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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
9/62

来た か?

九十七・九十九となれば次はこれでしょう


8/4 一部修正 行間を空けました


一二試艦戦


 成功作と捉えられる九試艦戦・九十六艦戦の後継になる艦上戦闘機。

 中島が陸軍機と次期十三試艦攻に全力を挙げたいというので、本来競争試作になるはずだった三菱に単独発注。


 三菱は九試艦戦開発メンバーを再度集め設計室を立ち上げた。


 設計主任は悩んでいた。

 何しろ要求がきつすぎる。陸上機じゃ無いんだ、艦上機だぞと悪態もつきたくなるなと思った。


 一二試艦戦

1,速力 三百ノット以上

2,航続距離 巡航一千五百海里+戦闘三十分  条件:増槽使用時

3,上昇力 高度五千メートルまで六分 機内燃料満載状態

4,九十七艦攻、九十九艦爆と同等の防弾装備

5,着艦が容易であること


上記を満たすための発動機選定自由

武装、十三mm×2、二十mm×2 重量、装弾数は別紙参照

爆装 六番×4 または二十五番×1:二十五番は燃料増槽と排他利用


 発動機は自社製の瑞星か金星しかない。瑞星850馬力では馬力不足だろう。金星しか無い。

金星四十四型1070馬力か。


 速力だけなら問題ないが速力に振ると他が無理だな。航空機の設計なんて機体構造と空力に尽きるんだが、金星はデカいな。金星と瑞星の中間くらいの直径で金星並の馬力のエンジン。無いな、諦めよう。


 航続距離、燃料タンクたくさんか。


 上昇力 軽くしないと無理だな。機内燃料満載状態で軽くなんて出来るか!


 軽量化が肝かな。


 防弾 二号艦攻の人に聞きに行こう。


 着艦容易か。運動性良好と


 こんな機銃、聞いたこと無いな。新型か。


 二十五番て、簡易な爆撃機に使うつもりか。


 内示を受けた時も思ったが、正気か。




 主任!設計主任!


 ああ、すまない、ちょっと考え事をしていた。何だったかな


 航続距離のことです。1500kmじゃなくて一千五百海里なんですよね


 当然だな、海軍だからな


 何で陸軍がkm単位で、海軍がノット、海里なんですかね


 そりゃあ海軍は海が舞台だよ。海で使う距離の単位が海里、速度がノット。便宜上単純に1.8倍だな


 わかってます。九十六戦のときも居ましたから。でも、面倒なんですよ


 まあどうあがいても無理だな。国際的に決まっていることだ。日本だけメートル制にしたら他国との遣り取りがすごく面倒になる


 しょうが無いですね。一千五百海里はえーと2700kmですね


 は~~~(一同ため息)


 まけてもらえませんか


 企画段階じゃ無理だな。せめて、実機が出来て試験飛行で無理ともならないと


 極端な話、主翼の中全部燃料になりそうですね


 まあそうなったら、浮体構造に使えるじゃ無いか。少し軽量化できそうだ 


 少し前進しましたね


 全くだ。このまま少しずつ行こう



 会議は踊っていた。


 そうこうするうちに、九十六戦に問題が出た。着陸がしずらい。着艦が難しい。見に来い。


 どうしたのだろうか。試験飛行では十分対応できる問題ないとテストパイロットは言い、受領飛行でも問題なかったのに。


現場に行くと、


「最後地面に近くなると機体が浮いてしまう。狙った所に着陸できない」と言う。


「受領飛行では問題ありませんでしたが、どうしたのでしょう」


「それはな、受領飛行をやるのは横空の最先任クラスの人だ。いわば、名人の中でも突き抜けた人だ。搭乗員全員がそんな化け物じゃ無いと言うことだ」


「では、こう言うとなんですが普通の人はどうなんですか」


「おい、貴様こっち来てこの人に説明しろ」


「はっ、私が着陸しようとすると機体が浮き上がるような感じがして、うまく着陸できません」


「狙った所にだな」


「そうです。母艦飛行隊に行くには定点着陸が出来ないといけません。ですが、出来ないのです」


滑走路を着陸態勢に入ってもらった。うん、良くわからん。何回かやってもらううちに見えてきた。浮き上がっていますね。あれは、そうだ、バルーン効果だ。


「わかりましたか、無理に定点に下ろそうとすると姿勢が乱れて危険なんです」


「わかりました。バルーン効果と言って、機体側の問題です。試作段階でも少し出て対策をして十分対応範囲内で問題ない。と言っていましたが」


「普通テストパイロットは腕が良い奴がやる仕事だからな。そのクラスなら問題が無いと言うだけで、ひよっこクラスには対策が難しい問題と言うことだ」


 対策を考えますと言って、失礼する。次は空母か。


「来てくれたか」


「はい、基地飛行隊の方に先に行きました。原因はわかりました。対策を考えます」


「早く頼む。今のままでは危険だ。並の腕では、三番索に引っかけようとしても五番索になってしまう。下手すれば引っかけられずに、制止柵だ」


「手前から行けばいいという物ではなさそうですね」


「一番索だと素直に降りるんだ。でも一番索を狙うのは、手前で降りて甲板の後ろにぶつかる危険があり、許可は出来ん。早めの対策をお願いする」


 やはり、対策を考えますと言って、失礼した。


 航空本部に寄り、お小言をいただく。「あんたらがOKしたじゃないか」と、声を大にして言いたいが心の中で叫ぶだけにしておく。私は大人だからな。


 帰社後、上司と相談して方策を練る。自分は一二試艦戦が有り、いつまでも対策に付き合えない。どうしようか。


 上司は、君の所の若いのはどうか。そろそろ独り立ちできる物が居ないか?と言う。


 それは居るが、「独り立ちされたらライバルが増えるじゃ無いか」とは言えない。私は大人だからな。


 居ますと言って候補を出す。相談の上2名を九十六戦の改修に充てることにし、補充を用意してもらえるよう要請した。



 ただいま


 お帰りなさい。それでどうでした


 ああ、方針は決まった。君と君、二人で九十六戦の改修に当たってくれ。これは会社側も了解している


 我々がですか


 そうだ


 こちらはどうするんですか。二人抜けると大変じゃ無いですか


 補充を頼んである。まだ始まったばかりで、こう言ってはなんだが抜けても問題ない時期だ。それに二人ともこの件がうまく解決できれば、会社の方も考えがあるようだ


 それって、あれですか、ひょっとして次期作に


 そうだ、責任者とは言わんが重要な部分を任されることになるだろう。やるか


 ぜひやります。お願いします


(くっくっく、うまく押しつけることが出来た。これで一二試艦戦に専念出来るという物だ。難しいとは思うが、成功した場合はほんとになるからな、頑張れ)


 主任、悪い顔してますよ


 いいじゃないか。彼らもやる気になっている。問題は無い


 でも、大丈夫ですかね。もう少し型経験を積んだ方が良いんじゃあ


 彼らは九十六戦に関わっていたよ。経験ならしたし、何より九十六戦を知っている


 そうですか。でも手助けくらいするんでしょう


 まあ聞きに来れば相談くらいはな。それでいいじゃないか


 そうしますか 



 一二試艦戦の基本計画が決まった。エンジンは金星五十四型一千百五十馬力、四十四型比で八十馬力上がっている。 

 低翼単葉引込脚。主翼と尾翼は、九十六戦の楕円テーパーではなく直線テーパーを採用。

 操縦席は密閉式。

 主翼断面形状は、最新の物を使用することにした。いくつか候補はあるので、風洞実験で比較しながらだ。


 開発が本格的になってきた。発動機開発部の同僚に聞くとさらなる向上が見込めるらしい。六十番台の奴はすごいぜ。期待してなよ。と言われた。見通しが明るくなってきた。


 主翼断面形状もいくつかの候補に絞られた時、上司に呼ばれた。発動機の同僚もいる。海軍さんがいるね。どうしたんだろう。


 金星は六十番台以降は制式化しない。え?なぜですか。同僚が聞く。まあそうだろう。さらなる向上に向けて見通しが明るい時にこれだ。


 それは私から言います。海軍さん来た。お願いしますと、上司。


「実は、アメリカに隠したいのです。金星の出力向上型は我々海軍としても、非常に期待しています」


「それならなぜ隠すのですか。新型に使えません」


「それについては申し訳なく思います。ですが、海軍が制式化するための試験用発動機を調べた所、アメリカでも使われていない新技術だとわかりました。で、それを公開するのはアメリカがその技術を出してくるのを待った方が良いだろうと言うことになりました。この事を決定したのには私は関与していないのです。もっと上層部の者達です」


「新技術ですか、いくつか使っていますがどの技術なのでしょうか」


「点火装置です」


「確かに世界初ですが、まずかったですか」


「いえ技術自体は素晴らしいと思います。ただタイミングが悪かったと」


「タイミング?」


「皆さんはアメリカとのエンジン相互提供協定をご存じですか」


「知っています、お互いのエンジンを見せ合うというか技術レベルの探り合いというか、ですね」


「そうです。ただ最近アメリカが何か隠しているようなのです。ライトもP&Hもパッカードも新型のエンジンは出てきません。古いエンジンを少しいじった物ばかりです」


「では日本も隠そうと?」


「そう考えますよね。特に今回の点火装置は画期的な物です。その周辺技術も含めて見せるのは止めようと」


「金星五十番台は良いのですか?」

「多分問題ありません。出力も一千二百馬力まで出してください。アメリカでは4年前に出ていますから、大丈夫です」


「社内で開発はどうなりますか」


「継続してください。非常に期待しています。公開しなければいいだけです。また協定の期限が正和十四年春に切れます。それまで我慢してください」


「協定の延長はないのですか」


「双方で公開せず、隠すようになりました。これ以上はいろいろな意味で不要な協定になりました。延長はあり得ないと判断しています」


  海軍さんが帰った後、金星六十番台はどのくらいまで出せるのかと言う話になった。


「一千六百はいける。瞬間出力だけど。ただ補機類が大きく重くなるので下手すると馬力増加分が重量に喰われる。一千四百なら今までの補機類と重量は変わらないし、安定して出せる」


「そりゃすごい。五十番台は?」


「一千二百五十から一千三百だろう。五十番台と六十番台の違いは、点火装置の違いなんだ」


「点火装置だけで百馬力違うのか」


「詳しいことは言えんが、そう言うことだ」


 なるほど隠したいわけだ。一二試艦戦は一千二百馬力で設計だな。



来た の後スペース入れて か?

ひどいフラグを見た。

次こそ飛びます。六十三?五十四?


アメリカが隠したい技術   TS

日本が隠したい技術     TR


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