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2階層に降りてからも風を使い下層への降り口を探し、サクサクと降りていき、15階層へ降りる階段の前にいる。
ここに来るまで出会ったのは、ゴブリンのノーマル、アーチャー、マジシャンといったゴブリン種だけだった。おそらく15階層を越えてから昆虫系が出てくるんだろうな。あと他の冒険者のパーティーにも出会った。
10階層超えたあたりから、1人でいるもんだから、こいつマジかよって顔されてしまったな。オレとしては、他の冒険者が魔物を倒してくれたから、あまり戦わずにこれて楽だったんだが。
14階層からの階段を降りると広い空間に出た。ここに階層主がいるのかと思ったが、周りを見回しても魔物1匹いない。そして、降りた階段からまっすぐ正面の壁を見ると黒い穴が開いている。
魔物がいないってことは、ここは安全地帯なのかな。オレ以外に人がいないんで確かめる術がない。ふむ、迷宮についての情報収集が足らなかったな。反省しつつ、とりあえず進んでいこうと思う。しかし、穴を潜ろうとした瞬間に見えない壁のようなものに当たり、前に進めなかった。
「あれ?何だこれ?壁か?」
手を当ててみると壁のようなものを感じる。押してみるがびくともしない。
あ、これ中で誰かが戦ってるんだな。なるほど、他の人が戦ってると別の人は入れないのか。
てわけで、入れるようになるまで適当に休憩することにした。ご飯を食べ終えてまったりしつつ、定期的に石を穴へ投げていると、ふいに石が見えない壁に当たることなく飛んでいった。
「お、ようやくか」
入れるようになったんで、穴へ入ろうと立ち上がると、階段から降りてくる3人の冒険者パーティーが見えた。向こうも、オレがいるのがわかったらしく、3人の冒険者のうちの1人が大声で呼びかけてきた。
「おおーい、兄さん。ちょっと待ってくれ〜」
ん?オレに何かようなのかな。3人の冒険者がオレの方へ歩いてきた。
「兄さん、1人かい?」
「ああ、そうだが、どうかしたか?」
「黒髪で1人で迷宮にきた兄さんがいるって見張りの奴が俺に声をかけてきてな。ああ、俺はパーティー”辛夷”のリーダーのアーベルだ。んでだ、俺は、見張りの奴と知り合いでな。1人で迷宮に入った冒険者が、中々帰ってこないって言うんで、見つけたら声をかけてくれって頼まれてな」
「あー、あまり深く潜らないって言ったような気がする」
「なるほどな。確かに15階層まで来てたら中々戻ってこないわな。しかも、兄さんこの先に進もうとしてたな?」
うーん、何て答えようかな。さすがに止めてくるかな?
見張りの人も心配してくれるのはありがたいが、その優しさが迷惑というか・・・。まさか、他の冒険者にも声をかけてたとは。とはいえ、ここは正直に答えるとするか。
「ああ。見張りの人には悪いけど、この先に用があるんでね」
「そうか・・・。ま、冒険者は自己責任だ。俺に止める権利なんざねえわな。兄さんも1人でここまで来れたみたいだし、この先の階層主にも勝算があるってことだろうしな」
「もちろんだ」
「ならいい。この先は階層主を倒すか、死ぬかのどっちかだ。頑張れよ、兄さん」
「ああ、ありがとう。んじゃ、行くよ」
アーベル達と別れて、穴の中に入る。すると、穴の入り口に透明な壁が出現する。
オレが穴に入ってからちょっとして、残ったアーベル達が話をしていた。
「リーダー、行かせて良かったのか?」
「しょうがないだろ。引き止めようにも、何て言って引き止めるんだ?仮に一緒に戦おうって誘うにしても、よく知らない相手と一緒に戦うなんて、自殺行為だぞ?」
「まあ、それはそうなんだが」
「おい、見ろ。階層主の入り口が通れるようになったぞ」
「まさか!?早すぎるだろ」
「だが、ほら、石を投げても跳ね返らない」
「リーダー、これは・・・」
「ああ、やはり1人は無謀だったか・・・」
という会話があったとかなかったとか。
一方アーベルと別れてすぐの事、穴を潜って一本道を進むと、先ほどの安全地帯と同じくらいの広い部屋に辿り着いた。すると、部屋の中央に黒い煙が集まり大きい蟷螂の形をした魔物が1匹現れた。こいつが階層主のレッサーマンティスだな。
「さて、ここも通過点なんでな。さっさと倒させてもらうぞ」
レッサーマンティスの大きさは、体長2メートルくらいってところかな。
オレは剣を抜いて、レッサーマンティスへ走っていく。レッサーマンティスは、向かってくるオレを迎撃しようと、鎌になっている両手で攻撃してくる。
オレは、それを左右に体を振って躱してから、目の前にあるレッサーマンティスの顔のすぐ下を狙って剣を突き刺し、間髪入れずに一気に捻った。そして、横へ振り抜くとレッサーマンティスの頭と胴体が離れ、レッサーマンティスは黒い煙になって消えた。
「こんなもんかな。お、魔石と宝箱が出たか。何が入ってるかな〜」
出てきた宝箱を開けると、ダガーが出てきた。そのダガーを手に持ってみると、ダガーに付与された能力が頭に浮かぶ。
「ほう、切れ味向上の効果か。解体するのに便利そうだな」
いいのが手に入ったな。足に付けてるナイフを手に入れたダガーに装備し直す。これで、魔物の素材を剥ぎ取るのが楽になったらいいな。
オレは、正面にの壁に見えた穴まで進み、そのまま潜り抜けると、地面に魔法陣が光輝く部屋に辿り着いた。
「この魔法陣に乗ると、迷宮の入り口で見た場所に飛ぶんだろうな」
オレは魔法陣を無視して進み、下層へ降りる階段をみつけたので、そのまま階段を降りていった。
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現在オレは、22階層に来ている。16階層からは予想通りに昆虫系の魔物が出てくるようになった。そして、迷宮の構造が変わり、14階層よりも道が広がり天井も高くなっている。
ここまでは、蜘蛛系と蟷螂系が主だった。しかも、15階層で倒したレッサーマンティスが普通に敵として出てきた。最初のボスが雑魚キャラとして出てくるってRPGみたいだな。いいじゃないか、面白くなってきた。とはいえ、階層主の時と違って、倒しても宝箱は出ず魔石を落とすだけだが。
22階層もさっさと進んでしまいたいが、迷宮に入って結構時間が経ってるので、今日のところは22階層で休もうと思い、生活魔法の風系統で風を起こして、休めそうな場所を探す。
すると、上から探知に引っかかるものがあった。羽を擦り合わて独特な羽音をさせながらオレに向かってくるのは、蜂型の魔物であるハニィビーだ。森でもいたな。
ハニィビーは、お尻から出ている針をオレに向けて突進してくる。上空から来られては、さすがにカウンターで切るのは難しいので、ギリギリまで引き付けて、後ろに軽く跳んで突進を躱すと、そのまま剣を振り下ろして一刀両断した。
「よし、倒したな。ん?何か落ちてる。魔石じゃないなって、おおおおお?これは!!蜂蜜じゃないか!!」
なんと、異世界甘味ランキングで上位に位置する蜂蜜が手に入るとは。ふふふ、巣を見つけなくても蜂蜜が手に入るというのなら、ここでしばらく籠るのもありだな。
新たな目標ができたな。休んだら、半日くらいはここで蜂蜜集めといきますか。
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ちなみに、前の投稿分をちょくちょく修正しておりますが、
細かい言い回しの変更や改行をしているだけなので、
話の流れに影響はございません。




