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不死の破壊者  作者: 浅瀬
第一章 新しい世界
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第一章 第二話 集団召喚


 突然光に襲われ、目を開けると俺はとんでもない広さの石でできた競技場のような場所にいた。いや、正確にはイタリアのコロシアムのような物に近い。


「おーい!藍~!」


 俺と同じく辺りをキョロキョロとしている人達の間を割って、若い男がこちらに声をかけてくる。


「やべえやべえ!俺ら異世界転移したんじゃねぇーか!?」

 興奮した様子で話しかけてきたのは、同じクラスで親友の峰崎だ。

 

(異世界転移、確かに状況はそっくりだな)


 最近この二人の間でブームとなっているネット小説の話の内容と今の状況が似ていることに気づく。


「本物の異世界転移ってこんなに人が召喚されんだな」

 ざっと見た感じ100人近くいるだろう。その中には近所のおばさんなんかも見える。

「そうだよな~、あっちには赤ちゃんとかもいたぜ?もしかして全員勇者とか?」

 峰崎は笑いながら冗談を言う。そんな会話をしているとバタバタっと音がして、またまた聞き覚えのある声をかけられる。


「藍!こりゃあ異世界転移だぞ!ついに父さんも勇者だな!勇者!」

「藍ちゃん!これって異世界転移よね!?母さん、チートスキルで無双しちゃうかも!!」


 かなーり覚えのある方々だ、藍はやれやれといった感じで二人に返事をする。

「父さん、母さん。こんな状況とはいえ人前であんまりはしゃがないでくれよ、恥ずかしいだろ?」

「藍!そんなやれやれ系主人公ぽい事言っても勇者の座は渡さんぞ!」

 その隣で母さんも「チートスキルは渡さん!」と、父さんに同調する。

「あー!俺賢者がいいっす!」

 俺も俺も!と峰崎も便乗する。

 

 オタクな趣味を持つこの似た者夫婦は1度これだ!と決めると誰にも止められない。ついでに便乗した友人にも藍がさらにやれやれしていると、妹の楓が息を切らして現れる。


「ハーッ、ハーッ、ちょっと、置いてかないでよ!」

「お~!楓!どこ行ってたんだ!はぐれたらどうなるか分からんぞ?ここは異世界だからな!」

「楓はそうね魔法使いなんて似合うんじゃないかしら?」


 父さんが楓に注意し、母さんはまたそんな事を話す。


(わーお、これマズいな…)


 楓はプルプルと震え、大声を張り出した。


「父さん達が兄さんを見つけるとすぐ私を置いて走って会いに行ったんでしょうが!!魔法使い?いい大人が恥ずかしいこと言ってんじゃないわよ!」


 ビリビリと空気が震え、周りの人達どころかコロシアム中が静まり返る。


「「す、すいませんでした」」

 父さんと母さんが楓に謝ると、俺達の近くに空から、真っ白の鎧で全身を覆ったホワイトブロンドの髪の人物が降り立った。


 突然の出来事で周りの人達もなんだなんだとその人物を見ようと騒ぎ出し、こちらに集まりだす。父さんと母さんは「騎士だ!」とか「いや王子よ!」と先ほどの謝罪を忘れて騒いでいる。


 「皆さん、ようこそいらっしゃいました。私はこの国の王子、ミラーク・シャバラーグと申します。この度は皆様のお力を()()()して貰うために召喚させて頂きました。」


 ミラークと名乗った人物が話した内容を聞くと皆に更に動揺が広がる。父さん達は「ホントに召喚だ!転移したぞ!」と最初の勢いに戻っている。


 「そして…そこの君、君は特に素晴らしいスキルを所有している」


 ミラークが俺を見つけ、こちらを指さすと、皆の視線が俺に集まる。父さん達は「藍がまさか…勇者!?」「今素晴らしいスキルって言ったわよね!?もしかしてチートスキルが……」等と今だにそんなやりとりを続けている。


「俺…ですか?」

「えぇ、君です、クロセ・アイ君。君のスキルは《不死者》、無限の命をもたらすユニークスキルです。」


 皆(一部を除く)が意味が分からないといった顔をしていると、ミラークは説明を始めた。まずこの世界にはスキルという物があり、2つの種類がある。1つはノーマルスキルといい、この世界の大体の人々が所有している物だそうだ。そしてもう1つのスキルはユニークスキルと呼ばれ、俺達のような異世界人や特定の人物しか所有していない物らしい。その力はノーマルスキルとは比にならない強さや能力を持っており、そしてそれをこの国のために貸して欲しいと言った。


 説明を聞き、人々から元の世界には帰れないのかという声がちらほら聞こえ出す。


「元の世界には帰れないんですか?」


 楓が代表してそう聞くとミラークはニコッと笑いこんなことを言った。


「残念ですが帰れませんね、行くとしたらあの世ですかね?」


 は?と思ってミラークにどういう事か聞こうとした瞬間、楓の首が宙に飛んだ。突然の事に驚いていると、俺の心臓に剣が刺さった。


「君の殺し方はまだ分かりませんからね、そこで這いつくばっててください。」


 剣を俺に刺していたのはミラークだった。ミラークは俺に剣を刺したまま手を離すと、両手を広げ、騒がしくなっている観客の方に大声で話しかける。


「この国の人々よ!待たせたね!さぁ!略奪の時間の始まりだ!」





 











 

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