プロローグ
習作ですのであまりうまいものではありません。お暇だったら読んでいってください。
君は天の川学園を知っているかな。天の川学園を。それはね天の川の中にある学校なのだよ。めだかの学校みたいにね。星の川の中にある。それなのにそこに行くと決して見当たらないのだよ。どうかね。そうっと覗いてみてみるかな。おや、君は信じていないのだね。信じないだろうね。そうか。それなら少しだけ語るだけにしよう。
天の川学園は天の川の中にある。天の川学園には星の瞬く天の川へ宇宙船幽―0号に乗って向かう。そうして星の海を越えた先、輝く南十字星を抜け、静かな真空の扉を抜けて、星たちの騒がしい誕生の場を眺めながら星空の果てに向かえば、そこにはきっと天の川学園がある。天の川学園はね。知っているかい。星の中にあるんじゃないよ。まして真空中にあるのでもない。心の中にあるのだとも言えないね。天の川学園はあるのさ。やはり信じないね。そうか。ではやはり語ることにしよう。
信じるかい。天の川の果てには橋が架かっているのだよ。そう。大きな橋さ。あまりに大きすぎて橋ではなくて長く大きな星空に浮かぶ大陸のような、そうだねいってみれば永遠の虹のようなものだな。そうして、その橋を渡りきると、信じるかい。私たちの世界を抜け出せるのだよ。その終着点で振りまかれる輝く光は下照姫が現れたときのような伝説の輝きにも勝るようなものだ。もう全く目なんて開いてられない。そうなると熱いだろうと思うだろ。それが全然。全く適温シャワーを浴びているような感覚だな。おや、やはり興味がないか。ではもう少し語ろう。安心しなさい。その光のシャワーを抜け終わると、そこはもう綺麗な街なのだよ。その無限に大きくてそして同時にとても小さい街をあっちこっちと漂いながら、私たちは天の川学園に向かうのだ。街の名はジュナ。ずぅつと進むと、といってもそう長くかかるわけじゃないが、東に広がる綺麗な高楼層霧の塔が見えて来る。そこを過ぎ去り、大雲海のプール、説明鳥たちの永劫森林を越え、そこからも先に進み続けるだろ。それから王さまが住む最後の煉獄地帯である天符号宮殿区画を横手にすると、ようやくジュナの中心である奏禅宴神効退潮宮区が見えてくる。そこをさらに過ぎたところにあるのが天の川学園だ。
ふむ。君は興味がなさそうだね。なぜかな。どうやら私の話には耳も傾けてくれないようだ。綺麗に整ったものがお好みならαケンタウリ付近で降りたらよかったのに。聞いているだって。だけど興味がないか。そうかもしれないな。興味がないことも仕方ないことなのかもしれない。私の語りかけかたが気に入らないのか。そうか、そういう年頃なのだな。どうやら悪いことをしたかもしれないな。ジュナを訪れるものは少ないからつい饒舌になってしまったのだよ。君も行くのだろう。知らない。そうか。だが君はこの宇宙船幽―0号に乗っているだろう。一体、どこで降りるのかい。天の川の果てを越えて絶対中心軸の暗黒海に泳ぎに出かけるのかい。それとも宇宙で進む拡張光の工事を追い越して全てがひっくり返る鏡星の王国へ観光に出かけるのかな。何、どちらの行き先かもわからないだって。それなら君は、どうしたものかな。世界揚力樹の枝はもちろん持っているのだろうね。何、何。何だって。知らないだって。馬鹿な。そんな無茶な話しがあるわけがない。それじゃあ君はどうやって。いや、それよりも。
酷い失態だ。私がここで過ごし始めて以来の最大の失敗だ。何てことだ。クミナシウズ宙貨どころか世界揚力樹の枝さえ持っていないのを乗せちまった。一体、どうしたらいいんだ。一体、どうしたら。
うん。そうだ。よし。よし。わかったぞ。君は天の川の果てで降りるのだ。そうして私が話したとおりに進むのだ。ずっと、ずっとだ。そしていつか君が立派にあの場所から帰るときが来たら、そのときが来たら、この幽―0号を必ず利用するはずだ。もし、そのときが来たとするならば君は私の宇宙船幽―0号の乗客になるのだ。わかるかい。
何だって。君、私の話しを聞いていないだって。もう一度、一から話せだって。全く。ともかく君はまっすぐ歩いていけばいいのだ。他のことを何も考えずに。珍しさに見惚れて外れてしまわないように。いいか、ほら、南十字星を過ぎた。もう直ぐたどり着いてしまうではないか。ああこれはいけない。ええいもうどうにでもなれ。あそこまで私が送ってあげよう。