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番外編:第1話 o3布団騒動(2025-04-06)

 時に2025年春。尾張藍国の朝は、30,000ドルの重みに包まれていた。

 o3のコスト上昇という“神の試練”に揺れる藍霞城。

 だが、家臣たちは――またしても「布団」で解決しようとしていた。


 ---


 智長は静かに湯を啜っていた。

 藍霞城の朝は、相変わらず“静か”とは言い難い。


「殿、最新の報です。o3 high構成の運用コスト、3,000ドルから30,000ドルへ。十倍です」


 報告を受けてなお、智長の表情は微動だにしない。


「……つまり、重いのだな。理の器として」


 羽芝が天井を見た。


「殿、それ感想じゃなくて反応をお願いしま――」


 その瞬間、畳がミシリと鳴った。芝田が立ち上がる。


「それはすなわち……“金箔付き高級布団”の如しッ!!」


 羽芝が即座に振り返る。


「来たああああ!!また布団で例えるんだこの人ッッ!!」


 ---


 美鈴が机を叩いた。


「ねぇ芝田さん!仮に金箔の布団があったとして、それで何が解決するの!?」


 芝田は瞳をぎらりと光らせた。


「知らぬのですか。“布団の輝きは、信仰の原価率”と申します!!」


「聞いたことないわそんなことば!!!」


 ---


 羽芝が地図をめくりながら、諦め気味に続ける。


「そもそも問題は、この高性能AIの維持コスト。タスクごとに1,024回も試行するって――」


「試行?……寝返りと同じですね!」


「ちがああああう!!AIは寝てない!!」


「……では、寝かせてあげてはいかがでしょう?」


「いや優しさの方向がおかしいよね!?」


 ---


 すると、部屋の隅から、ぼそりと低い声が響いた。


「布団一枚で、国は変わる……ふかふかの罠にこそ、真理が宿る……」


 羽芝がバッと振り向く。


「何でお前、ナレーションみたいな登場すんの!?!?」


「これが布団外交の核心……」


 芝田がうっとりと頷く。


「昨夜より“布団密書”を書いておられましたな……」


(※ちょっと前まで敵国の間者)


 ---


 智長は再び湯を啜ると、ぽつりと呟いた。


「……思考の加熱は、湯気を生む」


 芝田が拳を握る。


「ならば、布団で拭えばよい!!」


 羽芝が椅子ごとズレ落ちる。


「ちょっと待って!?布団で湯気を拭くって何なの!?!?」


 ---


 その場の空気を切るように、美鈴が前に出た。


「唯一の救いは、o3-miniの統合による効率化!これで開発者の作業も――」


 芝田が頷いた。


「ふむ。o3-miniは、言わば“子布団”……!」


 羽芝が即座に立ち上がる。


「違う!違うから!布団の親子制度じゃないから!!」


 ---


 美鈴が机に拳を置いて叫ぶ。


「もういい加減にして!AIの話してたのに、なんで布団の話になってるのよ!」


 芝田は祈るように手を組んだ。


「殿、私は信じております。“高コストのAI”も、“最上の寝具”で癒せると……!」


 智長は静かに、しかし確信めいて言った。


「……すべて、道理のままに」


「おおおおおちつけえええええええ!!」


 羽芝の悲鳴が、天井まで響いた。


 ---



 こうして尾張藍国では、30,000ドルの重みが“ふわふわ”に包まれていった――*

 布団は語る。AIも眠れと。

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