メンヘラ彼女 〜やっぱり君が好き?〜
仕事中ずっと、振動している携帯電話。
待ち受け画面を見ると、メールのアイコンが点滅中
『なにしてる?』
『あいたいなぁ』
『すき』
『ゆぅくん』
『いまどこ?』
『・・・ねえ。なにしてるの?』
携帯の履歴には、彼女の名前。梨花。
仕事が終わる9時には着信まで、今から仕事中っと休憩中にも送ったのに30件近い着信を見ながら溜息しか出ない。
「また彼女か?」
同期の友人が携帯を覗きこみうわぁ〜っと声をあげた。
「勝手に見るな。」
「あの可愛い彼女だよな。可愛いけどやばいだろ。これ。」
そう言われて、携帯を見つめ直し、また一通。
「ヤバいよな。」
うん。自分でもそう思う。
初めて会った時は普通だった。合コンで知り合った時は、ほんと清楚な感じの可愛いこだなぁって。思ってみんなで連絡先交換して、たまにメールする程度だった筈。
何回か2人でデートして、付き合いだしてからだった。
メールが、朝も昼も来るようになった。元々。マメじゃない俺は、仕事終わりの夜だけメールをしていたんだが。
メールの件数が午前中無視する度に増えていく。
正直あれ?って感じだった。
それからだ。
ヤバいくらい夜には、メールが、電話が掛かってきた。
『いまどこ?なんででないの?』
そんなメールは、普通だ。
『風呂はいるっていったろ?』
そう送ると。
『だって、いつもより長かった。』
いつもよりってなんだ?
計ってるのか?
この時、眠さで何も考えてなかった自分が凄いとおもう。
ほんとに。
それからだ。ダチと遊んでたらなんか見張られてる気がしたり。
仕事中に女の子と打ち合わせをしてると。決まって。
『ゆうくん。私見てるから。』ってメールが届く。
いや、怖っ
恐怖を覚えたことも多々ある。
帰り道を急ぐ。
きっと、彼女は待ってる。
だって、珍しくメールの回数が少ない。
アパートを見ると、やっぱり俺の部屋には明かりがついている気がする。
まあ、俺が家に近づくと、電気が消えることがよくあるけど。
そういうときは、確実に彼女がいる。
ドアを鍵を使って開ける。
中は、ほのかに香る甘い匂い。
彼女の香水の匂いだ。彼女は気付いてない。
香水の匂いでも、気づいてるって。
最初は、怖かったけど、だって鍵を渡してないのに勝手に入ってるって、ね。わかるでしょ。
でも、結構彼女はおっちょこちょいだから。
たぶんいま何処かに隠れている。
彼女にメールを送ると。
ピロリーン。
そんな音が寝室から聞こえてくる。
俺はゆっくりと寝室のドアを開ける。
「梨花。でておいで。」
優しく呼びながら両手を広げてあげると。飛び込んでくる彼女。
「梨花。なんでいるのかな?」
低ーい声を耳元で囁くように言うと、震えながら涙目で見上げてくる。この顔が可愛い過ぎる。
ああ、こんな彼女が可愛く思える俺も結構重症なんだと思う。
皆さん大好き。メンヘラ彼女です。
本当は、ドエスな彼氏を書きたかった筈なのにどこで間違えた?