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ブックマークしていただいた方ありがとうございます

16


22階層(かいそう)で行き止まりの場所を見つけ、そこでご飯を食べ睡眠を取った。

方法としては、唯一(ゆいいつ)の入り口を生活魔法の土系統(つちけいとう)で魔物が入らないように(ふさ)ぎ、さらに、寝る場所の四方(しほう)土壁(つちかべ)を作って、万が一魔物が入ってきてもすぐに攻撃されないようにする。

その後は湯船を作り、生活魔法の火と水系統を使い、お湯を作って風呂に入った。

はぁー、()みるわー。風呂サイコー。

というわけで、気力、体力ともに回復したので、蜂蜜集めに精をだすことにしよう。


ひたすらハニィビーを探しては狩り続ける。が、物欲センサーというやつだろうか、魔石は落ちるが蜂蜜は出ない。

全然出ないというわけではないが、10個ほど手に入ったところで飽きた・・・。

てわけで、23階層を目指そう。さて、生活魔法の風を使って、下層(かそう)()(ぐち)はと・・・。ん、なんだろう。足音が近づいてくるな。

するとすぐに左の通路から銀髪でその髪を左右で(くく)った女性が飛び出してきた。そして、オレを見つけるとすごい勢いでオレに向かってくる。


「お願い助けて!!」


「えーっと・・・、とりあえず、どういうことか聞いてもいいか?」


「仲間が魔物に襲われて危険なの!?貴方(あなた)の他の仲間はどこなの!?お願い、急がないと皆が死んじゃう・・・」


よく見ると目の前の女性に所々(ところどころ)に傷があるな。


「わかった。オレがいこう」


「貴方1人じゃダメよ!魔物はいっぱいいるの。数が必要だわ」


「んー、すまんが、オレは個人でここに来てるんで、他に仲間はいないんだ」


「嘘でしょ・・・」


銀髪女性の目からハイライトが消え絶望的な顔になる。なんだろう。オレは悪くないはずだ。なのに罪悪感があるな。

その銀髪女性が決心した顔で口を開いた。


「わかったわ。悪いんだけど、貴方は他の冒険者を呼んで来て欲しい」


「君はどうするんだ?」


「私は戻るわ。仲間を放っておけない!」


合理的に考えたら、二手に別れて冒険者探した方が良い気がするけど、突っ込んだらダメかな。すごい格好いい事言ってますって雰囲気(ふんいき)だし・・・。

さてさて、生活魔法の風系統はずっと使い続けてるんで、この銀髪女性の仲間がどこにいるのかわかっている。魔物がすごいたくさん集まってる場所があるのだ。恐らくそこだろう。ていうか、人が動いてるんで気流(きりゅう)がすごい乱れてるしな。


「なあ、君の仲間がいるところって、この先を進んで、左に曲がって、右に曲がって、もう一回右に曲がって、まっすぐ進んだ場所かな?」


「えっ?そ、そうだけど、貴方何で分かるの?」


当たったな。ちゃんと確認するのが仕事でミスをしないコツなのだ。場所がわかれば、さっさと行こう。思いの(ほか)時間を食ってしまった。


「まあ、そういう技能(ぎのう)だ。てわけで、助けにいってくる。君は他の冒険者を探して助けを呼ぶといい。あと、傷だらけだから、ほら、ポーションやるよ」


オレはポーションを投げると同時に、銀髪女性の仲間がいる場所へ走り出した。


「ちょ、ちょっと!貴方1人が行ってどうなるのよ!待ちなさい!!」


オレに声をかけるが、すでにオレは通路へ入っているため、その声はオレに届くことはなかった。



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探知した場所へ向かい迷宮内を走っているが、片手に剣を持ったままだと走りにくいな・・・。一旦、亜空間に剣を仕舞(しま)うか。

剣を仕舞ったことでオレの速度はさらに加速し、あっという間に目的の場所へ着いた。

目の前に蟻型(ありがた)の魔物、ウォーアントがたくさんおり、3人の女性冒険者が襲われている。


「ポリーナ!大丈夫!?すぐに回復する!」


「ありがとうお姉ちゃん。っく!!ダメ、数が多すぎる」


「アリックス!回復はまだいけるのか!?ポリーナ、危なくなったらアリックスと一緒に後ろに下がれ!」


「でも、それだとリンカさんが孤立しちゃいます。盾を持ってる私が、皆を守らないと!!」


22階層に蟻型の魔物がいたのか、全然会わなかったがどこにいたんだろ。

ちなみに、ウォーアントは体長が50センチくらいの蟻だ。


襲われている冒険者を見ると、見たことのある奴だった。酒場で絡んできた黒髪Dカップの女冒険者だ、リンカって呼ばれてたな。リンカの近くには犬人族(いぬびとぞく)か、頭に()(みみ)がついた金髪のボブカットで盾を持った女性がいた。その後ろに、同じく犬人族(いぬびとぞく)で垂れ耳の金髪ゆるふわ、長さがミディアムくらいの女性がいる。確か、アリックスと呼ばれていたかな。ボブカットのほうがポリーナか、2人の顔立ちが似ているので2人は姉妹だろう。


リンカが懸命(けんめい)に剣を振るってウォーアントを倒しているが、1匹倒す間に、2匹が足下にまとわりつこうとする為、連続してウォーアントを倒すことができないでいる。そうして、リンカをすり抜けたウォーアントは盾を持ったポリーナへ向かっていく。


ポリーナは盾をうまく使って、ウォーアントを押し戻すが数が多すぎるため、腕や足に噛み付かれ出血してしまう。

その傷にアリックスが技能の回復魔法を使うが、限界が近いのだろう、顔色が真っ青だ。魔素酔(まそよ)いが始まっている。

その時リンカがポリーナに声を飛ばす。


「ポリーナ上だ!!」


「え?きゃああああああ!」


リンカの声が届いた時には、上からウォーアントが1匹降ってきていた。恐らく壁を伝って上まで登ったのだろう。上を気にしていなかったポリーナは反応できず、ウォーアントに()まれる未来を想像したのか、悲鳴をあげて身をすくませた。


「っく!どきやがれ!!」


リンカはポリーナを助けようとするが、ウォーアントの数に圧倒され、逆にポリーナとアリックスから離れてしまう。

オレとしては酒場の一件に思うところはあるが、襲われそうになっているポリーナという女性に罪はなかろう。

オレは亜空間に仕舞ったナイフを取り出して、上から落ちてくるウォーアントに投擲(とうてき)する。一直線に飛んでいったナイフは見事にウォーアントの頭に刺さり、その命を刈り取る。


「きゃあああああ・・・・・、あ、あれ?」


落ちてきたウォーアントが死んでいることに気づいたポリーナは間抜けな声を出す。ポリーナの無事を確認したオレは、うじゃうじゃいるウォーアント達と戦闘を開始する。

しかし数が多いな、剣で攻撃してもいいがまとわりつかれたら面倒だな。

というわけで、今回は打撃(だげき)でいくとしよう。

オレの技能(ぎのう)武芸全般(ぶげいぜんぱん)】は、あらゆる武器を扱え、戦いに関する動きができる。それは、格闘術も例外ではない。


まずは、足元のウォーアントを蹴り上げ、左拳で殴り(つぶ)す。そのまま振り抜いた勢いを利用して回転しつつ右足を上げ、ウォーアントが固まっているところに、震脚(しんきゃく)をかます!!足を上げすぎないのがポイントだな。

震脚が決まった周囲のウォーアントが衝撃(しょうげき)で吹き飛んでいく。

仲間が倒されたのがお気に召さなかったのか、他のウォーアント達がオレに向かって来るが、足元に来た奴は踏み(つぶ)し、飛び跳ねてオレに()み付こうとしたやつを、下から貫手(ぬきて)で首を突き、時に裏拳で吹き飛ばす。ウォーアント達はオレに取り付くこともできず、その姿を黒い煙に変えていく。

わははは、震脚、裏拳、震脚、震脚、貫手、裏拳、右フック!みるみるとウォーアント達は数を減らしていく。


「す、すごい・・・」


ポリーナが呆然(ぼうぜん)としながらオレを見ていた。その横ではアリックスが顔を青くしながらしゃがみこんでいた。


「うぅ・・・」


「お姉ちゃん!?大丈夫?」


「気持ち悪い・・・」


「ああ・・・、魔素酔(まそよ)いだね・・・。ごめんね、私に回復魔法を使いすぎたから」


「大丈夫。ポリーナが無事ならそれでいいわ」


しばらくして、オレは周囲が静かになったのを確認し、あたりを警戒する。どうやら、粗方(あらかた)片付いたようだな。

周りには魔石がたくさん転がっていた。うむ、壮観(そうかん)だ。逆に言うとそれだけ数を倒したということだが。

落ち着いたので生活魔法の水系統の力を使い、水球を作って手を洗う。素手でいくと手が汚れるのが難点だな・・・。さて、手も綺麗になったところで、ナイフを回収しにいこうかな。

オレはポリーナとアリックスのところへ歩いていく。


「ちょっと失礼するよ。無事か?」


「あ、はい。ありがとうございます。これ、貴方のナイフですよね?」


ナイフを回収してくれていたポリーナがオレに返事をして、ナイフを返そうとしてくれる。

それを受け取ろうと手を伸ばした時に、ポリーナが視界に入った。

その姿は所々(ところどころ)ウォーアントに噛まれていて、鎧は欠け、インナーが破れており、Bカップのお山やふとももが露出(ろしゅつ)しそうになってて(なまめ)かしい。


って、いかん。年頃の女性が肌をだすもんじゃない。

オレは瞬時に視界を腰のポーチに移し、魔法袋から取り出すフリをしつつ亜空間から白い布を取り出し、ポリーナの肩にかけて体を隠してやる。それが紳士の(たしな)みさ。


「っわ!あ、あれ?これは・・・?」


「ああー、ちょっと気になったんでな。それと、ナイフありがとう。返してもらうよ」


「ありがとう、妹に気を遣ってくれて」


「どういたしまして」


「あ、ありがとうございましゅ」


噛んだな。ナイフを受け取って、腰のポーチへ直すフリをして仕舞う。


「そういえば、貴方をどこかで見た気がするんですが・・・」


「そうだな。酒場で君んとこの黒髪女(くろかみおんな)に絡まれたことがある」


「ああ!!あの時はすいませんでした。ウチの仲間が迷惑をかけまして・・・」


アリックスが青い顔をしながら、頭を下げてくる。

この子苦労してそうだな・・・。


「ところで、どうしてここに・・・?」


「君の仲間に銀髪の女性がいるよな?その子に会って、助けを求められ・・・」


「てめえ!!アタイの仲間に何してやがる!!」


オレがアリックスに事情を説明しようとした矢先に、大声が響き、リンカがオレに向かって拳を振るってきた。

これが脳筋ってやつか?まず殴るみたいな?オレが助けに入ってきたのがわからんのかね・・・。


「ちょっと!?リンカ!?」


「だ、だめです!リンカさん!!」


犬耳姉妹が声をかけるが、リンカは拳を止める気配が全くないな。なら、迎撃させてもらおう。これは立派な正統防衛だ。攻撃を受けてないけど。

リンカは右ストレートをオレに放ってくる。オレは右から来た攻撃を後ろへスウェーして(かわ)し、目の前を通り過ぎるリンカの手を左手で掴む、右手は掌底(しょうてい)の形にしてリンカの腹を打ち、そのままリンカの右手を掴んだまま下に引く。

リンカは回転して背中から地面に叩きつけられた。その地面は亀裂を作り、リンカが受けたダメージを物語る。


「ぐがあ!!」


「リンカ!」


「リンカさん!!」


「ふう・・・。それでな、君んとこの銀髪女性に助けを求められてな。だから、ここに来たんだ。その銀髪女性はまだ他の冒険者を探してるんじゃないかな」


「えーっと・・・、普通に話を進めるんですね」


アリックスが若干(じゃっかん)()気味(ぎみ)にオレに返事をする。


「大丈夫だ!殺してないから!」


オレはにこやかに返事をしてやった。

こういうやつは1回お灸をすえないといかん。それが年長者としての責務と言えよう。

なにはともあれ、全員無事(?)でよかったよかった。

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