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3 ご先祖さまの恋愛日記

『なになに。』


わが公爵家の黒髪のご先祖様はどうやら異世界からの人物らしい。


『ふむふむ、それであんなに顔がのっぺりした平凡な作りなんだ。

私は妙に納得した。』


まず黒髪のご先祖であるアイ様がこちらにやって来た時の話が書かれていた。


とつぜん散歩してたら穴に落ちて、こっちの世界に来たらしい。


『おいおい、足元くらい注意して歩るけよ。』


 そこで当時、田舎の守備隊長だった銀髪のご先祖様であるシルバー様に拾われ、色々と世話をされているうちに恋が芽生えたそうだ。


『ふーむ、それで?』


アイ様は初めて見たシリバー様の流れる銀髪に神々しい体・・・超絶美顔に悶絶した。


『ふむ、私似のご先祖様は面食いだったらしい。』


お互いに一目惚れして結婚したがどうやら魔獣の繁殖期だったらしく、新婚にもかかわらずシルバー様はアイ様と会えずに魔獣退治の日々だったようだ。


『なんか日記からアイ様の寂しい思いがヒシヒシと伝わってくる。』


そんな毎日が続いたある日、強力な魔獣が現れてシルバー様は大けがを負ってしまった。

 アイ様はこの時、あまりにも焦っていたせいでこちらの言葉ではなく、日本語で看護に必要なものを綴ってしまったそうだ。

 その時、自分でメモした羊皮紙の中に書かれたものがいきなり実体化し、己の魔力と日本語で書かれた文字との相関関係に気がついたそうだ。

 アイ様がその力を使ってシルバー様の看護をすると、こちらの世界では到底考えられないような回復速度で無事シルバー様の大けがが完治した。

 シルバー様が回復した後もアイ様はその力を使ってシルバー様の武器や防具を造り、より強力な魔獣にも対抗出来るようにいろいろなサポートをして、彼の活躍を助けた。

 そのアイ様のサポートもあってか、シルバー様はその後は大きなけがをすることもなく、多くの魔獣を倒し、無事魔獣の繁殖期を乗り越えられたと書かれていた。

 また多くの魔獣を倒したことで国からの褒美として、もともと公爵家の三男だったシルバー様は、自身が公爵家の祖となることを王家に許され、シュバルツの名を冠することが許されたそうだ。


『ふーむ、こんな由来がわが公爵家にあったとは知らなかった。』

 その後は口から砂を吐きそうな甘々な新婚生活が延々と何百ページにも渡り書き綴られていた。

 最後に、やっと子供ができ幸せになりました。


の下りまで読み終わった時には、砂を吐きすぎて白くなっていた。


 黒髪のご先祖であるアイ様は偉大だった!


 私は読み終わったあと、甘さで白くなりながらも素直に心の中にそんな感情が湧き上がった。

 なんといってもこんな甘々の恋愛日記を残すんだもの。

 ほぅと読み終わって力を抜く。

 

 その時、何の前触れもなく私の頭の中にご先祖様の異世界の記憶が刻み込まれた。

 続いてご先祖様が知っていたあらゆる魔法が私の頭の中に刻印される。


『なんで私に・・・ご先祖様?? 』


 私はあまりにも膨大な情報の数々に気を失った。


 ハークション。


 ズッズー。


 くっしゅん。


 くしゃみと鼻水で私は目覚めた。


 大分日が傾いていて別荘中央のガラス屋根の上は、朝日から夕陽に代わっていた。


 私は慌ててハンカチで口元と鼻を拭くと引き戸の方に振り向いた。


 引き戸のところでは固まったまま動かないメイの姿があった。

 私は焦ってメイの傍による。


 何をどうするばいいのだろう。


 私がメイに手を伸ばした瞬間、今までピクリとも動かなかったメイが急に元に戻った。


「お嬢さま。ここは・・・?」

 屋敷の中央に出現した部屋にメイは眼を丸くしている。

 私は慌ててここは私のご先祖様が使っていた読書部屋だと教えた。


「まあ、公爵家の別荘にそんな部屋があったとは知りませんでした。」


 さっきまで私も知らなかったんだがまあそんなことはいいか。

 私は遅くなったので取り敢えずメイを連れてその場を後にすると、夕食の為に食堂に向かった。


ぐぅーーーー。


『めちゃくちゃお腹空いた。』

 とりあえず食事だ。

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