安田の死
あれから月日は流れ、あたしは安田ではない他の人に恋をした
高校生になると彼氏もできた
今ではあの甘酸っぱい初恋もいい思い出だ!
地元を歩いていると彼に会うこともあった
見るたびに
『あ!元気そうだな』
って思いそっと彼に見つからないように隠れた
昔のこととはいえ、なんだか胸がチクってするからさぁ…
そんな高校2年生の冬
彼の死を伝えるメールが届いた…
『嘘でしょ…?』
あたしは信じなかった
誰かのイタズラかと思った
家に帰るとお父さんが新聞をあたしに見せた
「これ…友達じゃないか?」
新聞には事故について書かれていた
『うん…そう…』
安田は保土ヶ谷バイパスを原付で走行していた
それに乗用車が突っ込んだのだ
あたしは状況をうまくつかめないまま友達とお葬式に言った
お葬式場には彼の名前が大きく掲げられていた
安田の友達はみんな頭を刈っていた
その場で泣き崩れる子もいた
ここに来ても状況は把握できない
把握できないというかしたくないのだろう…
懐かしい友人達との再会
『普通こぉゆうのって成人式とかじゃないの?』
中に入ると安田の小さい頃から今に至までの写真が並べてあった
安田の家族や親族の席に座ってる安田の彼女を見て胸が痛くなった
バカなあたしもここに来てやっとわかった
『…安田は…』
『…安田はもう…』