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予想を越えたドキドキ

マネージャーと一緒に関係者しか入れない「関係者以外立ち入り禁止」のカーテンをくぐり中に入ると、そこは゛Sweet micoa゛の文字がはいった公式グッズのTシャツを着たスタッフ達が忙しそうに走り回っていた。

「皆めちゃくちゃ忙しそうだな…」

ポツリとそんな一人言を言いながら、マネージャーの後ろを付いていく。

すると、マネージャーが立ち止まり、こちらを振り返った。

「あそこにいるのが、ありすです。少々お待ちください。」

そう言ってマネージャーは、少し遠くにいるありすちゃんを小走りで呼びに行った。

マネージャーと話したありすちゃんが、俺に気付き、笑顔でこちらに向かってくる。

「わーー。来てくれてありがとうございます!

凄い嬉しいです。この間も腕時計ありがとうございます!」

ありすちゃんはそう言いながら、屈託のない笑顔をこちらに向けていた。

「い、いや。こっちこそ、わざわざ呼んでもらってありがとうございます。」

そのあまりの無邪気さに俺も思わずはにかみながらそう答えた。

「今日は、初めての東京での野外コンサートで凄く緊張してたんです~。でも、あなたが来てくれてるのを見かけて、ちょっとテンションあがっちゃいました!」

果たしてこの子のこの発言とテンションは本物なのか?そんな疑念もあったが、こんなに可愛い子にそんなこと言われるのは、俺も最高に嬉しかった。

「後少しで始まりますけど、席はどの辺りですか?」

俺は田中からもらっていたチケットに書いてある席の番号を見せた。

「えーー!凄いステージから近いじゃないですか!これだったらステージからもすぐどこにいるかわかっちゃいますね!」

「そうだね。゛Sweet micoa゛の大ファンの会社の後輩がいて席を取ってくれたんです。」

そう言うと、彼女はニッコリ笑って、俺の耳元でこう呟いた。

「じゃあ、今日は麻衣ちゃんの方を見せないように、ステージからいっぱい視線送っちゃいますね❤」

「え、」

「それじゃまた後でね。」

俺が答える間もなく、彼女は笑顔で手を振り、去っていった。俺も何がなんだかわからない顔で手をふる。

「ありがとうございました。それでは、席の近くまで案内しますよ。」

マネージャーにそう促され、俺はまた歩き出したが、頭の中は彼女のあの発言と笑顔が駆け巡り、心臓はドキドキが止まらなかった。

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