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其の部、ようやく始まったものなり 4ページ

最終下校時刻を告げる鐘が鳴ったので、香織と紗良は帰って行った。俺は菓子の袋を片付けていた。灯はカギを持っているので、帰ろうとしないのだろう。

「山陰」

不意に灯が俺を呼んだ。

「なんだ?」

俺は袋をゴミ箱に押し込みながら言った。

「その……さっき…我の事を、灯、と呼んでいなかったか?」

俺に視線を合わせず、顔を横に向けている灯。しかし、その目はさっきからチラチラと俺の方を見ていた。

ここで俺は考える。灯と言っているのはあくまでも心の中で、呼ぶ時は【日之道】と呼んでいた筈だ。口にだして灯と呼んだだろうか?

「先程、紗良の事を聞いて来た時、我を 灯 と呼んでいた筈だと思う…」

段々小さくなる声。俺はそれを聞いて、ああと呟いた。

ーーところで灯、原田さんと知り合いなのか?ーー

あの時、灯が少し不思議な表情をしたのは、急に名前で、しかも呼び捨てで呼ばれたからか。

「確かに呼んでたな。…もしかして、いやだったか?」

「嫌では無い。ただ、少し驚いてしまっただけだ」

「………そういやお前も、何時の間にか山陰って言ってるな」

「………嫌か?急に名前で呼ばれたものだから、つい…」

「嫌じゃない。てか、君とか付けられるとなんかこそばゆい。いっそ龍夜(りゅうや)でも構わない」

なんの話をしているのだろうか?それなりに気まずい空気になったので、俺は「じゃ、また明日」と言って部屋を出た。

帰り道。俺はポケットから取り出した紙を見ていた。

新規部活動制作報告書。そこに書いてある事を読んでみる。

その一、部員数が五名以上いる事。そして、下の空欄に入部予定者の名前を必ず記入する事。

その二、活動場所を記入する事。他の部活動と場所が被っていた場合、学校の許可が降りなかった場合は、認められない。

その三、活動内容とその目的を明確に記入する事。活動内容が学校の理念にそぐわない場合は、部として認められない。又、明確な目標がなければ、部として認めない。


…どうしたもんかねぇ。

一つ目は、あと一人集まればいいのだから、別に考えなくてもいい。

二つ目は、もうすでにある。同好会としても成立ってない集りが、部室を持っているのはおかしいのだが、お陰で考える必要がなくなっている。

問題は三つ目だ。文芸部はどこの学校にもありそうな部だし、活動内容は簡単に通るだろう。だが目標がなければ部として認められない。なんかの賞に入るとかじゃ駄目だろうし、良い目標が浮かばない。とりあえず保留だな。

俺は空を見た。日が沈みかけている空は、色んなものが混ざり合っているように見える。

「まあ一応、文芸部は無事に発進する事が出来ましたーと」

歩きながら、俺は呟いた。

冬なのにまだ自室に扇風機があります。

早く片付けないと。

じかっーい。ファイル001

お楽しみに。

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