其の一ヶ月、夏休みなり!10ページ
結局、大富豪のルールは以下の通り。
1、革命有り
2、階段革命有り
3、縛り有り
4、片方縛りなし
5、段取り(階段縛り)有り
6、イレブンバック有り
7、特殊(最強)カードあがりなし
8、八切有り
9、スペードの3有り
10、都落ち有り
11、革命効果の継続有り
12、途中縛りあり
こんな感じだ。
「紙に書くとこう言ったトランプゲームって結構ルールがあるんだな」
ルールを表記した紙をみて、俺は感心して言った。
「基本ルールは除いているんですがね。でも、これ以上追加出来ないでしょう」
俺の後ろから紙を覗き込んでいた香織がそう言う。
「そうだな。あと追加しようにも、マイナールールだったりとても面倒なルールだったりするしな。好き好んで擬似革命を入れる奴らなんていないさ」
「擬似革命?」
俺の言葉に、紗良が驚いて聞いて来た。やっぱり知らないか。
「ああ、6と9が連続で出ると、次順だけ革命と同じになるあれか」
俺が紗良に説明しようと口を開きかけたその時、灯が口を挟んで来た。つか、知ってるのかよ。
「中には地方ルールやその場で考えたルールまであるからな。『七渡し』に、『Aの絵隠し』、『あぶれたジョーカー』。数えて行けばキリがない」
どこで調べたのか、次々とマイナールールをあげていく灯。
その説明を聞きながら、俺はチャッチャとトランプを切る。
「灯さん、その様なルール、どこで?」
香織がとても驚きながら灯に尋ねた。段取りを知らない人が居る中で、そこまでルールに詳しい奴も居ないだろう。
「やたら詳しい奴がいてな。ほとんど受け売りだ」
ぶっきらぼうにそう言って、灯はちゃぶ台に着いた。この時、俺は既にカードを配りおえている。
さて、まずは自分の手札の確認だ。カードを並べて、ダブっているカードを場に捨てていく。
「……龍夜、ババ抜きじゃないぞ?」
うおっと!しまった。自分の手の内を見せびらかしてしまった。それに、大富豪のルール聞きながらカードを配って居たのに、なんで一人ババ抜きをすると思っていたのか。
恥ずいっ!
「……とにかく始める事としよう。ダイヤの三、持っているのは誰だ?」
「私。始める」
紗良は短くそう言って、意気揚々と場にカードを出した。
「なっ!」
「いきなり⁈」
「……攻めて来ますね…」
紗良が最初に出したのは、ハートの四、五六。初っ端から階段である。
「「「パス」」」
この初手は全くの予想外。三人とも、パスを宣言した。