其の者、相談者なり。12ページ
それからの時間は、あっという間だった。
時間で言えば三週間。よくもまぁたったこれだけの時間で終わったもんだ。
部室の中で、ぐったりしている部員達。机の上に、ようやく出ほ来上がった原稿。
締め切りはだいぶ過ぎた七月四日。文芸部の始めての物語が完成した。
「おわったぁ」
この言葉を、俺はさっきから何回も呟いている。
「終わりましたね」
それぞれに割り当てられた作業の中で、最も大変な作業をしたであろう香織は、いつものように笑顔で椅子に座っている。
「……………」
灯と一緒に、下書きをひたすら書いていた紗良は、俺の目の前で、静かな寝息をたてている。
そして文芸部部長の灯は、ただただ満足した様な目で、じぃーっと原稿を見つめている。
多分、俺達は、物語創作活動をやりきった達成感に浸っていた。
この数日は、とても忙しく、みんな疲れた。でもとても楽しく、みんな笑った。
これを受け取る山中さんの友達には、俺達が頑張ってこの物語を作ったって事、伝わるかな?
イや別につたわらなくても良いんたけど、この物語に携わった者として、ね。
「これで、頼まれごとを達成する事が出来たな」
灯の一言。その声に、微かな寂しさが感じられる。灯は、この物語創作活動を、もっと続けたかったのではないか。俺はそんな事を考えた。
「灯さん。こうして物語は作りましたけど、山中さんに渡さなければ、『達成した』とは、言えないのでは?」
香織が、少々浮かれている灯に向かって言った。灯のほうは、キョトンとした顔を一瞬浮かべると
「む、確かにまだ達成していないな。それに、目標とは言え締め切りを過ぎている。うん。では我はコレを届けてくる」
とうんうん頷いて、原稿用紙の束を持ち、びっくりする程輝いた笑顔を残して部室から走り去っていった。
さてとーーーー
「おい、紗良、起きろ」
灯が出て行ったのを確認してから、机に突っ伏して寝ている紗良を起こす。
「…灯、行った?」
目を擦りながら紗良が聞いてくる。
「おう。今のうちだ。準備するぞ」
俺がそう言うと、紗良はこくんと頷いて、自分のスクールバッグを、ゴソゴソ漁り出す。
「さっさと準備するぞ。物語創作活動の打ち上げのな」
「ですが、龍夜さん?わざわざ灯さんがいない時に打ち上げ準備をしなくても良いのではないのでしょうか?」
大きなビニール袋を取り出して、香織がおれに問いかけて来た。俺は、近くのコンビニで買って来たお菓子を、机の上に並べていく。学校は基本飲食禁止だが、この旧館まで見張りは来ない。
「香織。驚いたりして表情が出て来る灯は、どこか子供っぽいと思わないか?」
「…………あぁ、成る程。確かにそうですね。子供っぽい」
地味で殺風景な部室が、ほんの数分で装飾される。俺達はそれぞれ、クラッカーを手に取った。
「あとは…」
「そう、後は部長が帰って来るのを待つだけだ」
俺がそう言った瞬間。勢いよく扉が開いた。
いやはや、今回の話はいつもより長かった。
まぁ、他の作者様と比べれば十分短いのですが、12ページまで来るとは思わなかった。
今回の話を最初の山場って考えてたから、長くなったのかな?でも、相変わらず文章力は無いですね。読み返すのも恥ずかしいくらいに下手だぁー!
さて、次回は、
出かけましょう。
お楽しみに。