表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/51

其の一ヶ月、夏休みなり!11ページ

適当に始めた大富豪。結局みんな夢中になり、部屋におかれた固定電話に、「食事の準備が出来ました」と連絡が入るまで続いた。

「食事の準備が整った様だ。龍夜、紗良、後どの位で終わる?」

電話を受け取った灯が、ビリ争いをしていた俺と紗良に問い掛けてきた。

「今」

紗良が手に持っているカードから目を逸らさずに言った。紗良の残りは三枚、俺の残りは一枚。そして、俺のカードはQ(クイーン)で、場のカードは七、紗良のこの言葉は、敗北宣言なのだろうか?

「紗良、お前の番だぞ」

Qなら、大概のカードに対して出せる。今は革命状態では無いし、ビリは免れたな。俺。

「うん」

短くそう言って、紗良はカードを場に出した。そのカードは、

「しまった!イレブンバック!」

特殊カード、11である。そして、俺がパスだと分かると、紗良はそのままハートの四を処理し、場を一旦流した後、最後のカード、六を場に置いた。

「あー、負けた!」

旅館の人が待っているので、トランプを急速で片付けながら、俺はそう言う。

勝てると思った所で喰わされるとは。紗良め、なに満面の笑みをこっちに向けているんだよ。

「勝利!」

 満面の笑みのまま、紗良は俺に向かってピースサインをつきだして来た。

「二人とも、何をしている。夕飯だ。食堂に行くぞ」

      灯が部屋の入り口から催促してくる。


















心地の良い、朝だ。




小鳥のさえずりが、耳の奥まで響いている。布団に入りボーっと天井を眺めながら、鳥のさえずりで目を覚ますのは、思ったより気持が良いんだなーと、俺は考えていた。

 体を起こし、周りを見てみる。俺の隣には、香織が俗に言う『安静のポーズ』ですやすやと寝ているのが見えた。何度か寝返りを打ったのだろう。髪が暴れている。ついでに布団も凄い事になっている。

 香織の奥には、灯。仰向けで姿勢よく寝ているのだが、なぜその寝顔の眉間にしわが寄っているのだろうか。口も歪んでいるし、嫌な夢でもみているのか?にしては静かだ。

 ……沙良は、疲れてそのままベットに倒れこんだかのようにうつぶせである。息が出来ているのかが少し心配だが、……微動だにしないのは本当に心配だが……

「もがっ、もがが、……」

 念のためと思って、沙良に近づこうとすると、沙良の頭から声が漏れた。あぁ、大丈夫だ。生きている。

 俺はふーっと長い息を吐いて、窓の外を見やる。

 そう言えば、旅館の玄関の外に、川から水を引っ張っているところがあったなぁ。あそこで顔を洗って、取り敢えずすっきりするか。

 そんな事を思いつき、俺は207号室から出て行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ