白銀の魔術師
「そろそろかな?」
私が囁いた直後。
ドタッ
外から何かが倒れるような音がしました。
「フランカ姉さん」
「よし、上手く行ったみたいね」
テラスに出て周囲を見回すと、テラス横の大きな2本の木の間で倒れている男がいた。
私は持っていた拘束具を投げます。
それもドーリスが作った魔法の拘束具で、投げただけで対象物の体に巻き付いてしまいます。
この男が倒れたのもテラスに仕掛けた魔法具のお陰です。
これは強力な超音波が出る物で、普段は空を飛ぶ魔物なんかに使う物なんだけど、ちょっと改良してもらいました。
さすがに魔物用を人間に使ったら錯乱するだろうからね。
まず大体の位置を把握した後その周りとテラスだけを小さな結界で囲み他に影響が無いようにして、そこへテラスの魔法具を起動させたのです。
さすがに一発で気絶したみたい。
ローブを纏った男… 多分ロジェを誑かした男だろう。
彼女の魔法具の異変を感じて、自ら様子を見に来たのかもしれない。
「さてと、これをどうしようか…」
「フランカ姉さん、私クライブ団長呼んでこようか?」
クララが気を利かせて提案してくれる。
「そうね、見張ってるからお願いしていい?」
「わかったわ、直ぐに行ってくる」
そう言うとクララは部屋を足早に出て行きました。
私はテラスから裏庭に出ます。
気を失っている男の所へ近づいて行く。
そしてローブを剥ぎ取った。
「この人確か王宮魔導師じゃなかったっけ?」
その男は過去に見た事がある人物だった。
彼はこの国では珍しい銀色にも見える白髪だった。
その上これまた珍しい魔法を使える人間だ。
珍しい色の髪色で魔導師だったからフランチェスカも覚えていたのだ。
「なんて名前だっけなぁ~」
「フランチェスカ様」
背後でクライブ団長に声を掛けられる。
「ここです。クライブ団長」
私が声を掛けると直ぐにクライブ団長も裏庭に下りてきた。
「こいつはジェイコブじゃないか」
ジェイコブ!そうだ、そうそうこの男の名前はジェイコブだった。
「団長、私の記憶だと、王宮魔導師だったと記憶しているんですが…」
「ええ、確かにフランチェスカ様がいらっしゃった頃はジェイコブは王宮魔導師として仕えておりました。
しかし今は王宮から追放されております」
え? 貴重な魔導師を手放さなければいけない程の失態?
一体どんな事ちゃったの?
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