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【第2章】沈黙のワンオペ
こどもの頃に身につけた「空気を読みすぎる力」は、大人になっても私の手足を押さえつけ、息をしづらくしていた。
そしていつからか、「自我を出せない自分」になった。
でもそれが私。おかしいなんて、かけらも思わなかった。
私の結婚は、はやい方だったと思う。
同じ会社の同期として、そこに今の旦那がいた。
いまでいう、授かり婚。
ふたりとも初めて親元を離れた。
旦那は、初めての子育てに奮闘…してくれると、思っていた。
まだ遊びたいさかりだった旦那はすぐに父親になり、だけど、なりきれてはいなかった。
緊張と不安の中、幼い娘が夜中に泣けば、旦那の無言の抗議。
隣で寝ているのに、私はその瞬間からワンオペになった。
産後の身体がなかなか戻らない。
ケアもできない。眠れないのに、「手伝って」と言えない。
ひとりで赤子を入れる風呂場で、カミソリの刃の鈍色が、私に初めての「自傷意識」を呼び起こした。
───そして私は、その夜もまた、朝の光を、静かに見た。




