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滅びゆく世界の片隅で  作者: カイト
シンジケート編
8/23

第8話 傭兵

翌朝、リュエルはエリスに乗り、シンジケートの本部に向かっていた。


「リュエル、そろそろ着くよ」


ただ操縦しているのはリュエルではなくリン、昨日解析した結果OSを多少弄れるようになったらしい、その結果戦闘はともかく移動などはオートパイロットができるようになった。



シンジケートの本部にはガラクタなどを売る時に何度も来ているがやはり慣れない。崩れかけた高層ビルの下層部に、要塞のように厳重な警備が敷かれ、入り口には武装した人員と、旧式VGが数機、目を光らせている。


「リン、操縦を変わるよ」


『システム:オートパイロットオフライン』


そう言い、オートパイロットを切る。


リュエルが操るエリスが瓦礫の道をゆっくりと進んでいくと、門番のVGがこちらに銃口を向けた。


『止まれ! 何者だ!』


通信越しに、荒々しい声が響く。


「傭兵の登録に来た。……リュートさんから話をしておくと言われたんだが」


リュエルがぶっきらぼうに答えると、一瞬の沈黙の後、通信の向こうがざわついた。リュートが話通してくれたらしい、本当に頭が上がらない。


「…入れ。だが、妙な真似はするな。このビルの中は、シンジケートの領域だ」


鉄の扉が重々しい音を立てて開かれ、エリスは薄暗い格納庫のような場所へと案内された。そこには、錆びついたVGや、明らかに違法な改造が施された車両が所狭しと並べられていた。その中で、エリスの白く流麗な機体は、異質な輝きを放っていた。


コックピットから降りたリュエルは、数名の屈強なシンジケートの構成員に囲まれた。彼らは皆、傷跡の多い顔つきで、油断なくこちらを睨んでいる。


「お前………ガラクタ漁りのガキじゃねぇか」


「だからなんだ」


「いや?いい機体を持ったじゃねぇか」


彼らの一人が、嘲るように言った。その視線はリュエルではなく、彼女の背後に立つエリスに向けられている。その高性能な機体が、彼らの欲望を露わにしていた。


「よせ、こいつはリュートさんの紹介だ。下手なことをしたら俺らの首が跳ねる」


別の男が口を挟む。すると男は舌打ちをし、


「……まあいい、着いてこいガキ」


そう言い歩き出す。しばらく歩くと部屋の前に連れて行かれた。


「入れ」


そう言われて中に入ると。幹部らしき男がいた、赤毛で40歳くらいの男だ。


「俺はダスカー、このシンジケートの傭兵担当兼傭兵ギルド『明け色の陽射し』担当だ。で、お前さんがリュートの言っていた奴か?」


「ああ」


「傭兵志願か。まっ、この無法地帯でVGを転がしてるなら、当然の選択だ」


ダスカーは吐き捨てるように言い、テーブルに書類を広げた。


「機体は…UX-01:エリス、か。聞いたこともないがどこの産だ?」


「…拾った。詳しくは知らない」


リュエルは答えると。一応嘘ではない、まあ帝国のものだろうとの予測はつけてるが。するとダスカーは鼻で笑った。


「拾っただと? そんな出鱈目が通じると思ってるのか?だが、まあいい。お前がZOLDの群れを捌いたのは報告に上がっている。それにリュートの紹介だ。腕は確か、と見てやろう」


ダスカーは一瞬、窓から見えるエリスの方に目をやり、それから再びリュエルに視線を戻した。その目はリュエル見定めようとしていた。


「ああ、あといくらリュートの紹介といえ、傭兵ギルドのルール上まずはEランク、そこで最初の依頼を受けその結果でその先が決まる。本来なら傭兵ギルドが出す依頼を受けるんだが……ここではシンジケートからの依頼を受けてもらう。即戦力にするために依頼は一個でいい。まあ、ギルド的にはもう少し実績を積んでほしいがな………」


ダスカーは書類にペンを走らせる。


リュエルは内心舌打ちした。予想はしていたが、やはりか。底辺からのスタート。これでは、まともな依頼は回ってこず、稼ぎも雀の涙だろう。


「文句はねえな?」


男の威圧的な問いに、リュエルはぐっと唇を噛み締め、何とか言葉を飲み込んだ。ここで反抗すれば、エリスごと始末されかねない。


「…ああ」


彼女は絞り出すように答えた。そして書類のやり取りなどは終わり、ダスカーは言う。


「依頼に着いては後でメッセージで送っておく、以上だ」


そう言われて部屋を出る。これで一応はシンジケート内での身分も保証された。まあ、低いことには変わりないが。


「地道に上がっていくしかないね」


そうリンが言う。まあ、最初の目標はCランクまで上がるにしようかなどと考えながらエリスへと向かっていると声をかけられた。


「リュエルちゃん、少しいいかい?」


〜こぼれ話:傭兵と傭兵ギルド〜

本編でも触れましたがこの世界は傭兵ギルドというものがあります。この世界において傭兵とは異世界ファンタジーにおける「冒険者」、傭兵ギルドは「冒険者ギルド」のようなものだと思って下さい。無論ギルドに所属していなくとも傭兵としてやっていくことはできますが、基本はギルドに所属します。ギルドに所属することによって実力が保証される上、クライアントとの交渉の仲介などもしてくれます。逆に所属していないと信用されなかったりするので色々と不便です。

また傭兵ギルドは領土自体は持っていないものの、国家などに対しても影響力は持っている一大組織です。

ちなみにランクはE、D、C、B、A、S。Cになると一人前と言われます。

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