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隣のあの子はサンタクロース  作者: さよならの果てまで
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0話 月

 平凡な日常なんてつまらないったらありゃしない。教壇の上で数学教師はひたすらに公式を唱える。目の前に座っている勉強馬鹿は参考書を机いっぱいに広げて必死で勉強する。空に浮く雲はあてもなくふわふわと漂い続ける。つまらない。こんな日々を送りたくて高校生になったわけではない。もっと自由で華々しくて、それこそ少女漫画のような恋愛をして。幸せなものだと思っていた。それが期待外れどころかもはやただの地獄である。退屈な日々を繰り返すだけの地獄。まだ青く澄み渡っている空にうっすらと見える月だけが自分の味方であるような気がした。   いや、今日はもう一人味方がいたらしい。窓際に座っている隣の、確か三輪さん、彼女が微笑みながら同じように月を見ていた。秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ。昔誰かが詠んだ和歌を思い出すような美しさだった。ぼやけた月。たなびく雲。彼女の微笑み。全てを含めてそれは画になった。いつの間にか演習の時間に移ったのだろうか、教室は形容しがたい静寂に包まれていた。こんな時間があと何分続くのだろうか。誰かの腕時計の秒針の音が支配する空間は永遠に続くはずもなく、気が付くと無情にもチャイムが鳴っていた。



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