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趣味で書き始めてみました。アマチュアなので、設定とかゆるゆるですのでご容赦を。
ストレスフリーでゆるく読める感じの話を意識して書いていけたらなと思ってます。
1
俺の名前はシュン、元は苗字もあったんだがもはや意味がないので省略する。
このことから察するヤツもいるかもしれないが、要は異世界転生?転移?って感じで地球じゃないここに来てしまったようだ。
「感じ」とか「ようだ」って書いてるのは、俺はこの異世界に来た経緯をあまり覚えておらず、生前と呼んでいいのかわからんが、知識はあるのに自分の親や友達、人間関係といった記憶が曖昧なのだ。
ただわかることは、この世界にくる直前、俺は死んだのだろうことと、この世界で目覚める直前に
『君に決めた』
というような声を聞いた気がする。
そして目覚めたら森の中にいた。
これが始まりだ。
退屈な話で申し訳ないと思うが、まずは少し昔語をさせてもらおう。
2
「っは!?ここは・・・?」
唐突に目が覚めたオレはあたりを見回してみたが、周りは木々しか見えない。
「え〜と、ここはどこだ・・・?木ばっかりというか森か?」
そもそも何故オレはこんなところにいるんだろうか?
「う〜む、いまいち思い出せん・・・。」
確か事故にあって、変な声を最後に聞いて・・・。
「今、目が覚めたってとこか・・・・。」
とりあえず、思い出せることは・・・、年齢が34歳で、企業で営業の仕事をしてたと、学校で習ったこととかは覚えてるな、ただ、友達とか会社の同僚、親や親族といったことがおぼろげになってるな・・・。
「ふう・・・、よくわからんことになってるが、いつまでもここにいてもしょうがないし、とりあえず、あたりを散策しつつ、人がいそうなところを探すか・・・。」
そう思い立ち上がると、近くからガサりと音がしたので、音のしたほうへ向いてみるとそこには、狼?のような獣がオレを見つめ涎を垂らしていた。
「うぉ・・・!?びっくりした!」
その声がきっかけだった。
狼のような獣はオレへ一飛びに跳躍したかと思えば、その口を開け噛みつこうとしてきた。
「うあ!?く、くるな!!!」
地球?というかここへ来る前に特に武道などしたことのないオレ、とっさに右手でふり払おうとした。その右手が狼のような獣の顔に偶然当たった瞬間、ぱちゅんという聞こえそうな感じで、
その獣の顔が吹き飛んでしまった。
「・・・・・は・・・・?」
思わずまぬけな声がでてしまったが、それだけ衝撃だったってことだ。
少なくともオレは動物の頭を粉々にできる力なんてなかった。
てことは、どうやらオレは普通ではなくなってしまったようだ。
いや、まだオレ以外の人に会ったわけではないので、案外、みんな普通に頭ぱちゅんができるのかもしれないな、うん。
まぁ、そんな訳ないだろうが、そう思ってしまうくらいには頭が混乱してきたわけで・・・・。
「手が・・・、汚れちまったよ・・・・。」
などと思わずつぶやいてしまう、34歳のおっさんなオレ。
誰か、この状況を説明してくれんもんかね・・・。
と途方に暮れるのだった。
3
オレがこの世界で気がついてから、5年が経った。
あれからオレは、どうにか街を見つけて、冒険者になり、生計を立てるに至った。
あの森で目覚めてからしばらくして、ふと自分の力がどういうものか頭の中に流れ込んできた。
どうやら、オレはこの世界に何柱といる神の、ある一柱がその座を降りたいが為、その力をオレに無理やり押し込んだようだ。その神は代わりに、地球で普通の人として生きていくらしい。
どうりで、あの森でおもわずくしゃみをした時に、山が一つ吹き飛んだわけだ。
あの時は本気でビビった。
そして思った、こんな力を持って普通に生きていけるわけねぇだろうと・・・。
やはり、あの獣をぱちゅんできるというのは普通ではないのだなと・・・。
それからのオレは2年ほどかけて自分の力をコントロールする努力を重ね、最終的に、神の力を6つに分け、人並みの生活ができるようになった。そうしてようやく街を探し、冒険者となって、3年が経った。
今ではこの街にそれなりにとけ込み日々を過ごしている。街の名前はクリオール、公爵領ということだ。
ここでオレはしがらみに縛られることなく、自由なスローライフを目指して過ごそうと思う。
そして、今日も今日とて仕事をしにいくわけだ。
「おや、シュン、今から冒険者組合にいくのかい?えらくのんびりしてるね。」
「ああ、メアリアさん、今日は組合に魔物を解体してもらいに行くだけなんでね、ゆっくりでいいんだ。」
この声をかけてきた女性はメアリアさん、金髪を後ろで結んでおり、出るとこは出ている美人なお隣さんだ。
オレは、必死に働き、家を買うことができた。その時からお隣さんとういうことで、いろいろと世話を焼いてくれている。
ちなみに、旦那が元冒険者だが、すでに他界しており、子ども二人を女一人で育てているパワフルな女性だ。
「それは羨ましいねえ、また魔物の肉とかあればお裾分けしてくれいていいんだよ?」
「はは、そうだね、一応、肉はもらうつもりだから、よければ持っていかせてもらうよ。」
お隣さんでもあるし、何かとお世話になっているお礼に、ちょくちょく冒険で手に入れた魔物肉をあげたりしているので、この会話も慣れたものだ。
ちなみにこの世界は、どこかのラノベよろしくで、魔物がいて魔法がある世界だ。しかし、レベルなどは存在しない。ただし、剣術や火魔法、風魔法などの属性魔法、また、体術といった技能は存在し、生まれつきの才能、努力や経験といった研鑽などで体得することが可能だ。
オレは力を6つに分けた代償に、属性魔法を使うことができない。例外として、火と風を起こしたり、水をだしたり、土や大地を操るといった生活魔法という魔法を使う事はできる。
ただ、力を6つに分けはしたがそんじゃそこらの人より圧倒的な力を持ってはいるので、なんら困ることはない。
むしろ、その辺の冒険者より全然強い。
この世界は命の価値が安い、すぐに死んでしまう世界なので、これくらいの自衛の手段はもって然るべきだとそう思うわけだ。
「それじゃ、行ってきます。」
「ああ、いってらっしゃい。」
さあ、アメリアさんの笑顔を受けて、今日も冒険者組合に向かおうか。
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