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其の者達、学校の人気者なり 2ページ

一年三組

木茎葉 香織。文芸部。

穏やかで、大人しい、神秘(しんぴ)的な人。どんな人にも優しく、彼女を取りまくオーラに当てられるだけで幸せな気分になれる。

真面目で、成績も良く、先生からの信頼も厚い。勿論(もちろん)、告白する者は後を絶たない。

「こんなのは結構作られてんのな」

誠人が昨日に引き続き、香織の事が書かれた紙を見せて来た。

「お前、この資料(しりょう)が作られるのはレベルの高い娘だけなんだぞ?」

誠人が噛み付いてくる。

「変態だな……」

俺は乾いた笑いしか出来なかった。

「ところで、原田さんってどの原田さん?この学年結構いるからわかんねぇよ」

「したの名前は紗良って言ってたぞ」

俺は上の空で答えた。






「まぁ、私のもあったんですか」

おっとりしてはいるが、彼女はとても(おどろ)いてる様だ。目を丸くしている。

「そんなものを作っているとは、同級生とは言え引く」

灯は完全に呆れた様だ。俺はふと思って紗良(さら)を見た。紗良は目線が合うと

「情報元の人。変態」

と言った。それについては俺も同感だ。

「ところでみんな、この部室が、我は文芸部らしくないと思っているのだか」

灯が俺達を見渡して言った。

「確かに、文芸部らしくないですね…」

香織……この人は、香織さんって読んだ方が楽だな。ともかく香織さんも同意した。

俺はなんとなく原因(げんいん)が分かってたので、二人に言った。

「それって、本が無いからじゃねぇの?」

その場の空気が固まった。

「え?俺なんか悪い事いっ…「それだっ!」

灯が突然叫んだ。俺はたじろぐ。

「山陰、凄い事に気がついたな。確かに、文芸部なら本ぐらいある物だ。山陰、明日本を持って来てくれ」

「はい?」

「とりあえず十冊(じっさつ)程な。香織と紗良も持って来たい本があれば持って来てくれ」

俺の十冊は強制ですか?俺はあまりの事に抗議する気さえ起こらなかった。

脱力して椅子に崩れる。後ろから視線を感じたので振り返ると、紗良がこちらを見ていた。

「あなたの本。ジャンル」

紗良はそういった。俺は意味を考えてから、紗良はどんな本を持ってくる気なのか知りたいのかと思った。

「家にある適当な本を持って来るよ。ジャンルとかもバラバラだな」

俺がそう答えると紗良はムッとする。俺は意味を間違(まちが)えた様だ。再び俺が解読に挑んでいると

「私は色んな本を読みますよ。恋愛物も、学園物も、詩とかも」

香織さんが紗良向かって言った。

「わかった。私も」

紗良が笑顔で香織さんに返す。

「ああ!好きなジャンルを聞いてたのか!」

俺はポンと手を打った。紗良が(にら)んで来る。

俺はごめんごめんと誤魔化して、

「俺はやっぱりファンタジー系かな。あの世界観(せかいかん)は引き込まれるね」

俺はそう言って紗良を見た。紗良は俺の答えに満足した様で、目線が合うと頷いた。

「灯はどんなの読むんだ?」

俺は振り返って聞いた。灯は一瞬驚いた表情をして、すぐにムスッとした。

「おい?どうした?」

俺は座っている灯に近づいて、顔を覗き込んだ。

「我の好きなジャンルを知りたいのか?」

灯が俺を見上げる様にして問う。目が鋭く(ひか)ってるもんだから、上目遣いでも何も思わない。

「我は絵本を好む。」

俺は灯が言った事を理解するのに、じかんがかかった。

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