つまらなすぎる毎日
「ブー、ブー、ブー」
スマホのアラームで目が覚め、目を手でこする。
「はぁ…また今日も仕事か…」
そう言いながらゆっくりとベッドから起き、服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
午前6時50分。仕事の日は毎日この時間に起きる。
大体朝にシャワーを浴び、シャワーから出た後は朝食はとらず、冷蔵庫のスポーツドリンクのみ口にする。一人暮らしのため2リットルのペットボトルをラッパ飲みだ。
朝日がカーテンの隙間から射し込んできてるのをみてため息がでる。朝のテレビのアナウンサーも今日は快晴になることを伝えていた。
「今日もいい天気になりそうだな…」
スポーツドリンクを飲みながらそう呟いた。
こんな日はゆっくりと午前中寝ていて、午後からうだうだと行動したいと男の一人暮らしなら一度は誰もが思うものである。
今年で社会人になって2年目を迎えた。高校を卒業して大学には行かず、すぐに就職した。
頭がそこまで悪かった訳ではない。
しかし、大学に行っても夢も目標もなくだらだら過ごすのは自分のなかで許せなかった。ただ、だらだら過ごして高い学費を両親に払ってもらうのも申し訳なかった。
だったら周りの友達よりも早く仕事をして社会の一員になり、お金を稼ぎたい!そう思っての就職だったのだが…
「やっぱ、行きたくねーな~笑」
社会人になって楽しかったのは最初の一ヶ月間だけだった。
地元の特産であるかまぼこを製造する工場で製造ラインのリーダーを一年目で任された。
リーダーと言っても、実際にやることはパートのおばちゃん達と一緒にラインに入って作業をしたり、トラブルが起こった時に上司に報告して次の指示をパートのおばちゃん達に伝えるくらいである。
なにせ俺がこの工場に10年ぶりに入った新入社員だったらしく、若い社員が少ないため、すぐにリーダーを任された。だから細かい指示は上司に聞かないとまだ分からないし、トラブルが起こった時の対応も分からない。なので主はパートのおばちゃん達と同じ仕事をするくらいである。パートのおばちゃん達の愚痴を聞き、上司の頼んでもいない仕事をする上での上での心持ちを聞く。
そんな毎日が一年間続いたら、そりゃ仕事だって嫌になる。
「あーあー、学生に戻りてーな~」
一人そう呟きながら時計を見ると、時刻は7時30分を回っていた。
「!!やべーー!急がないと!」
一人暮らしをしている家から会社まで車で20分は掛かる。8時出勤のため今の時間からすぐに家を出ないと、確実に遅刻だ!
急いでスーツに着替え、テレビのスイッチを切り、戸締まりを確認して家を出た。
その時、スマホに着信が来ていたことに気づいたが遅刻しそうだったため、無視をした。
その1本の電話が今後の俺の人生を大きく変えることになるとは知らずに…