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冒険者組合についたオレは、早速、買取受付の職員の元へ向かう。


このクリオールの冒険者組合は、酒場が併設(へいせつ)されていて中はかなり広くなっている。


冒険者組合というのは、そこそこ大きな街には必ずある組織であり、その街や近隣の村から依頼を(つの)り、冒険者に斡旋(あっせん)する組織だ。街の困りごとから、街にあるお店で必要な素材をとってきたりと、街に根付いた運営をしている。また、国と連携をしているらしく、害になる魔物の駆除を常駐依頼(じょうちゅういらい)とすることで街の治安維持に利用しているという側面もある。


組合には、入会受付、買取受付、依頼受注受付、依頼報告受付がある。


オレが向かった買取受付だが、流れ的には依頼報告を終えた後、買取をして欲しい素材などがある冒険者が向かう受付だったりする。


オレは、今回その素材の買取をして欲しいので、この受付に向かうわけだ。


「あらシュンさん、こんにちは。」


「こんにちは、エリス。」


この挨拶をしてくれた受付嬢はエリス、薄紫の髪色で長さを肩くらいまで伸ばしている女の子だ。ただし、頭にとがった耳があり尻尾もある、この世界において狐人族(きつねびとぞく)と呼ばれる種族である。Dカップの美人さんで、この組合の受付嬢の中では人気が高い受付嬢だ。

もちろん可愛いとは思うが、オレは39歳のおっさん、こんな若い子に変な気をおこすなど犯罪だろう。

まあ、年齢を聞いたことなどないが・・・・・。


ちなみに、各受付はシフト制のようで、今日はエリスが買取受付担当だ。

だから、オレはエリスを狙ってこの受付に来たわけではない。


「今日は何の買取ですか?」


「ああ、採取中に出てきた、ウルフ1匹だ。あと、ゴブリン3匹を倒したんで、その確認を頼むよ。最後に、魔石は残念ながらなしだ。」


この世界には魔物がいる。


それが当たり前の世界だが、実際のところ魔物の発生の仕方はよくわかっていない。


魔素というものが世界には溢れており、この魔素というのが集まって形を作ると魔物になると言われている。


たまに魔物の中の魔素が固まり魔石という形になることがあり、この魔石は人々の生活に様々な形で利用されている。なので、魔石が魔物から見つかった場合、別途高く買い取ってくれるわけだ。


また、この魔素を使うことで魔法という現象を起こせる。

ちなみに、魔法を使いすぎると魔素酔いと言われる現象を起こし、ひどい時は気絶してしまうということだ。


魔法使いの優劣とは、この魔素をどれくらい扱えるかによって変わってくる。ただ、どれくらい扱えるようになるかはその人の才能や体質、努力によって変わってくるので、魔法使いと呼ばれる人々は、日々自身の技能(ぎのう)を磨いているというわけだ。


「わかりました。それでしたら、ここに出してもらっていいですよ。あと、組合員証も出していただけますか?」


「はいよ。」


と、組合員証を先に出して、腰に付けているポーチから素材を出すフリをして、ウルフを一匹、受付の机に出す。


この世界には形は色々あるが、魔法袋という中に亜空間を内包した袋が存在する。

オレは、神の力で亜空間を自分の力で作り出せるので、そこに諸々のアイテムや素材などを収納している。

だが、亜空間を個人で所有するという技能の話など聞いたことがないので、魔法袋から出すという(てい)をとっているわけだ。


「はい、ゴブリン3匹の討伐記録と、ウルフの死体を確認しました。それに、相変わらず倒し方が綺麗ですね。これなら皮もとれるし組合としてもありがたいですね。ゴブリンについては、銅貨12枚。ウルフはすべて買取でいいですか?」


「ウルフの肉は欲しいんで、それ以外を買取で頼むよ。」


「わかりました。それでは、お肉分と解体費用を引いて、銅貨10枚。合計で大銅貨2枚と銅貨2枚ですね。」


ちなみに貨幣価値は、


銅貨1枚  約100円

大銅貨1枚 約1,000円

鉄貨1枚  約10,000円 

銀貨1枚  約100,000円

金貨1枚  約1,000,000円


約とつけてるのは、地球とここでは貨幣価値がイコールではないからだな。


あくまで、オレがここで感じた目安である。


「わかった。それでいいよ。」


「では、解体が終わるまで少し時間がかかるので、しばらくしたら、また受付にきてくださいね。」


「りょーかい。なら、ちょっと酒場で時間でもつぶしてるよ。」


そういって、オレは酒場へ向かった。





酒場で軽くつまめるものでも頼もうとしたら、入り口から3人の若者が入ってきたのでそちらへ目を向けた。


男が2人と女が1人、仲良さそうに話しているところを見ると、恐らく同郷なのだろう。3人はそのまま入会受付に向かっていったので、冒険者として登録にきたんだな。その3人を見送ると、メニューを手に取った。


「さて、何を頼もうかな〜。」


メニューを見ながら悩んでいると、近くに人の気配を感じたので、顔をあげてみるとエリスが立っていた。


「ん?エリス、もしかして、解体終わった?」


「いえ・・・・、解体はまだなんですが、他の受付の子から私に、シュンさんへ依頼して欲しいと言われてしまって・・・。」


「依頼?オレにできることならいいけど?」


「ホントですか、実は先ほど3人の冒険者の入会希望者が来まして。それで、シュンさんに入会希望者の実力を見て欲しくて・・・・。お願いできませんか?」


タイミング的にはさっきの3人かな。


「今日は、組合の方で立会人を用意できないってことかな?」


「そうなんですよ、ちょうど別件で人が出払ってしまってまして・・・。」


「いいよ、報酬はでるんだよね?」


「はい、銀貨1枚です。」


「わかった、じゃあ、訓練場のほうへ行けばいいかな?」


「はい、お願いします。3人もそちらへ向かうように話してきます。」


ちなみに、エリスがオレに依頼してきたのは、こういうわけだ。


冒険者には階級がある。


☆1〜☆7の7種類で、☆が少ないほど上位の冒険者と言われる。これは個人につけられるものとパーティーに付けられるものの2種類ある。


例えば、4人パーティーで階級が☆4であっても、その4人は個人では階級が☆5ということがある。パーティーの力としては☆4ぐらいの力があると認められているわけだ。


そして、オレは個人で階級が☆4である。

階級でみると真ん中くらいだが、パーティーを組まずに☆4まで上がったのをすごいと褒めていただきたい。


まあ、世界にはソロで☆2だったり、本当に数は少ないが☆1の冒険者がいるわけだが・・・・・。


長くなったが、☆4以上になると、入会を希望する人が冒険者とやっていけるかどうかを見る、試験官のような依頼がきたりするわけだ。


本来は組合員がそれをするんだが、今日は忙しいらしい。


まぁ、酒場で時間つぶすくらいなら、軽く未来の冒険者をもんでやろうかね。

そう思い、訓練場へ向かった。

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