインさんと一緒に見慣れた姿が歩いてきた。
「よお、メルト久しぶりだな。レインさんも無事に合流できたんですね」
「はい、ちょうど受付で伝言を頼もうとした時に彼と出会いましてな」
「お久しぶりです。シュンさん。」
レインさんがオレに返事をしてくれ、次に返事をしたのがメイヒムに行く時に一緒だったメルトという少年だ。相変わらずのハニーフェイスというべきか、ボブっぽいショートカットに目がぱっちりしている顔だ。年上のお姉さんにモテそうだよな。
「今回はレインさんのお手伝いだってな」
「そうですね。危険なこともなく稼げるならそれもいいかなと思いまして」
「ま、確かに。アーティは一緒じゃないのか?」
「ええ、アーティは先に宿をとってもらってます。ついでに王都観光をするって言ってました」
アーティらしい、思わず苦笑してしまう。オレの顔を見てメルトも苦笑していた。
そんなことを話していると、後ろからドンと人がぶつかってきた。
「あ、すいません」
「おっと、いや、こちらこそ受付の近くで話し込んでしまった悪かった」
オレとぶつかってしまった女性はオレに気づくと声をあげた。
「あ」
「ん?あ・・・」
その女性はメイヒムで出会ったパーティ”槍水仙”の犬人族、アリックスだった。
2
「久しぶりですね、シュンさん」
「あー、久しぶり・・・。アリックス」
相変わらずの金髪ゆるふわの髪質に、垂れ気味の犬耳を携えてニコリと笑うアリックス。
彼女がここにいるということは、あの女が一緒なのか・・・?
オレは辺りを見回しつつアリックスに尋ねる。
「アリックス1人なのか?」
「ええ、依頼の報告にきただけですから。リンカは宿で寝てますよ」
オレの考えがわかったのかそんなことを言ってくる。
いや、別にリンカがいたからってどうもしないよ?
「それはお疲れ様」
とはいえ、オレはどう言えばいいのかわからなかったので、とりあえず返事をしておく。
するとメルトがオレに話しかけきた。
「シュンさん、お知り合いですか?」
「ああ、メイヒムの街で迷宮に行った時に知り合ったんだ」
「へー、そうなんです・・・ね・・・」
オレに返事をしながらメルトがアリックスを見た。そして、アリックスもメルトを見ると2人ともお互いを見つめたまま固まってしまう。
なんだろう、見つめ合う2人の背後に薔薇がいくつも見えるようだ・・・。
アリックスは少し頬を赤くしてオレの服のそでをひっぱってくる。
「シュンさん、こちらの方は?」
「ええと、クリオールで冒険者をしているメルトだ」
オレの紹介にメルトが反応した。
「あ、あのメルトといいます」
「あ、えと、私はアリックスと言います」
そして、またしばし無言。なんだこの空気・・・。お見合いじゃないんだぞっと。
レインさんなんて、長くなりそうですなとか言って、露店の申請に行くと逃げて行ったぞ。オレも一緒に逃亡すべきだったか・・・。
まあ、アリックスにそでを掴まれているので逃げることはできないんだが。
「あー・・・、アリックスは報告はいいのか?」
「あ、そうでした。あの、メルトさんとシュンさんはこの後どうするんですか?」
オレは少し考えてからアリックスに返事をし、続いてメルトも答える。
「オレは王都の観光でもしようかなと」
「俺は宿に一度行く予定です」
「そうなんですね。もし、時間があればお話したいなと思ったんですが・・・」
アリックスは自分から誘うのが恥ずかしいのか、少し頬を染めてそんな提案をしてくる。その言葉にメルトが元気よく返事をした。
「俺は大丈夫です!時間があります」
そんなメルトを見て、わかりやすい奴だなと思いつつも、若いなーと感じてしまう。
大丈夫、おじさんはそういうところわかってるから、2人っきりにしてやろうじゃないか、メルト君。
「オレは1人で観光するから、2人でゆっくり話すといいんじゃないか?」
オレは気を遣える男だからな。笑顔で2人にそう言ってやる。
「シュ、シュンさん!?」
メルトが慌ててオレを引っ張って小声で話しかけてきた。
「ちょっと、どうして俺を置いていくんですか!?」
「いや、メルトが明らかにアリックスを意識してたんで、気をきかせてだな・・・」
「そういうの大丈夫ですから!一緒にいてくださいよ。正直、俺この手の経験がないんでどうしていいかわからないんです・・・」
「ええ・・・、めんどくさい・・・」
「今度お酒奢りますから・・・」
「わかったよ・・・」
メルトとの密談が終わると、今度はアリックスに引っ張られて小声で話しかけれられる。
「ちょっと何1人で行こうとしてるんですか?空気読んでくださいよ!」
「いや、空気を読んで2人っきりにしてあげようと・・・」
「そういうの大丈夫ですから!それに・・・、私、あまりこういう経験がなくて・・・。今日あったばかりの男の人と一緒なんてどうしていいか・・・」
顔を赤くするアリックス。
「じゃあ、何で誘ったんだ・・・」
「それは・・・、こう・・・、あるじゃないですか?直感的な?」
それは一目惚れというのではないのか・・・。
「と、とにかく、メルトさんのことを紹介するという意味でも一緒にいてください。じゃないと」
「じゃないと?」
「リンカにシュンさんが王都にいるって言いますよ?」
「オレに任せとけ」
オレはサムズアップしてから、実にいい笑顔でアリックスに返事をしたのだった。
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