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会場入りとお礼

ラーメンを食べ終わった俺達は再び電車に乗り、コンサート会場のある最寄り駅に到着していた。

「よし!ついにたどり着きましたね!コンサートが始まるまでまだ時間はあるし、グッズ売り場でグッズを買いましょう!」

意気揚々と田中が先頭をきって歩き出した。

俺は田中の勢いにもそうだが会場の雰囲気にも飲まれていた。

「なんなんだ。ここは...」

会場は既に人だかりがそこら中に出来ていて、みんなそれぞれの格好をしていた。゛Sweet micoa゛の公式グッズのタオルを首にかけていたり、両手いっぱいに会場で買ったメンバーの写真を確認していたり、自分で作ったであろうメンバーの写真入りのTシャツを着ていたりと色々な人がいた。

ここがアイドルの現場か。そう思うのと同時に゛Sweet micoa゛の実人気を思い知らされた。

「先輩!何してるんですか!こっちです!」

名前を呼ばれ俺はグッズ売り場に並んでいる田中と一緒に売り場の列に並んだ。売り場の列だけでも相当の列だ。

「アイドルの会場ってこんなに人がいるもんなの?」

「そりゃそうですよ。何てったって今をときめく゛Sweet micoa゛の初の東京ライブですからね。」

「え、そうなんだ東京でライブすんの初なんだ。」

俺はちょっと意外だと思い、聞き返した。

「そうですよー。今までは俺達の地元でミニライブしたり、地元のテレビに出演したりとかしか出来てなかったんで、こんなに広い場所でライブするのは初めてですね。」

その話を聞き、俺はちょっと゛Sweet micoa゛を尊敬した。ローカルアイドルとして地元に根付きながら地道に活動してここまでやってきたという事実に素直にすごいと思ったのだ。

そんなことを考えていると、いつのまにか列の一番前に来ていて、グッズを買えるようになっていた。田中はメンバーの生写真と公式のサイリウム、そして今回のライブ限定のポスター、タオルを買っていた。合計金額は一万円近くになっていた。

「さあ先輩!何を買いますか?」

そう言われて俺はライブに欠かせないと言われたサイリウムとタオルを購入してグッズ売り場を後にした。

「よし!準備も出来たし、席に向かいますか!」

「あ、ごめん。その前にトイレに行ってくるわ。先に席に行っててくれ。」

俺は田中にそう言うと会場のトイレに向かった。

会場のトイレも列が出来ていたが、割りとすぐに済ませることができた。

「よし!席に向かおう。」

そう思ったその時、急に肩をポンポンと叩かれた。誰だと思い後ろを振り返ると、そこには前に会社に来ていた゛Sweet micoa゛のマネージャーが立っていた。

「あ、こんにちは。この間はどうも。」

俺は突然現れたマネージャーに驚きながら挨拶を交わした。

「この間はどうもありがとうございました。今日はライブに来てくださったんですか?」

「はい...会社の後輩がチケットを取ってくれたんでその付き添いで...」

俺がそう答えると、マネージャーはこう答えた。

「そうですか。実は゛Sweet micoa゛のメンバーだある、ありすがあなたが会場に入るのを見かけたらしく、この間の腕時計のお礼にとコンサート前ですが挨拶をしたいと言っておりまして。」

俺は突然のことでびっくりしていた。

「い、いえ。忘れ物を届けただけなのでそんな気を使ってくれなくても。」

「うちのありすは一度言ったら聞かない性格でして...ほんの少しだけ会ってくれませんか?ライブ前には席に着くように間に合わせますので。」

マネージャーからそう言われた俺は、困ったマネージャーを見て渋々了承した。その一方で、麻衣ちゃんに会えるかもしれないウキウキした気持ちとあの可愛いありすちゃんにわざわざ呼ばれたドキドキ感でいっぱいになっていた。 何にもない。そんな夢みたいなことは起こらない。ただの挨拶だ。そう自分に言い聞かせて、俺はマネージャーに付いていき、関係者口の方へ向かった。

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