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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
7/62

10隻の新空母

正和12年建艦計画において大小10隻の空母が建造されることになった

 この間は疲れた。何だよあのO第一航空戦隊司令は、あのデカい体でガバガバ行きやがる。いいのか経費で落として。みんな好き勝手言って。ほぼ愚痴じゃ無いか。聞き疲れしましたよ俺は。


 新空母か、みんなの希望叶えると本当にA140クラスになってしまうな。自由にしていいとは言われたが、さすがにだめだろ。こう言う時あいつが居てくれると助かるのだが、あいつ小型空母の設計を任されたと言ってたな。大型4隻の他に小型6隻とか本気ですか。あいつの所に行ってみるか。

 

 よう、久しぶり


 この間振りだな


 どうだ小型空母は


 まああれだ。龍驤にならないよう気をつけているよ


 もう構想は出来たのか


 一応な、そっちはどうだ


 まだだな、大型空母という事で希望が多すぎる。これでは高雄の艦橋になってしまう


 そりゃ大変だ


 教えてくれんか。参考に出来るかもしれん


 あいよ。では見てくれ

正和12年計画 小型空母構想

基準排水量 1万トン~1万5千トン


 待て、1万5千トンは小型空母では無いぞ


 俺もそう思う。実際に建造するのは1万2千トンくらいの船だ。では、続き

飛行甲板長200m

飛行甲板幅33m最大部分


 待て、龍驤にしないと言ったでは無いか。何だその飛行甲板幅は最大33mって。火龍とかわらんでは無いか


 待て、突っ込みが早すぎる


 ほう、言い訳を聞こうじゃ無いか


 いいか、これはそもそもな小型空母に艦橋を付けろという要求が多いためだ


 判る、俺もよく言われる


 言われてるよな、俺も艦橋は必要だと思う


 それでこの飛行甲板幅とどう関係があるんだ


 実は設計陣でも若い奴がな、こう言ったんだ「艦橋が有るなら避ければいいじゃ無いですか」


 ひどい言い草だ


 ひどいだろ、だがそいつは絵を描いた。飛行甲板をオフセットした絵だ


 1万2千トンくらいの船ではバランスが取れないだろ

 

 取れるわけ無いな。そこからみんなであーでも無いこうでも無いが始まってな


 どうなった


 斜めにした


 斜め?ちょっと待て、うん熱は無いな


 おい、俺はまだ正気だ

 斜めとかいいだした奴は飛行場のそばに家があってな、子供の頃から見ていたそうだ。それで変な風向きだと飛行機が斜めになって降りてくるんだと


 それで?


 飛行隊に聞きに行った。本当だった。横風が強いと進路が外れるんで、最後着陸の時に滑走路の真ん中になるよう進路を維持するために斜めになったりすると言うことだ


 それで?


 じゃあ、風向を進路方向に斜めにしたらどうだろうと


 どういう事


 今の空母、発着艦の時必ず風向と艦の進路を一致させるよな


 そうなっているな


 なら、風向きに甲板を合わせようと言うことだ


 へ????


 判っていないな、実は俺もよくわからん。南南西の風が吹くときに船を南に向ける。そうすると極端な話甲板を二十五度オフセットしてあると甲板は実質南南西向きで向かい風と言うことだ。現実にはそう簡単なものじゃ無いと思うがな


 なんとなく判ったような気がする


 いいよ、俺もなんとなくだから。でだ、飛行隊の奴に聞いたら斜めでも着艦は可能だろう。かえって艦橋にぶつかる心配が無い分いいかもしれんと 

 

 それで?


 今、艦政本部・航空本部・横空を巻き込んで、検討中。横空の連中はやる気だ。艦政本部は疑いのまなざしだな。航空本部も。横空次第だろう


 結果教えてくれ


 あいよ

 

 

 いいこと?を聞いた。結果待ちだな。

 艦政本部・海軍省では一応二万四千トン級は4隻の予定らしい。装甲しちゃうと二万四千トンでは三十機も積めませんよ。どうする気だろう。装甲無しなら七十機から八十機積める有力な空母が出来ると思うのだが。


 海軍省では予算の関係も有り、二万四千級4隻1万トン級6隻の予定だと言うことでした。ただその後で、ただ・・・と言って言葉を濁した。


 判りました。面会の予約をお願いします。もちろん金持ちの博打打ちさんです。


 海軍次官に面会できたのは1週間後だった。新型空母の件でと言ったのだが、相当忙しいらしい。



 失礼します


 良く来た


 新型空母の件なんですが


 判っている。金を出せだな


 はい、その通りです


 みんな金をせびりに来るが、無限に有るわけでは無いからな出す出さないは有効性で決める。決めるのは俺だ。新型空母はもちろん有効だ

 

 では


 出す。小型空母やっている奴いるだろう。奴は以前飲みに連れ出したことがある。なかなか面白い奴だった。それでな空母1隻あたり5千トン分は出そうと言ってやった


 そうですか。奴が言っていた1万5千トンというのは、その5千トンですか


 そうだ、で俺も詳細を聞いている暇は無いんでな、勝負と行こう。この(ゴソゴソ)ドンブリで


 ドンブリと言うことは、あれですか。チンチロ~


 良くわかったな。ご明察だ。さあサイコロを振れ。お、大きいな。ち、俺が子か


 六六六なら五万トン4隻にしてやるぞ。他のゾロ目や四五六なら4万トン4隻だ。一二三なら1隻5千トンくらいは付けてやる。お前が勝てば3万トン自由に割り振れ。俺が勝てば1隻3千トンしか出さん。ションベンはかわいそうだからやり直しにしてやる。さあ振れ


 おおおおお、うなれ俺の右手、サイコロに魂を込めるのだ、行け


        六  三  四


ゾロ目希望だったのに


 なかなか大きいな。じゃあ行くぞ


        五  五  二


 一三と一二か、俺の負けだな。よし3万トン分出してやる。自由にやれ


 ありがとうございます。良い船を作ります


 おう、しっかりやれ


 

 海軍省を後にした俺はとても気分が良かった。3万トンを自由に出来るのだ。フフフフフフ 顔が崩れるぜ。 

 すれ違う人がおかしな者を見る目をしているが気にならない。ひょっとしたらわざと勝たせてくれたのかも知れないが。サイコロの神様、ありがとうございます。

 

 部署に戻ると注目を浴びる。そりゃそうだ。金をせびりに行って、ニコニコして帰ってきたのだ。話を聞いてもらっている内に、あれ?1隻5千トンが6隻分で3万トン、俺がもらったのが3万トン、いっしょじゃないか。

 ひょっとしたら最初からそのつもりでいたのかも知れない。やられた。出す分は決めてある。気分良く仕事をさせるにはか。

 まあ気分は悪くない。むしろとても良い。良しやろう。


 みんな聞いてくれ。金持ちの博打打ちさんから3万トン分の予算をもらってきた。どうするか考えよう


 はい。4万トンの装甲空母と3万トンの普通の空母が良いと思います


 次


 3万トンを均等に振り分けて、普通の大型空母4隻にします


 次


 4万トン空母1隻と3万トン空母3隻に


 次


 2万5千トン空母5隻


 あ、その手があったか。でも次


 3万トンを均等に振り分けて装甲空母4隻にします


 次

 

 4万トンの普通の大型空母2隻と2万8千トンの普通の大型空母2隻


 次


 みんな装甲空母と言うけれど、普通の空母に比べると金が掛かるのですが、どう?


 他には?無い?無ければこんなものか。みんなも知っていると思うが、12年計画で計画されている船が大変多い。

 今後3年間は、他の設計部署も忙しいと言うことだ。応援は呼べん。特にあの戦艦に大勢取られる。

 今いる人間でそれだけ設計しなければいけないと言うことだが、この部署だけで何種類も設計できると思うか?思う人

 居ませんね。居たらおかしい。他もみんな忙しいからな。と言うことで艦型は一つに絞る


翌日結論を出す。


 装甲空母にすると3万トン分の予算がそのまま装甲に取られるので、2万4千トンの装甲空母4隻となる

 結論は、3万トンを均等に振り分けて、普通の大型空母4隻にする。なぜ装甲空母にしないかというと以前の試算では五十番通常に耐えるよう飛行甲板の全長を装甲した場合、2万4千トン空母では戦闘力の在る空母は実現不可能と試算が出た。これではダメだろう。装甲空母案は魅力だが、俺たちの都合で複数艦種の設計が出来ないと言うことと、搭載機数が少ないと言う理由で今回は見送る。


 よう、また来たぞ


 あの件か、あれだったら少し待て。今横空でやってる。いけそうだという話だが


 それもあるが、お前次官と会ったのか


 会った。3万トン分の予算をもらった。助かったよ、龍驤もどきが6隻になりそうだったんでな


 俺も3万トンの予算をもらった


 そうか。3万トンずつと決めてあったのかもな


 俺もそう思う


 こちらの空母だが、基準排水量1万3千トン、公試1万5千トン、満載1万六十五百トン、とした


 景気いいな。大丈夫か


 艦政本部・海軍省とも了解済みだ。速力三十ノット、搭載機数三十機を目標としている


 もう少し積めそうだが


 みんな龍驤はいやなようだ


 判らんでも無い


 まあ出来たら増やすよ。水線上から上はまだどうなるか判らん。今は水線下の図面を引いているよ


 

 奴のところは、飛行甲板以外順調なようだ。うちは今船形を検討しているのだが、火龍・雷龍の形を拡大した物にするか、全くの新形状にするか意見が分かれているんだよな。


 艦政本部では新しい形を使いたいみたいだし、火龍・雷龍の時は無理を言ってねじ込むことも多かったからな。ゴマをすってみるのもいいか。仮図を引いて水槽試験してその結果だな。


 船形は、艦政本部が研究していた艦首球状塊バルバス・バウを採用した。ただし、高速性や造波抵抗の少なさを追求した細長い船形や艦首部の絞れた部分が長くなる船形は安定性に不安有りとして採用しなかった。空母だ。安定性第一だ。


 これは内緒だと言って、A140の検討図を見せてくれたが、何だろうあの下顎は(注)何か元気が出そうだし、ビンタをされたくなってきたぞ。

 

そうこうしているうちに奴から連絡が来た。飛行甲板が決まったと。



 本日はお招きいただき、ありがとうございます


 どうした、変な挨拶なんかして


 しないと遺憾かなと思って


 何でその遺憾?


 なんとなく


 疲れる奴め、まあしっかり目を開いて見ろよ。これが、斜め飛行甲板だ。斜行甲板と呼ぶことになった


 えんがちょ?


 馬鹿野郎。なんてこと言いやがる。船体が人差し指で甲板が中指でってか


 すぐに突っ込めると言うことは、お前だってそう思っただろうに


 思っとらん


 そう言うことにしておこう


 そうしてくれ、で飛行甲板なのだが横空や艦政本部の協力の下、軸線を左へ10度傾けることにした。


 10度?


 今のところそれが最適解らしい。で、艦橋は思いっきり前へ出した。ここだ


 どこだよ


 言うと思ったよ、この野郎。ここだよここ、目をかっぽじってよく見やがれ


 おおう、そんな前か、5500トン級か駆逐艦並みの位置だな


 ここなら着艦時に邪魔にならない、これ以上前だと動揺が激しそうだ。煙突は艦橋の後方で下に向けてある。煙突の位置は気流のことだけを考えれば左舷後方がいいのだが、そんな場所に取り付けできないしな


 カタパルトはどうだ、そのまま10度なのか、この概略図には載っていないが


 カタパルトは検証中だ、ただ10度だと少し問題もありそうと言う話だ。なので7度くらいになりそうだ


 そうか、いい話を聞けた。ありがとう

 


いいのかなこんなことで

いいのだ

O戦隊司令 別名鬼瓦 将来の第1艦隊司令長官と言われている。この世界線では、連合艦隊が存在しません 

あの戦艦 YとMです

あの戦艦が無ければ、四万トン飛行甲板全面装甲搭載機数60機くらいの空母が出来たかも知れません。

(注)あの顎です。バルバスバウは、形がはっきりしていてきれいで有名な大和のほか、カモノハシ型やラム型なども検討されたようです

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