さいしょで、さいごの
初めての投稿となります!
短めのお話なので、ちょっとした空き時間にでも、読んでいただければ幸いです(*´-`)
これは、小さい女の子視点、小学校低学年ぐらいの女の子が書いているという設定(?)ですので、私の独断と偏見で、小学校低学年には難しいと思った漢字は平仮名に。それから、小学校低学年には難しいと思われる言い回しは使っておりません。
同じ言葉を多く使っていますが、あくまでも小学校低学年が書いた文章だということで読んでいただければと思います。
少し、読みにくいかもしれません。
こんなの読みにくすぎて、読む気失せるわ!という方には、これから書こうと思っている別の作品を読んでいただければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします!
わたしは、小さいときから、ここにいます。
いつからここにいるか覚えていないほどです。
わたしが小さい時からいる、この場所は、白くて、私にはとても大きいベッドが4つ、並んでいます。
それから、いつもまぶしい太陽をのぞかせる大きな窓があります。
わたしには、この窓からみえてしまう、わたしとおなじぐらいの年の子が遊んでいるふうけいが、ちょっとだけかなしく、さびしいです。
わたしには、お友だちがいません。
一人で遊ぶことにはなれました。このお部屋で、なにもしないですごすことにもなれました。
なれたけれど、たまに、ほんとうにたまに、ふつうにおうちですごしてみたいと思ってしまいます。それから、お外で遊んでみたい、とも思います。
だから。
だからわたしは、いけないことだとわかっていて、一度だけ、お母さんにたずねてしまいました。
「お母さん、わたしは、いつおうちに帰れるの?」と。
お母さんは、かなしんでいるようで、こまっているようで、でも、おこっているようにもみえる顔をして、わたしから目線をはずします。
そして、ぽつりとつぶやいたのです。
ごめんね、と。
わたしだって、ほんとうはわかっています。おうちには、帰ることができないことぐらい。
ごめんね。ごめんね。とくりかえすお母さんを、わたしはみたくありませんでした。
どうしてお母さんは、あやまるのか、わたしにはわかりません。
だって、お母さんは、なんにもわるくありません。お母さんは、とってもやさしいです。
まいにち、わたしの部屋に来てくれます。まいにち、わたしの話を聞いてくれます。わたしには、その時間が、とってもとっても楽しみでした。
だから、だから、お母さんにわるいところなんて、ひとつもないのに、どうしてお母さんはあやまるのか?
わたしには、わかりません。
わたしには、どうすることも、できません。
ある日、わたしはいつもの部屋の外に出てみました。
ころがる棒をささえにして、ふらふらと歩いていると、ある部屋のドアの近くのベッドにいたあるおばあさんに声をかけられました。そのおばあさんのつくえには、おばあさんとわかい男の人のしゃしんがおいてありました。
「そこのおじょうちゃん、少しだけ、わたしの話を聞いてくれないかい?」
見たこともない人だったけれど、やさしそうな人だったので、わたしは、おばあさんと話すことにしました。
「うん!」
できるかぎりの元気な声で、へんじをしました。元気でいれば、お母さんとお父さんの、かなしむことがへると知ったからです。
「ありがとう」
おばあさんはすてきなえがおで、わたしにこういってくれました。
そして、おばあさんは、生きてきてうれしかったことや生きてきて、かなしかったこと。それから、生きてきて、一番こうかいしてることをわたしに話してくれました。
わたしはおばあさんの話を、わすれないように、しっかりとむねにきざみこみながら、20分ほど聞いていました。
おばあさんは、お話のさいごに、こういいました。
「おじょうちゃん、ひとつたのみごとをしてもいいかい?」
わたしが、人になにかをたのまれることははじめてでした。だれかのやくにたてることがうれしくて、わたしは大きくうなすぎました。
「もちろん!」
するとおばあさんは、あのすてきなえがおで、もういちど、ありがとうといってくれました。
「おじょうちゃんがまた来たときに、わたしがいなかったら、わたしに、さよならをいってほしいんだ。あいさつはとてもだいじなことだから。それにわたしは、あいさつができなくて、とってもこうかいしてることがあるんだ。だからあいさつはだいじにしたくてね。」
おばあさんのすてきなえがおは、今はかなしそうなえがおになっていました。
そのえがおをみて、わたしはこのおばあさんとは、これっきり話すことができないと思いました。理由はわかりません。でもはっきりとわかったんです。
だから、話を聞くきけるのは今しかないと思いました。そしてわたしは、ずっとずっとわからなかったしつもんを、おばあさんにしてみました。
「どうして、ここからいなくなった人は、帰ってこないの?」
おばあさんは少しおどろいて、やっぱりすてきなえがおになってくれました。
「それはね、ここからいなくなった人は、あいさつをしにいったからさ。」
どういうことでしょうか。わたしにはさっぱりわかりませんでした。おばあさんはつづけます。
「ありがとうって。おせわになりましたって。ごめんなさいって。たくさんのいいたかったあいさつを、ことばを言いにいったんだ。」
さらにわたしはわからなくなってしまいました。
「どういうこと?」
もうすぐで、おじょうちゃんにもわかってしまうのかもしれないねぇ。かなしそうに目をふせて、おばあさんはつぶやきました。
そして、しわしわの手でわたしの頭をなでてくれました。
「ありがとう、おじょうちゃん。おかげですっきりしたよ。」
まだまだ聞きたいことはあったけれど、今日はこれでおしまいです。
「今日はお話してくれてありがとう!」
元気にわたしはお礼をいってから、棒をささえに帰りました。
寝る前、ベッドにねころがったわたしは、今日のおばあさんの話を、できるかぎりぜんぶ思い出していました。
おばあさんが話してくれた中でここからいなくなってしまった人は、あいさつをしにいったんだという話のことを考えました。
どうして、あいさつをしにいって帰ってこないんだろう?
どれだけ考えても、わたしの頭は小さいみたいで、この答えはみつかりませんでした。だからしかたなくねむりにつきます。
そういえば、さいきん、おやすみなさいのあいさつをしていなかったことに気づきました。
今日のおばあさんや、あ母さん、お父さん。あいさつしたい人を思いうかべて、おやすみなさい。そう心の中であいさつしました。
おばあさんと話して、2日後、わたしはまた部屋の外へ出ました。
行き先はもちろん決まっています。あのおばあさんの部屋です。
あの部屋にたどりついて、おばあさんがいたベッドの場所をみました。
おばあさんがいたはずの、あのベッドは、きれいになっていました。あのつくえの上のしゃしんはなくなっていました。
わたしはわかってしまいました。これがおばあさんのいっていた、もしものことなんだと。
さよならを、しないといけないんだと。
わたしの人生の中で、初めてのたのまれごと。しっかりとやらないと。
「おばあさん、あの日、わたしとお話してくれてありがとう。楽しかったよ。」
なみだがこぼれそうになりました。
「それからさようなら。」
わたしの目におさまらなくなってしまったなみだは、ぼろぼろとこぼれてしまいました。
おばあさんと話せたのは、あの一度だけ。それなのに、なんでなみだが止まらないのか、どうしてむねがくるしくなってしまうのか、わたしにはやっぱりわからなかったのでした。
その日はなみだがとまらず、一日中ないていました。もしかしたら、体の中のすいぶんがなくなってしまうんじゃないかと思うほどでした。
あのできごとがあってから、数ヵ月後。
わたしは、あのぼうのささえをつかっても、立つことができなくなってしまいました。
そして、数ヵ月前のおばあさんのあいさつの話を思い出していました。ここからいなくなった人は、あいさつをしにいったんだという話を。
わたしもそろそろあいさつをしにいく時になったのかもしれないと、ふるかいてんはできない頭で考えました。
どんなあいさつをするのか。
だれにあいさつをするのか。
あいさつをしにいくとなんで帰ってこれないのか。
そもそもあいさつってなんなのか。
たくさんの疑問が頭の中をぐるぐるまわります。
でも、やっぱりわたしの頭は小さいみたいです。わたしには頭の中のたくさんの疑問の答えがみつけられませんでした。
少しずつ遠くなっていくような、自分のしんぞうの音が、わたしの耳に聞こえます。
ほら、もうすぐ。
あいさつにいかなくちゃ。
まずは、わたしに、さいしょで、さいごの、あいさつをしよう。
あのおばあさんがいっていた通り、あいさつはだいじだから。
ありがとう。さようなら。
それから、おやすみなさい。
お読みいただきありがとうございました!
いかがでしたでしょうか。
この作品は、自分にはない純粋な心を持った少女の命が失われる最後の一部分を切り取ったイメージです。
おばあさんの話をもっと具体的に書いてもよいのではないかと思ったのですが、前書きでも言った通り、あくまでも小学校低学年の少女が書いたという設定なので、あまり詳しくは書きませんでした。でもこの部分は、後書きを書いている今でも、どちらにした方が良かったのかはわかっていません(;´∀`)
何かご意見等あれば、遠慮なくおっしゃってもらえれば嬉しいです!
次の作品は、短編になるか、連載になるかはわかりません。
この作品で、もし私に興味をもっていただけた方がいるのなら、次の作品でも会えれば嬉しいなと思います。
ほんとうにお読みいただきありがとうございました\(*・∀・)/