素早さ極振りと虹ノ魔物
「ッ・・・・・・!戦うしかないか。カエデ援護お願い!」
ロックはそう言うのと同事に双剣を引き抜き魔物の方へと走っていく。そしてその後ろでは、弓を最大まで引き絞ったカエデがねらいを眉間に定め。
「まずはこれを喰らって!【狙撃】ッ!」
スキル【狙撃】で攻撃力と命中率が格段に上がった矢はねらい通りに眉間の方へ一直線に向かっていくが。当たる寸前のところで魔物が放った鉱石に弾かれてしまう。しかしそれはロックの攻撃に対して隙を作ってしまうことになった。もちろんロックはその隙を逃さず。
「【ウィンドブレイド】【ダブルスラッシュ】【連撃】!」
魔物の横をを走り抜けながら毒の状態異常が付与されたスキルを打ち込んでいく。反撃をすれすれでかわすと、その反動を利用し、魔物の上に飛び上がる。そして双剣での連撃を打ち込んでいくが。ダメージは入っているものも魔物の体力はまったく減っておらず、毒の効果も微微たるものだった。
「ッ!」
魔物はロックを優先するべき敵ととったのか、ロックだけに対して、尖った鉱石の雨を降らせる。だがロックはそれを【回避】の効果も借り、間一髪で避ける。そして回避した方向には。
「こっちだよ! 【挑発】!」
ずっしりとした大盾を構える、ツバキがいた。ツバキは【挑発】を発動させ、魔物の意識を自分だけに集中させる。すると魔物はツバキに向かって高速の体当たりを決めようとするが。
「耐えてみせる!【我慢】【復讐】【吸収】!」
ツバキの持つスキル【我慢】にはノックバック軽減の効果があるので、体当たりがぶつかっても少ししか動かない・・・が。【衝撃耐性 中】があるとはいえ、ダメージは大きかったようで、ダメージエフェクトが出て、それと同事に体力の四割が消し飛ぶ。しかしダメージを喰らったのは魔物も同様で、ぶつかったときの衝撃に加え【復讐】と【吸収】の効果により体力の二割を削られていた。しかしツバキの体力の四割と魔物の体力の二割。どう考えても不利なのは前者である。
「ツバキ! 大丈夫!?」
ロックは思わず、ツバキの方を振り返りそう声をかける。しかしそれを隙ととったのか、魔物はまたロックに対して鉱石の雨を降らせようとするが。
「ロックあぶない! 【ホバーシールド】ッ!」
ツバキがとっさに作り出した宙にうく盾により防がれる。しかし諦めきれないのかもう一度同じ攻撃をおこなうが。
「諦めが悪いな!これならどう!?【スライムクッション】ッ!」
ツバキが機転を利かせ、未だに存在する宙に浮く盾の全面にスライムのクッションを貼り付ける。それらは飛んでくる鉱石の勢いを殺し、そのまま魔物の方に飛ばす。
「ナイス! 後半分だよ!」
小ボスの体力を確認し
「もう一度いくよ!」
そう言ったのと同事にロックは再び攻撃を仕掛けるべく小ボスの方へと走っていく。するととどめを刺そうとしたのか小ボスは地面からいくつもの七色に光る尖った柱を打ち出すが。
「ッ!」
【回避】の力とロック本人の超人的なPSを併せ持ったロックには、待ったくをして意味をなさない攻撃だったのだ。それどころかその柱はロックにとって好機となったのだ。
「【ダブルスラッシュ】【ウィンドブレイド】【ウィンドブレイド】【連撃】ッ!」
柱を支えとして小ボスの上に乗ったロックはそのまま攻撃を打ち込んでいく。
しかしそれらの攻撃は背中の鉱石を削るだけで、魔物にはあまりダメージが入っていなかったのだ。
もちろんのこと魔物は、反撃をしようとするが。
「遅いよ!」
先程の攻撃に毒に加え麻痺毒が付与されていたらしく、その攻撃は格段に遅くなっており、軽々と避けられてしまう。
地面に着地したロックは【弱点感知】で弱点を探すと。
「まだまだいくよ【加速】ッ!」
【加速】を使い、首元に滑り込むように入り込むと。
「ここは硬くもないし、毒が通りやすいしね!」
そう言いながら麻痺毒と毒を付与した双剣でなんども連撃を打ち込む。攻撃加速の効果で速さを増していく剣撃は、体内に大量の毒を打ち込んでいく。
すると先程とは打って変わってダメージが通るようになり、攻撃を避けては攻撃をするという流れを繰り返すうちに、体力は後二割となっていた。
そして魔物は反撃をしようとするが。
「ちりも積もれば山となるとはこのことだね!」
麻痺毒が大量に打ち込まれていたせいでろくに動くこともできなくなっていた。そしてもうひとつの毒が体を蝕んでいき、体力を徐々に削っていっていた。
そして。
「なんとか終わったー!」
「守り疲れたよ~」
「二人ともありがと!」
途中魔物が予想外の攻撃をしたりと、たびたび抵抗があったが、それもむなしく魔物との戦いは無事に終わったのだった。




