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隣のあの子はサンタクロース  作者: さよならの果てまで
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3話 サン・タクロース

 駅前広場を多くのカップルが行き交う中、柏原は隅の方にある電柱に寄りかかっていた。ちらりと携帯電話を見たと思えばきょろきょろと周りを見渡しとにかくせわしない。それもそのはず、彼は今自分がサンタクロースであると告白してきた三輪夏奈を待っているからである。普段は非常に大人しく接点がほとんどないにも関わらず大きな秘密を知ってしまったのだ。未だに彼女がサンタクロースであるというのは信じられないが。待てよ、冷静に考えて女子高生がサンタクロースなんてあり得るのか?いや、というかそもそもサンタクロースって日本人なのか?悩めば悩むほどその不可思議さが増していった。

「ごめんなさい、待たせてしまって。」

三輪さんがひょいと人混みの中から現れた。あれ、いつもと違う。制服姿でしか見たことがない彼女が女の子らしく着飾っている姿は可愛いという言葉がまさにぴったりだった。

「あ、いや。大丈夫。」

「何…、食べます?あっ、てかもう…食べちゃったかんじ…とか?」

「いや、一応まだ…かな。何でもいいよ。」

「じゃあマクドナルドでも…。」

「おっけー…。」

二人の間は何とも言えない居心地の悪い空気が流れていた。マクドナルドで俺はどんな話をされるんだろう。柏原が拳をぎゅっと握りしめる。マクドナルドに着くと二人ともチーズバーガーのセットを買って席についた。

「で、その話ってのは…。」

柏原が何も言わない三輪に痺れを切らせて口を開けた。

「あ…、えっと…。私がサンタクロースという話についてなんですけど…。」

「う。うん…。」

「その…、正確にはサンタクロースじゃないんです…。」

いや、何それ!意味分からないんですけど。結局サンタクロースじゃないのかよ。しかも正確にはって何だよ!まるでサンタクロース的要素も大いに入ってるかのような言い回しするなよ。もしそれが本当だったとしてもそれはそれで意味分かんねえよ!

「え、じゃあ三輪さんは何なの…?」

「次期、というのが正確です。」

いや、サンタクロースに次期もクソもないでしょ!

「じゃあ、今のサンタクロースは…。」

「サン・タクロースです。」

「え?」

「正確にはサン・タクロースです。」

「それ、大事…?」

「大事です。」

「絶対?」

「絶対。」

今まで十七年間生きてきたけど、それでもこの世は知らないことだらけだ。


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