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嵐のあとに凪が来る  作者: 花染
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 研究室にたどり着き君にエールを開けて成分分析をしてみたが、予想通りこの前、なんとなく調べた時と同じ反応を示している。


「この数値なら外的問題は、無いけど多量に摂取したらやっぱり危険だね」

「はい。魔力の分解吸収は、アルコールと同じで人によります。今朝のお天気アナウンサーが亡くなったは、魔力補給剤の多量に摂取による魔法暴走。しかし、ヘビトカゲに関しては、自主的なものではなく第三者による悪意がある犯罪的行為かと思います」

「いや、あの人も第三者によるものかもよ」


 先生は、数値を見てそう言った。私は、少し考え缶に記入されている注意書きに目を通した。


「確かにこれをコップに注いで渡されると普通のジュースにしか見えませんよね。君にエールは、いろんな味の種類がありますので、その人の好みを知っていれば、基準よりも多く摂取さす事は、可能ですが……朝の放送するニュースに2本以上飲ますのは、難しいかと」

「そうかもしれないけど、もしその人が毎朝、君にエールを飲んでいる事を知っていたら簡単だと思うよ。

 人間は、習慣を変える事は、簡単に変えられないし、変えると気持ち悪い。だから、習慣的にそれを飲んでいたら残りの数本は、錠剤入りのコーヒーなどを飲むだけ。魔力を補給できるのは、このジュースだけでは無いしね」


 そう言って先生は、椅子に座った。もしそうだとすれば、計画的な殺人でありそれの可能性を知ってしまった私は、少し背筋がゾッとした。


 そして、万が一その可能性だとすれば、それをやった人は、きっとヘビトカゲのエルを殺した犯人だろう。そう感じた私は、息を飲み先生に言った。


「先生、これは、もうやめた方がいいかもしれませんね」

「そうだね。犯人は、きっと僕たちの近くにいる可能性が高いしね」


 近くにいる。そう。もしエルを殺した犯人とアナウンサーを殺した犯人が同一人物だとすれば今現在に私たちが調べている案件を知れば殺しにくる。


 調べれば調べるほど犯人に近づいてしまう。そして、私は、すでにこの事件の犯人を解っている。


「アミーさん!」


 突然ドアを開けた女性は、慌てた顔で私を見る。女性は、冷や汗、顔の色が青白く今でも倒れそうだ。


「どうかしましたか?」

「ユニコーンのライトニングの様子がおかしいの!お願い!助けて!」

「解りました」


 私は、立ち上がり君にエールの成分分析のデータを消したのをみた先生は、私の服のポケットに何か入れた。ポケットに手を入れると丸い何かだが、飴では無いと思う。


「僕は、沼エリアに行ってくるよ。新種の件があるし、一様、博士だもんね」

「そうですね。どうして、弟子であり助手でもある私が、いろんな人に頼られるんでしょうね?」


 そう言うと女性と先生は、顔を見合わせてニッコリ微笑みながら私をみた。


「アミーに頼むとね、トトコン追求してくれるから頼みやすいからだよ」


 あ、あああ。そう言うことか。私の性格のせいで、こう言う立ち位置になっているのか。私は、器用に多くの事を考えることは、出来ない。こうだと思えば、曲げる事は、出来ない。


「そうでしたか。では、行ってきます。要件が終わったら食堂で会いましょう」


 私は、そう言って先生に手を振って部屋から出て行った。


 確かユニコーンがいるエリアは、草原エリア。しかし、あの沼エリアの沼の水が、草原エリアに流れている小川と関連性は、無い。そして、ユニコーンは、ヘビトカゲと違って魔力を分解する遺伝子を持つ生命体だし、人間と違ってかなりの数値の魔力を分解できるので、万が一魔力補給剤が紛れ込んでも人が想像を超える量を混ぜ込まないと魔法暴走は、起きない。


 草原エリアに着いた私たちは、ユニコーンのライトニングを呼んでもらう事にした。


「この子よ」


 女性が連れてきたユニコーンのライトニングは、確かに異常だ。異常までもあのユニコーンの自慢な角が短い。と言うよりも何者かに角を刃物で削り取られていると言った方が正確だ。斬り方も荒くライトニングの皮膚までも傷がついている。

「…………


 怪我は、私の治癒魔法で治すことは、出来ますが角は、自然に伸びるのを待つしかないですね。ユニコーンの角は、骨で神経がないので痛みは無いでしょうが切り口が荒いので、もしかしたら感染症になる可能性が高いので、消毒液を含んだタオルなどで、一日3回目と汚れた時に毎回、必ず綺麗に拭いて清潔に保ってください」

「解った。ありがとう」


 そう言って、女性は、ライトニングを微笑みながら撫でて「良かったね」と言っていた。大したことないが、ここの施設にいる幻獣は、希少価値がある幻獣が多い。万能薬になるユニコーンの角、不死になれる人魚の鱗、若返りする黄金の卵を産む鳳凰などがいる。当然ヘビトカゲも瞳を食べると難病に効くと言われている幻獣だ。

 その為、彼らを一般公開すると同時に厳重にセキュリティ管理も充実している。


「念のためにカメラを見た方が良いですね。頼んでも良いですか?」

「当然、良いよ。幻獣たちを傷つけるなんて許せないっ!」


 そう言って女性は、立ち去ろうとしたのを止めて、私は、少しだけ彼女に質問をした。


「沼エリアの担当の飼育員で、髪の毛をツインテールにしている女性は、新しく入ってきた人ですか?」


 私は、昨日“初めて”出会ったエルの件に関わった女性の事を聞くとこにした。



「ツインテール?」

「はい」


 女性は、少しだけ考え首を傾げた。


「ツインテール以外に特徴は?」

「前髪がぱっつんで、一部赤色のエクステを付けていました」


 さらに首を傾げ考える。そして、次に質問が来るのかと思いきや


「そんな人は、飼育員に居ないよ」


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