騎士団
騎士団はちょうど休憩時間だったらしく、訓練塲でみんなワイワイと談笑していました。
私は1人だけ輪の外で書類に目を通している人物に向かって行きます。
「トレビス団長」
「ん? どうしました? フランチェスカ様。
この様なむさ苦しいところにお出でになるとは」
「ご挨拶にきました。私お役御免になりましたので、明日この国を出ていきます」
ニッコリ笑って頭を下げます。
「え? どう言う事ですか?」
トレビス団長も王子が私にちょっかいを掛けて感電していた事は知っている。
私が手に入らない事に業を煮やした王子が私に対して嫌がらせをしながら次のターゲットに狙いを定めた事を教えた。
「なるほど、では次の聖女様が派遣されてきたら、またフランチェスカ様にされた様な行いをするつもりですか」
話を聞いたトレビス団長はため息と共に拳を握り怒りを表した。
この国の騎士団からはあの王子は信頼も敬愛もされていない。
ハッキリ言って国王が擁護しなくなれば、王族から降格される可能性もあるくらい周りから嫌われているのだ。
「あー それなんですけどね。
多分、今度は私の様に常時滞在する聖女が来る事はなくなると思います」
私は先程の王子とのやり取りを話しました。
後で協会には連絡するけど、もうこの国は聖女を派遣するに、値いしない国と認定されるだろう。
何せ自分を守るための防御具を付けていたら、国に入れないと言われたのだ。
そんな横暴な国に誰が聖女を貸し与えたいと思うだろう。
「なんと言う愚かな事を…」
「皆さんには申し訳ないのですが、次の子に私の様な目に合わせたくないし、これ以上報告をしない訳にはいかないのです」
「いや、それは仕方がない事です。
陛下と宰相が殿下を甘やかしてしまった結果なのですから、フランチェスカ様が責任を感じる事ではありません。
むしろよく2年間も我慢してくれました。
我が国の王子殿下がご迷惑をおかけた事をお詫び致します」
トレビス団長が私に頭を下げる。
「そんな…それこそトレビス団長が謝る必要などありません。
騎士団の皆様には良くして頂き、感謝しております」
本当に、皆と討伐に行っている時はあの殿下もいなくて楽な上に、野外で楽しく過ごせたものだった。