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空母 双龍 東へ  作者: 銀河乞食分隊
燃えるミッドウェー
22/62

マーシャル掃討戦

航空機の消耗が激しく、砲戦に持ちこむ日本。

 眼下に敵艦隊が見えた。護衛の戦闘機隊は敵機が居ないのかのんびりしている。


「旗艦に通信。我、敵艦隊ミユ」


「送信完了」


「戦艦三、巡洋艦六、駆逐艦十三」


「送信完了」


「戦艦は三隻で単縦陣、巡洋艦は三隻の単縦陣が二つ、駆逐艦は六隻と七隻の単縦陣、戦艦を中心に左右に展開」


「送信完了」


「現在位置は」


「電探で見えているから要らないそうです」


「そうか、近いんだったな」


「五十海里ですからね。四機編隊なら見えます」


「十六ノットで北東に向かって航行中」


「送信完了」


「天候が怪しいから天候も送信しとけ」


「北東は曇天、送信完了」


「他の索敵機が通信していると思いますが」


「やっとくんだよ」


「艦隊周辺を遊覧飛行ですね」


「まあそう言うことだな」


「砲戦が始まれば、戦艦や巡洋艦の水偵の出番だ」


「我々はお呼びじゃないというか予備ですから」


「普段弾着観測なんてやらないからな。どの着弾がどの船なんだか判らん」


「旗艦からです。水偵が出るから帰還するようにと」


「水偵が来たら帰るぞ」



 今日になって天候が急変した。ハワイ方面には黒い雲が出ている。


 奴らには恵みの雲だろう。索敵機からの報告でも、輸送船団上空は分厚い密雲におおわれ雨とのこと。損傷艦部隊ももうすぐ雨の下に入るらしい。

 こちらも波が少し高くなってきた。嵐なのかも知れない。損傷艦は戦闘よりも嵐を選ぶのだろう。

 


「さて、水上戦闘の指揮権を大和に委譲されたわけだが、正面から当たる以外やりようが無いな」


「戦艦では不利ですが、巡洋艦と駆逐艦では有利です。魚雷で片を付けるべきでしょう」


「そうだな。五戦隊と七戦隊は敵巡洋艦の相手、一水戦と四水戦は戦艦に突撃だ。九戦隊は水雷戦隊の支援」


「戦艦ですが振り分けはどうしますか」


「伊勢・日向・霧島ではどう見ても不利だな」


「大和で二隻を相手にしましょう」


「二隻か」


「はい、一番二番砲塔は敵一番艦、三番四番砲塔は敵二番艦です」


「砲術長、出来るか」


「出来ます、両方とも沈めましょう」


「よく言う、その意気だ。よし、大和で二艦を相手取る。伊勢・日向・霧島は敵3番艦を集中射」


電探に艦影が映る。距離三万五千。見張りではまだ見えないようだ。背景が曇天なので煙も背景に紛れてしまい見えないな。

 すでに、第一水雷戦隊と第四水雷戦隊には敵戦艦への突撃を命令済みだ。勇んで突撃しているだろう。

 

「一時の方向、艦影、距離三万」


 さすがに大和乗り組みだ。優秀じゃ無いか。


「相手のケツにつくべきか、反航戦か同航戦か」

「反航戦は相手が許さないでしょう。何しろ逃げている仲間の盾になりに来ているのですから」

「同航戦に入る。艦長、面舵」

「面舵」

「一水戦、四水戦、敵と交戦」

「艦長、本艦二万で打ち方始め」

「二万で打ち方始め。了解」

「敵との距離、二万五千」

「面舵、戦隊針路八十」

「五戦隊、七戦隊、交戦始めました」

「距離二万二千」

「距離二万一千」

「同航戦だ。針路九十」

「針路九十、面舵」

「伊勢続きます」

「日向続きます」

「霧島続きます」

「距離一万九千五百」

「敵艦発砲」

「砲術、まだか」

「一番二番よし、三番四番あと少し」

 敵弾が着弾した。本艦前方三百~八百という所だろう。距離はいいのか。いい腕だ。

「撃ちます」

 衝撃と轟音が艦橋を襲う。三十八センチ砲四門でも強烈だ。

「伊勢撃ちました」

「日向撃ちました」

「霧島撃ちました」

 敵3番艦に向けて十秒おきに撃つよう決めていたのだろう。

「弾着、今」

「一番艦、近近、三百前。二番艦近遠、二百後落」

「なかなかいい所へ落ちているじゃ無いか。本艦の砲術は優秀だな」

「ありがとうございます」

「しかし電探は早いな。観測機だとまだ来ないぞ」

「そうですね。最低一分くらいかかりますから」

 敵弾が来た。先程より近い。さすがだなと思う。

「撃ちます」

 激しい衝撃と轟音が響く。喰らったのか。

「左舷中央舷側に被弾」

 先に喰らったか、これで相手は全門斉射に入る。少しまずいと思う。大和の装甲を信じるだけだ。

「一番艦、遠遠、錨頭よし。二番艦、挟夾」

「次より斉射」

「日向被弾」

「なに!」

「日向より通信、三番砲塔大破、四番砲塔射撃不能、後部弾火薬庫注水」

「無事でいろよ」

「敵三番艦火災発生」

 再び激しい衝撃と轟音。

「錨鎖甲板に被弾。火災発生」

「消火急げ」

「まだ当たらんか」

「敵二番艦に命中」

「敵二番艦に命中した模様。一番艦は挟夾」

「よし」

「日向、変針します」

「なんだと」

「日向より通信。我艦尾被弾、船体に異常、追随できず」

 これで一層不利になったな。水雷戦隊はまだか?


「戦艦まで、一万五千」

「敵駆逐艦、来ます」

「駆逐艦まで、一万二千」

「主砲敵駆逐艦、打ち方始め」

「打ち方始めます」

「九戦隊はどうしている」

「四水戦の支援に廻っています」

「四水戦のか。それじゃ仕方ないが、二隻でも回すよう要請しろ」

「敵巡洋艦一隻こちらに変針しています」

「五戦隊と七戦隊は」

「五戦隊は敵巡洋艦三隻と同航戦」

「七戦隊、抜かれました」

「負けたのか」

「鳥海と摩耶が大破だそうです」

「大破だと」

「高雄と愛宕も中破程度の損害を受けたようです」

「なんだ、敵巡洋艦はそんなに強力なのか」

「二隻航行不能に追い込んだそうです」

「こっちに来る奴は、やけに背が高いな。識別表に有ったか?」

「新型です、未確認です」

「判った、あいつの相手は阿賀野でする。七駆に指揮を引き継がせろ」

「七駆に引き継がせます」

 七駆がじりじりと左舷を追い抜いていく。

「どんな船なんだ。背が高いが」

「判りませんが、昨日航空隊の報告では、識別表に無い新型で高角砲を山のように積んでいた巡洋艦があったようです。アレかも知れません」

「高角砲を山のようにか、お近づきになりたくないな」

「どうしますか」

「砲戦距離を一万二千とする。高角砲なら射程ギリギリだろう」

「了解、砲戦距離一万二千」

「ひょっとして七戦隊は近接戦をしたのか?」

「なってしまったのかもしれませんね」

「あの艦を駆逐隊に近づけないようにしよう。砲戦距離は近くなっても仕方が無い」

「敵巡洋艦変針、駆逐隊に近づきます」

「機関前進一杯」

「距離一万五千、遠いですが撃ちます」

「主砲目標敵巡洋艦、打ち方始め」

「打ち方始め」

「どうするかな、こちらを無視して駆逐隊に近づくのか」

「戦艦を守るなら駆逐隊を攻撃しますね」

「駆逐隊までおよそ一万三千です、届くんでしょうか」

「こちらを無視すればな」

「敵巡洋艦を挟夾」

「さて、どうする」

「まだ変針しません。依然、駆逐隊に接近中」

「敵艦に命中」

「よし」

「敵巡洋艦、駆逐隊と同航戦に入ります」

「こちらを無視か」

「あ、アレを」

「なに!なんだアレは」

「とんでもない火力です」

「高角砲を山のように積んでいた。ですね」

「朝雲被弾、火災発生」

「朝雲轟沈」

 朝雲の魚雷に命中したのだろう。巨大な爆発が起きその後には朝雲は居なかった。

「山雲火災発生、針路それます」

「短時間でで二隻やられただと」

「駆逐隊針路変更、敵巡洋艦に向かいます」

「数の力で滅多打ちか。間に合うのか」

「進路変更したのは、九駆と十駆です。七駆と八駆は直進中」

「七駆と八駆で敵駆逐艦。九駆と十駆で敵巡洋艦か」

「本艦と速度差が少なく距離があまり詰まりません」

「駆逐艦六隻と本艦で勝つ」

「敵艦に命中、砲塔に命中の模様」

「霞火災発生」

「大潮火災発生」

「やられているな」

「敵駆逐艦も三隻炎上停止しています」

「敵巡洋艦、速度低下」

「なんだ、機関に命中でもしたのか」

「九駆、十駆、敵巡洋艦を振り切ります」

「敵巡洋艦変針、本艦の頭を押さえる針路です」

「まだやる気だな。それでこそと言うものだ。同航戦に入る。艦長」

「面舵」

「舵戻せ」

「敵艦速力およそ二十五ノット」

「距離一万」

「打ち方始めます」

 進路変更をした。射撃諸元は取り直しだ。

「敵艦、かなり砲塔をやられたみたいですね。発砲炎が少ないです」

「少なくなってこれか」

「敵弾至近弾」

「本艦敵艦を挟夾」

 阿賀野は敵巡洋艦を撃沈した。こちらは何発か喰らったが大きな被害は無かった。

「まだ戦艦がある。デカい的だ。魚雷にはちょうどいい」

「やりますか」

「駆逐隊の連中だけにおいしい所を持って行かせないよ」

 戦場は動いていた。あちこちに燃えさかる船や停止している船がいる。

「敵戦艦二隻です。一隻炎上中」

「一隻は沈めたのか」

「駆逐隊、魚雷発射した模様」

「本艦も行くぞ」

「敵戦艦に水柱六本」

「敵戦艦横転します」

「敵戦艦に水柱三本」

「敵戦艦行き足止まります」

「速度落とせ」

「大和より、戦闘終了、溺者救助に当たられたし」

「手空き総員、救助方用意」


 溺者救助は夜中まで行われた。

 翌日、九戦隊と航続距離に余裕のある陽炎級駆逐艦数隻が遭難者捜索に当たり、残りは帰投することになった。

 一応横に広がった隊形で遭難者を出来るだけ見つけようとした。


 水上戦闘での戦果

 戦艦三隻撃沈

 巡洋艦六隻撃沈

 駆逐艦七隻撃沈二隻拿捕


 前日までの航空攻撃による戦果

 空母一撃沈

 空母一撃破

 戦艦二撃破

 巡洋艦二撃沈

 巡洋艦四撃破

 駆逐艦三撃沈

 駆逐艦数隻撃破


 大戦果である。


 駆逐艦の拿捕は、舵故障で行動不能になっていた艦と機関損傷でやはり行動不能になっていた艦を取り囲んで、降伏か撃沈か選ばせた結果だった。暗号書などは捨てられていたが、艦まるごとであり、貴重な戦果だった。


 海軍の被害は、

 空母  翔鶴・火龍・龍鳳 中破

     雷龍 小破

 戦艦、 伊勢・日向・金剛 大破 

     大和 中破 

     霧島 小破 

 重巡  鳥海 沈没(自沈)

     摩耶・足柄 大破

     高雄・愛宕・那智・妙高・ 中破

     足柄・熊野 小破 

 軽巡  鈴谷 中破

     阿賀野・五十鈴 小破

 駆逐艦 初雪・朝雲・大潮・子日・白露・早潮・東雲 沈没

     山雲・夕立 大破

     峯雲・白雪・五月雨・雷 中破

     有明・電・朝風・吹雪・叢雲・天津風・野分 小破

 直衛艦 冬月・凉月・影月・冬月 小破


 こちらも甚大な被害を被ったのであった。   




戦闘描写は、苦手です。

さて、沈んだ艦がいつの間にか復活しないように気を付けねば。

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