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プロローグ
※作者も明日が見えていない見切り発車作品ですので閲覧にはご注意下さい。
私には前世と思しき人の記憶がある。
この世に生を受け、成長するにつれ鮮明になっていく、
幸せで、温かくて、愚かしくて、そして愛しい記憶。
今の私には何一つ与えられないものにまみれていた、ワタシの記憶。
違う家族、文化、世界の中を平和に生きていた、ワタシ。
何も知らないままで不自由なく笑っていられた、ワタシ。
不慮の事故で若い内に亡くなってしまった、ワタシ。
無邪気で、優しくて、憐れで、そして残酷な、ワタシ。
この記憶は私に何を示すのか。
この記憶は私を幸せにするのか。
その答えは未だに分からないまま、時は満ちた。