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たどり着いた先は、昨日Aと一緒にヘビトカゲのエルと一緒にいた研究室。
もし、此処に何か手がかりがあるとすれば、きっとAは、此処に戻ってくるはずだ。見た事ないもの。此処には、絶対にないもの。
「アミー。これは、なんだろ?」
そう言って、先生が手にしたのは、金属製で出来た丸い塊。ビー玉ぐらいの大きさだ。此処には、普通は、ありえない物だが、目的が解らない物でもある。しかし、手がかりには、なりそうだ。
「もしかしたら犯人が落とした物かも知れませんね」
「そうか、アミーは、こう考えたんだね。犯人は、現場に戻るって!流石、僕の弟子だよ!うんうん。さぁ!隠れようか!」
そう言って先生が魔法で、空間を作った瞬間、部屋の外から銃声が聞こえた。
「きゃあああ!」
叫び声。明らかに何か起きている。昨日と関わる人たちなら狙いは、私だ。
「先生、隠れたほうが…!」
そう言った瞬間先生は、私を押して、先生が作った空間に閉じ込めた。え?ちょっと待って、先生は、この空間には、入っていない。それなのに関わらず、扉を閉め中から開けれないように、先生しか開けれないように彼は、カギをかけた。
「先生!ちょっと!どう言うことですか!?」
そう、叫んでも声が届かないのか、先生は、背中を向けて、立っている。叩いても壊れない。私の雷の魔法でも壊せない。影の魔法で、移動するのにもこの空間には、影がない。
やられた。そう思った時、ドアノブが動いたのが、見えた。相手は、銃を持っている者。いくら先生でも魔法を発動しながら別の魔法を使うのは、至難の技。生きていれば、魔力が回復すると言ってもそれでも、使えば、消費するし、体力と同じで、生命力と同じ無限では無い。
「先生……それでも私を守ろうとするですね」
私は、何もできない。この空間の中では、手も足も出ない。
ドアが開くと、そのにいたのは、ツインテールの女。昨日の人。そして、犯人Aだ。
「こんにちは、レイディアント博士」
そう言って、Aは、ニッコリ微笑みあたりを見た。
「アミー研究員は、いない見たいね」
「彼女は、多忙な子だからね。それに何時もそばにいるわけでは無いよ」
そう言うとAは、椅子に座りこう言った。
「じゃあ貴方で良いわ。レイディアント博士、貴方を攫いに来ました」
Aは、銃を先生に向けニッコリと不気味に笑った。先生は、平然な顔で、ため息を吐いてAの目を見ながら
「僕を攫ってどうするつもりだい?」
「あら?態とらしいわね。もう、気づいているでしょ?」
「さぁーなんのことだろうね。さっぱりだよ」
そう言って、ポケットから飴を取り出し飴を舐め出した。当然ながら先生もこの一件の事は、気づいている。と言うから犯人も私より早く知っている。
気づいているからこうして、私を守ろうと此処に閉じ込めた。
私がわざわざ言わなくても、報告しなくても、彼は、天才で、鬼才な人だから一瞬で解決し理解ている。そして、何故解らないふりや知らないふり、この一件を私に任せたのかは、彼の性格の悪さがある。
「まー良いわ。大人しくついて、来なさい。もし、魔法を使ったりしたら頭を打ち抜くわよ」
「はいはい」
そう言って先生は、バレないように私を見て微笑んで、手を上げてAと共に立ち去った。
追いかけようと思っても、先生が空間を解除をするか、魔力が無くなるか、気絶をするか、魔法範囲から離れるかでは、無いとこの空間から出る事が私は、出来ない。
早く行かないとっ!早く先生を助けないとっ!
でも、何も出来なくて、無力で、情けなくて、悔しい。
「先生……私じゃあなくて、自分自身を守ってよ」
私は、思いっきり空間の壁を殴った。手が痛い。手が痛いのにどうしてこんなにも胸が痛いのだろう?
先生。先生……先生…!
もし、最悪なこと…先生が死ぬって考えば考えるほど怖くて、苦しくて、心が痛い。
痛い。心が痛い。苦しい。こんなにも苦しいだなんて、初めてだ。
「先生…私は……」
そうか…私は、私が思っているよりも先生の事が好きなんだ。こんなにも先生の事が好きなんだ。これが恋なんだ。
「失いそうになって初めて、気付くだなんで、バカだなぁー私は……」
私は、両手を見て、知らないうちに流れていた涙を拭いて、いつ入れたのか解らないけどきっとさっきだと思うけれどポケットに入っていた飴を見た。
落ち着いて、考えろ。私。
先生は、まだ死んだわけでは無い。死んだら魔法が解けているだろ。それに私の魔法は、これだけでは無いだろ。
落ち着け。落ち着け。頭の中を整理しろ。
私の魔法は、治癒魔法。雷魔法。影魔法。そして、強化魔法。
「強化魔法で雷魔法を強くしても先生の空間魔法壊す事は、出来ない。同じ光属性で、先生の魔法の方が強いから吸収してしまう。
影魔法は、影がないと使えないしあるのは、私の影のみ」
でも、先生のこの魔法は、強力な打撃に弱かった気がする。だったら魔法が無理なら私は、立派な物を持っているでは、ないか。
「運もよく、ブーツを履いて良かった」
私は、ブーツを触り強化魔法を発動した。蹴りなら自信がある。昔、キックボクシングに興味があって、行ったことがある。一ヶ月で、辞めたけど。蹴りのスピードとセンスがあると言われたことがあるから、負ける気は、無い。
「ふぅー」
息をはいて、私は、思いっきり空間の壁を蹴った。