世界
ぱちぱちっ
誰かが
まばたきをする度に
ふわっきらっ
粉が舞う
色の濃さ
輝き
ほれぼれする
31年間
同じひとなんて見たことない
いつからかわからない
気がついたらそうだった
当たり前のことで
それがぼくの世界
周りの人に粉は見えていないとわかったとき
(えっ、もったいない!!)
って思った
こんなにこんなに
色とりどりで
色彩で溢れているのに
ぼくだけにしか見えないなんて
独り占めなんて……
なんで一緒にわかちあえないんだ?
そんなのって変だ
無念すぎる
しかし変なのはぼくだった
見たままを共有できないものかと試してみた
無理だった
形に残したくて
絵を描くようになった
最初に
叔母にプレゼントした
「なんだか落ち着くような落ち着かないような……」
うん。それ、あなたの輝きです
ある日、ある瞬間の
大事なひとに
そっと絵を描いて贈った
戸惑うひとが多かった
自分を見るって
あんまり嬉しいことじゃないんだろうか
あくまで、ぼくから見た
あなたですが
ズレているの?
絵が
色がバランスが
気に入らないだけかな
なんだろう
世界が粉だらけでも
実害はない
ので、ぼくはぼくの世界をとても愛しく
慈しんでいる
たった1人の楽しみ
どんなひとも
綺麗なだけじゃない
濁った色
見たくない色が出てくる
それがいいとか悪いとかじゃない
ただ、そういうものなんだ
性善説とか性悪説とか
むずかしいことはわからない
なんで皆、そのまんまを
そのまんまのそのひとを
受け入れられなくて
いじめたり
陰口叩いたり
顔をしかめたりするんだろう
もったいない
誰かを嫌って
嬉しいきもちになったこと
経験がない
つらくなるばかりだ
みんなはどうなんだろう
誰かを悪く言うと心が弾むんだろうか
大好きなひとに話したい内容は
悪口なんだろうか
ぼくにはわからないことばかりだ
何をしたらいいのか
何をしたいのか
どうやって暮らしていくのか