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ゆる異世界でマイペースに冒険生活 〜神の力で時々変身ヒーロー〜  作者: 天道照
第4話 クリオール公爵と新たな依頼
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第4話 エピローグ

4話は少し短めとなり、これにてエピローグにございます。

よければ5話でまたお会いできるよう祈っております。

エピローグ


オレがウルフを倒してからも順調に王都へ進んでおり、あれから数日経過した。

もう少しで王都に着くらしい。そんな話を聞いた昼休憩中にエヴァがオレの近くにすすすと寄ってきた。


「シュンさん。レインさんから聞きましたが、クッキーなるお菓子を隠し持っているそうですね?」


隠し持ってるとは人聞きの悪い。


「まあ、ありますね。隠してるつもりはないですが、どうかしました?」


「どうもこうもありません!そんな良いものがあるならどうして私にも食べさせてくれないんですか?」


いつになく強い口調でいうエヴァ。普段はおっとりしてる感じなだけに、こういうそぶりは新鮮だな。


「と言いましても、エヴァ様においそれと食べ物を渡して何かあったら大変じゃないですか?」


「でも前は蜂蜜(はちみつ)(あめ)をくださいましたよ?」


「あの時はニーナが先に食べてましたし」


「ならクッキーはレインさんが食べてますよね?」


ぐうの()も出ないとはこのことか。見事に論破(ろんぱ)されてしまったな。まるで弾丸が飛んできてパリインと割れてしまったかのような衝撃だ。


「さあ、申し開きはありますか?」


と、オレにドヤアって顔で笑顔を浮かべるエヴァの前に、しずしずとクッキーを差し出すのだった。

そのやりとりを見ていたメイドさんも、(うらや)ましそうに(なが)めていたので、手招(てまね)きしてクッキーを渡す。

エヴァ達がクッキーを口に入れた瞬間に、2人とも(ほほ)を赤く染めて笑顔を見せてくれた。その表情だけで美味しいといってくれるようなものだ。


オレは微笑(ほほえ)ましい気持ちで2人を見ていると、エヴァがまたもオレに近寄ってきて手を出してきたので、オレはその手のひらの上に自分の手を置く。

すると、エヴァは違いますといわんばかりに、オレの手をペイっと()()け、もう一度手を出してきた。

オレはじと目をしつつ、しょうがないので、もう一枚クッキーを手に置いてみると、笑顔になってサクサクとリスのようにクッキーを食べ始めた。


行動じゃなくて口で言ってくれよ・・・・。


えこひいきはよくないので、メイドさんにももう一枚クッキーをあげたところで、他の女性陣にも見つかってしまい、メイアやサーヤ達、ニーナにまでクッキーを奪われてしまうのだった。


そんな昼休憩も終わり、再び出発してから数刻(すうこく)して、ついに王都が見えてきた。

オレはクリオールとはまた違った街の城壁を見て感嘆(かんたん)の声をあげる。


「おお、ついに王都が見えてきましたね。それに、立派な城壁だ」


オレの声に反応してくれたレインさんが答えてくれる。


「そうですな。まさに国の心臓、それだけ守りも(かた)くしてありますからな。」


「なるほど。そういえば、王都についてからレインさんは石鹸(せっけん)の販売ですよね。どうやって売るんですか?王都にも商店があるんですか?」


「いえいえ、クリオールで昔から商店を(いとな)んでいますが、さすがに王都に店を出すまでには至っておりません。王都には商業組合に申請をすれば露店(ろてん)を出せる場所があるのです。そこで石鹸の販売をするつもりです」


「なるほど。ちなみにお1人で販売するんですか?」


「手伝いを頼んであります。シュンさんも知ってるあの2人ですよ」


「ああ、”同胞(どうほう)”の2人ですか。はは、あの2人はもはやレインさん専属みたいですね」


「ははは、そうですな。物腰(ものごし)(やわ)らかく素直な子達ですから、何かと頼みやすもので」


「確かに、素直すぎて誰かに(だま)されたりしないか心配になるくらいですね」


「メルトがしっかりしているから、大丈夫ではないですかな」


「そうだといいですが・・・。アーティがもう少し落ち着いたら、もっと安定するのにと思ってしまいますね」


「はは、あの2人もまだまだ若いですから、しょうがない部分もありますな。アーティといえば、メイヒムではアーティに大分気に入られてましたな」


レインさんからのぶっこみにオレは思わず苦笑してしまう。


「やめてくださいよ。アーティはオレの年齢を知らないだけですよ。アーティもオレの年齢を知ればさっさと別の相手を見つけますよ」


などと、益体(やくたい)のないことをレインさんと話しながら道を進む。

時に全く意味のないことや、どうでもいい内容に花を咲かせるのは、とても贅沢(ぜいたく)な時間の使い方だと思う。後から思い出せば自分自身でも、その時の自分を鼻で笑ってしまうだろう。くだらない話をしたなとか。けれど、それを思い出して思わずにやけてしまう、そんな思い出になるのなら、どうでもいい話をすることも価値のあることじゃないかね。


「さあ、王都の入り口が見えてきましたな。行きましょうか、シュンさん」


「ええ。あ、そうだ、王都に入ったらレインさんのおすすめの宿を教えてくださいよ。依頼は一先(ひとま)ず終わりますが、野暮用(やぼよう)もあってしばらく王都に滞在することになってるんですよ」


「そうでしたか。もちろんいいですとも。それに、近々王都で武闘大会もあるそうですから、見て行かれるといいんではないですかな」


へえ、武闘大会ね。ちょうどいい、この世界の強さの基準が少しはわかるかもしれないから見て行こうかな。


「それは面白そうですね。是非みてから帰ろうと思います。教えてくれてありがとうございます」


「これくらいお安い御用ですな」


その後、王都の門まで着きエヴァの公爵パワーによってあっという間に王都へ入ることができた。

エヴァ達は王都にある公爵家の屋敷へ行くので別れることになった。エヴァからは王都への滞在中は屋敷で過ごしませんか?と言われたが、レインさんは宿なのに、オレが屋敷というのは申し訳なかったので、気持ちだけいただいてお断りした。


ニーナも誘わていたが断っていた。別にニーナは屋敷で過ごせばいいのでは?と思い口を開こうとしたが、服のすそを引っ張られて、すごい目で睨まれたので何も言わなかった。


はいはい、空気読めってことですね。


そんなわけでニーナはオレと一緒にレインさんのおすすめの宿に泊まることにし、エヴァ達は王都ですることがあるらしいので、屋敷へ向かって行った。

さてさて、王都で何が待っているんだろうね。

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